無印のペン

【愛用品リスト/5】違いのわからない女が選ぶ手帳のペンは無印

私はよく「自分、バカ舌なんすよ〜」と自虐の意味も込めていろんなところでいろんな人に言っているのだが、実際は、バカなのは舌だけではない。あらゆるもののあらゆる違いがわからない。つまり、全方位的にバカなのである。

たとえば、化粧水。美意識高い系の女性がよく「基礎化粧品とベースメイクだけはお金をかけないとダメ」とか言うので、「へーそういうもんか」と思い、最近IPSAのタイムリセットアクアとドラッグストアで600円くらいで買える化粧水を2週間おきくらいに付け替えて実験してみたのだが、結果、違いはまったくわからなかった。「高い化粧水だとやっぱり翌朝の肌の潤いが〜」ってみんな言うけど、私は翌朝も違いがまったくわからない。2週間じゃダメなのかしら。とにかく、私はほとんど肌が乾燥しない上に何を使っても大丈夫な頑丈肌なので、別にこれからも600円のやつでいいやと思ってしまった……。あれ絶対プラシーボ効果でしかないと思うんだけどな、まあいいや、高い分は気分の高揚代みたいな感じなんだろう。確かに気分の高揚ってバカにできない面もあるしね。

他、もっともっとたくさん「え、これ別に安いやつと変わんなくない?」って思っているものがあるのだけど、あまり言い過ぎると各所で敵を作りそうなのでやめておく。ていうか、私がバカだからわからないだけで、みんなは本当に違いがわかっているのかもしれないし……。私さ、目がめっちゃ悪くて視力0.1くらいしかないんだけど、裸眼一筋31年なのね。健康診断で毎年「メガネを買うかコンタクトを入れろ」って医者に言われるんだけど、「日常生活に支障ないんでいらないッス」で通してるのね。車の運転もしないしさ。そんな人間の言うことなのであまり信用しないでください。

(私、高校生くらいまでは目がめっちゃ良くて、視力1.5くらいあったから、セルフイメージが「目が良い」のまま大人になっちゃったんだと思う。目が悪いのを認めたくないのもあって未だに裸眼一筋)

(ポジティブに解釈すると、私の視界はすべてにスフマートがかかっていて霧に濡れたようにぼやけており、したがってすべてが美しいのだ。あの子もこの子も美男美女。World is beautiful.)


さて、そんな私の「違いがわからないシリーズ」は当然ながら筆記具にも及ぶ。私には意外とマメなところがあり、10年前から「ほぼ日手帳」にほぼ毎日日記を書いているんだけど、その際に使用するペンについて試行錯誤を重ねた結果、出た結論は「水性のボールペンであればだいたいなんでもよろしい」だった。

まず、一時期流行って(?)もはや定番になったジェットストリームね、あれはダメ。なぜなら油性だから。油性ボールペンで書いた字って、1行2行ならいいけど、50行くらいびっしり書くと汚く見えてちょっと読み返しにくい。

次に、おしゃれな万年筆系。万年筆は、悲しい気持ちになるからダメ。私はね、小学生のとき、マンガ家になるのが夢だったの。マンガ家になりたかったから、チャレンジで赤ペン先生を頑張ってシールをためて「マンガ家キット」みたいなやつを賞品でもらってたわけ。クリスマスプレゼントはスクリーントーンだったわけ。サンタさんにスクリーントーンのメーカーと品番を指定してプレゼントをお願いしていたわけ(※1)。だから当然、Gペンとかスクールペンとか丸ペンとかカブラペンとか持っていたわけ。

だから万年筆はダメ。マンガを描くときのペンに似ているから……私はマンガ家になれなかった。新人賞に応募すらしなかった。絵がやっぱりどうしても下手で、途中から文章を書く人になっちゃった。文章を書くのだって好きなんだけどさ、もしも今、もう一度小学生に戻れるなら、私やっぱりもう1回マンガ家を目指してみたいなってときどき思うんだよね。それが私の人生における唯一の「タラレバ」かも。もしもあの時、諦めなかったら。もしもあの時、もう少し粘っていれば。私は今、尾田栄一郎と並ぶ稀代のマンガ家になっていたかもしれないのに……!

(ちなみに好んで描いていたマンガはホラーとギャグが入り混じったナンセンスなやつだったので、どっちにしろガロ系だったと思われる)

あと単純に、万年筆はだいたい太すぎてほぼ日手帳のバタフライストッパーにはさまらないのでダメ。


そんなこんなで、「こだわり」というより様々な商品にイチャモンをつけまくっただけのような気もするが、結果として「文具店でもコンビニでもどこにでも売ってる100円前後のごく普通の水性ボールペン」がいちばんよろしいということに私の中ではなった。そこで無印の名前が上がってくるのは、私が住んでいる場所の近くにだいたいいつもファミマがあるからである。それ以上の理由はない。インクがなくなったらいつも無印の100円のペンをファミマで買ってる。

本当はもっと上質な水性のボールペンがあるのかもしれないけど、どうせ私に細かい違いはわからないし、何よりもう10年毎日日記を書いているからさ、そんなに気取りたくないっていうか、さっと出せてさっと買えてうっかり失くしても別にショックじゃなく、愛着があるようなないような空気みたいなペンがいいんだよ。

だから手帳のペンは無印。それをいつもファミマで買っている。空気すぎて気付かなかったけど、これも「愛用品」ってことにしていいのなら、これは確かに「愛用品」だ。たまにサラサクリップとかになることもあるけど、だってもう10年間ずっと使ってるもんね。


(※1)今思うと親が大変そう。お父さんお母さんありがとう

2年ぶりの更新になってしまいました……。



شكرا لك!