柿

【日記/69】今週のアルジャジーラ〔パキスタン〕

みなさんこんばんは、一週間お疲れさまです。

「お疲れなところにさらにお疲れなニュースをお届けする」がテーマの「今週のアルジャジーラ」、今週も元気に金曜日に更新します。ちなみに今回は第8回目となる更新ですが、テーマは今決めました。しかし真面目な話、「今週のアルジャジーラ」を読むことによって「ああ、今週も終わったなあ」という気分になってもらえたら私としてはけっこう理想的。先週分はこちら

というわけで今週の気になる記事だけど、今週はちょっと選定に悩んでしまった。というのも、アルジャジーラで今話題になっていることは何かというと、モスル、モスル、モスル、アレッポ、モスル、みたいな感じだからだ。「今週のアルジャジーラ」ではなるべくいろいろな国のことを扱いたいと思っているのだけど、こう「モスルモスルモスル!」という感じでモスル推しで来られるとモスルを無視するわけにはいかず、けっこう困ってしまう。

ISILの重要拠点であるイラクのモスルに関しては、そういうわけで日本語の記事をいくつか貼っておこうと思う。イラク政府軍による奪還作戦は進んでおり、ISIL戦闘員が700人以上殺害されたという発表もある。一方で、ISIL戦闘員がモスルを離れシリアに流れているという話もあり、今後の経過を見守りたい。モスルが解放されて欲しいという思いと、いくらテロリストとはいえ700人以上の戦闘員が殺害されているという事実は重く受け止めなければならず、ISILの支持は当然できないにしてもイラク政府軍の支持もしていいものなのか悩む。だけど、ISILはとにかくやっていることが凶暴なので、あまり言いたくないけどこうでもしないとどうしようもないというイラク政府軍の姿勢もまったく理解できないわけではない。

モスルの奪還作戦 「イスラム国」の戦闘員約900人殺害との見方
モスル奪還作戦、ISIS戦闘員の逃亡相次ぐ シリアへ越境

ところで「ISIS」と「ISIL」という表記についてだけど、この二つは基本的には同じものだ。ただ、どういうわけかアルジャジーラでは「ISIL」の表記になっていることが多く、日本語のニュースでは「ISIS」の表記になっていることが多い。なぜだろう。とりあえず、このnoteではアルジャジーラの表記に従い「ISIL」表記で統一することにしている。

モスルについて一応触れたので、改めて、今週の気になる記事はこちら。

Pakistan: Police clash with protesters in Rawalpindi

タイトルに出てくるラーワルピンディーという都市は、パキスタンの首都であるイスラマバードの南約20kmに位置する。この都市で、警察と市民が衝突をしているという記事だ。

イムラン・カーンという人物名が記事内に出てくるが、この人は元クリケットの選手で、現在は首相に退陣を求めるデモの中心人物であるらしい。この人物の支持者らに対して、警察が催涙弾を発射し、都市は混乱を極めている。

ちょっと調べてみたのだけど、イムラン・カーンらによるクーデターは数年前からあるようで、現首相であるナワーズ・シャリーフの選挙で不正があったとして、退陣を要求している。クーデターとか催涙弾とかは日本国内にいる限りほとんど縁がない単語である。

ところで、今週のアルジャジーラは、カシミール地方について書いている記事もけっこう多かった。カシミール地方の問題は、私も不勉強にして適切な説明ができる自信がないのだけど、イスラム教のパキスタンとヒンドゥー教のインドとの、カシミールの領有権をめぐった争いみたいなものだという理解で大筋は合っていると思う。

紛争の要因は、この地域がかつてイギリス領だった時代と関係がある。もともとカシミールはムスリムの地域だったらしいのだが、イギリス領時代に藩王がヒンドゥー教徒だったとかで、1947年にイギリスから独立するときに帰属が決まらず宙に浮いた状態になってしまった。

今世界各地で起きている紛争や民族問題は、すべてとはいわないが、もとをたどると欧米諸国が植民地化をしていく過程で現地を引っ掻き回し、その禍根が今も残されているというケースが少なくない。イスラエル・パレスチナ問題だって、もとをたどれば第一次世界大戦時におけるイギリスの三枚舌外交がいけなかったのであって、ユダヤ教徒とイスラム教徒はその前はなんだかんだで上手くやっていたのだ。宗教や中東が悪いのではなくて、戦争や先進国が悪かったのである。そこの認識は強く持っておかないといけない。

来週は、カシミール地方に関する記事がまたあればまた扱ってみたい。しかしこのパキスタン首相のシャリーフさんて人、対外的にはインドと揉め、内的にはクーデターで、めっちゃくちゃ大変である。


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