柿

【日記/79】今週のアルジャジーラ〔アフガニスタン〕

毎週金曜日の夜に更新している「今週のアルジャジーラ」。実は今回の更新で、12回目である。10回記念を(自分で)祝うのを、旅行に夢中ですっかり忘れていた。初回は9月、扱ったのは世界でもっともガチ度の高い(?)イスラム国家であるサウジアラビアだった。

【日記/57】今週のアルジャジーラ

その後、ソマリランド、イスラエル、シリア、イラク、イエメン、パキスタン、インドネシア、キューバなどなどの国を取り上げてきた。そして本日は、これまた中東で治安の悪そうな国の代表格であるアフガニスタンの記事を読んでみることにする。

Afghan Taliban hang university student in public

軽いノリで始めてしまったが、上記はかなり物騒なニュースで、タリバンの戦闘員が大学生を絞首刑にした、という内容である。殺害が行なわれたのは先週の金曜日で、それが公表されたのは土曜日らしい。

ここで再確認しておきたいのは、タリバン、アルカイダ、そしてISILという、中東の過激派組織の特徴と成り立ちである。なお、参考文献としては以下の書籍をあげておく。

イスラム国 テロリストが国家をつくる時 (文春e-book)

まず、タリバンやアルカイダやISILについて、私は本書を読む前、「なんか似たようなテロ組織」とかなり大雑把に認識していたことを告白せねばならない。しかし、タリバン・アルカイダとISILは、まったく異なる性質を持った組織である。

昨今話題になっているISILはかなり現代的な組織で、プロレベルともいえるコンテンツ制作能力を持ち、SNSやインターネット動画を巧みに活用し、それを意図的に炎上させて拡散するという、本当に「ネット時代のテロ組織」なのだ。また、資金が潤沢にあるという点も、他の過激派組織とは異なっているところである。

参考:プロ顔負け!「イスラム国」驚異のコンテンツ制作能力 ~10ヵ国語で発信、“情報聖戦”の実態に迫る

一方、アルカイダはISILの前身ともいえる組織。ISILの初期指導者であるアル・ザルカウィは、2000年にアフガニスタンのカンダハルという都市で、オサマ・ビン・ラディンと出会っている。しかし、このときビン・ラディンに「アルカイダの一員にならないか?」と誘われたのを、ザルカウィは断っているという。

(※ザルカウィはヨルダン出身のベドウィンだという。ベドウィンは私が旅行で訪れたペトラ遺跡のあたりにも住んでいる民族だ)

そうして、しばらくは別々の組織として存在していたアルカイダとザルカウィ率いる初期ISILだったのだけど、2004年から事情が変わり、初期ISILはアルカイダの傘下に加わった。しかし、途中で指導者のザルカウィが死亡。以後のISILは、指導者がアブ・バクル・アル・バクダディとなる。これが、現在のISILだ。

タリバンはどうか。上記で紹介した書籍にはタリバンのことはあまり書いていなかったので、以下のネット記事を参考にした。

参考:イスラム国は、タリバンやアルカイダとは何が決定的に違うのか

記事によると、タリバンとはアフガニスタン土着の過激派組織で、1979年にソ連がアフガニスタンに攻め込んだことがきっかけでできたという。ていうか、タリバンて「学生」って意味なのか……。もともとは、イスラム神学校で学んだ学生たちで組織されていたらしい。最高指導者はムハンマド・オマル。

(※こちらはモロッコのマラケシュにあったイスラム神学校。美しい建物だった)

ちなみに、ISILはイスラム教のスンニ派の組織である。彼らの最終的な目的は、スンニ派のムスリムたちに、ユダヤ人にとってのイスラエルのような国家を、中東に作ること。なんというか、ユダヤ人という民族が、幾世紀かの時を苦難とともに超えて自分たちの国家を作ったっていうのは、他の民族にとってもなかなか大きなインパクトのある出来事だったんだなあと思う。

タリバンがアフガニスタン土着のローカルな組織だったということは実はこの「今週のアルジャジーラ」をまとめるまで知らなかった。まだまだ勉強不足である……。中東はやっぱり、文化も歴史もめちゃくちゃ面白い。今起きている戦争やテロについては「面白い」とか言ってはいけないのだけど、この地域で起きていることが決して対岸の火事などではなく、今後日本を始め世界を巻き込んでいくことは間違いないと思う。

2016年、モロッコとヨルダンとイスラエルを旅できたことは、私の中でとても大きな財産だ。

(※これはエルサレムの嘆きの壁。)

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