柿

【日記/75】今週のアルジャジーラ〔インドネシア〕

毎週金曜日に更新している「今週のアルジャジーラ」。私の旅行により2週連続でお休みしたが、今週から通常運転である。前回分はこちら

さて、2週空いたぶん、イスラム・中東世界にもいろいろなことがあった。まずは先々週のアメリカ大統領選挙だが、アルジャジーラもトランプ氏の当選についてはかなり熱心に報道していた。トランプ氏が大統領になることによって中東情勢はどう変わるのか、そういったことについて識者がいろいろなオピニオンを寄せている記事が目立っていたように思う。

次に注目されていたのは、相変わらずイラクの都市モスルの政府軍による奪還作戦である。作戦開始からもう1ヶ月以上経過しているが、いまだに完全包囲に成功とかISILの補給路を断ったとかで、いまいち決着はついていないようだ。CNNの報道によると、作戦はまだ長引くらしい。民間人の犠牲者も出ている。今後も、「今週のアルジャジーラ」でモスルという地名は何度も登場することになるだろう。

イラク軍、モスルを完全包囲 ISISの補給ルート断つ

上記のツイートは、イラク政府軍とともに奪還作戦を進めているクルド人民兵組織ペシュメルガのものだが、この動画は再生してみるとちょっとすごい。何がすごいって、戦車の砲撃もすごいのだが、この映像を見ると私は、「ああ、中東だ……」と思う。中東とはすなわち、砂漠地帯だ。私は当然ながらイラクに行ったことはないけれど、砲撃によって舞い上がるこの砂塵を見ると、3月に訪れたヨルダンやイスラエルを思い出す。こんな映像に旅情を掻き立てられている場合ではないのだけど、ときどき、私はあの乾燥した砂漠の世界が妙に恋しくなるのだ。中東に行きたい。レバノンのベイルートあたりなら一人でも行けそうなので来年の旅行の候補地にしている。もしくはイラン。

The Indonesian fire play

そんな話をしているとキリがないのでとっとと本題に入るのだけど、今週気になった記事は私が先週旅行してきたインドネシアの話題だ。恥ずかしながら旅行するまで知らなかったのだけど、インドネシアは実は世界で最も多くのイスラム教徒を抱えた国家であり、国民の90%がイスラム教を信仰している。

そんなインドネシアの人々にとっては、何かの宗教を信仰しているのは至極当然のことだ。イスラム教の他、キリスト教、仏教、ヒンドゥー教などはいいとしても、「無宗教です」などと答えると共産主義者だと思われ「こいつやべぇ」という雰囲気になるらしい(?)。インドネシア人に宗教を尋ねられたときは注意しよう。

もっとも、イスラム教徒が多いインドネシアではあるのだけど、実際の街の雰囲気はそれほど堅苦しいものではなかった。女性は半数以上がヒジャーブを被っていたけれど、中東のムスリムみたいに目元以外は全身黒ずくめみたいな感じではなく、カラフルでおしゃれな布を身につけた人が多くファッショナブルだった。コンビニにはお酒も売られているし(2015年に一時禁止されたが、最近またOKになったらしい)、ショッピングモールに行くとな・な・なんとクリスマスツリーが飾られている。この辺りの話はブログなどで詳しく書こうと思うけど、結局人間ってキラキラしたものや楽しそうな雰囲気のものが好きなんだ。そこにきっと宗教はあまり関係ない。

一方、アルジャジーラの記事は、ジャカルタのキリスト教の知事に対して、冒涜を行なうような動きがあることについて報じている。インドネシアでは、90%がイスラム教徒であるとはいえ信仰の自由が保障されていて、「イスラム教=国教」ではない。私が旅したジャカルタという街の柔らかい雰囲気もその自由を反映してのものだと思ったのだが、ここへ来て、やはりイスラム教を国教とし、それも東南アジアのゆるいイスラム教ではなく中東にならったガチのイスラム教をやろう、なんて言い出す人もちらほらいるみたいだ。多様性を認め寛容であることを目指してきたリベラルな社会から、差別と不寛容が蔓延る社会へ戻ろうとしている現象は世界中で起きていて、インドネシアもその例外ではない、ということだろう。

駆け足になってしまったけど、インドネシアおよびバリ島のことは今後ブログなどに詳しく書いていこうと思っている。自分の勉強用としてやっている「今週のアルジャジーラ」だけど、アルジャジーラから世界を見てみると、やっぱりけっこういろいろな面白いことに気付く。来週以降も引き続き目を通していただけるとありがたい。

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