エルサレムのイチゴ

【第20回】今週のアルジャジーラ〔スーダン〕

お疲れな週末にさらにお疲れなニュースについて考える、「今週のアルジャジーラ」。毎週金曜日の更新である。

……いや、本日は土曜日ではないか? と勘付いたあなたは鋭い。確かに、そういう解釈もある。しかし、土曜日は広義の金曜日と考えることもできるというか、つまりは、ようは解釈の問題である。決して私が、金曜の夜にぼーっとしていて更新をすっかり忘れていたとか、そういうことではなく、どのように金曜日という概念を解釈すべきかという問題がまずあり、私はそれに対する問題提起を行なったに過ぎない。

というわけで、私が今週気になった記事はこちら。アフリカの南スーダンで、牛の襲撃により数千人が殺害されている、という内容である。

Thousands killed in cattle raids since 2011

牛!? という驚きはひとまず置いておいて、そもそもスーダンはどこにある国なのか見てみる。(いつも余計な情報付きの変な地図ですいません)

スーダンと南スーダンがある様子から一瞬「?」と思ってしまうのだけど、南スーダンは2011年7月9日、スーダンから分離独立している。首都はジュバ。石油産出国として名高く、なんと国家収入の98%が石油によるものだという。しかし政治情勢は厳しく、大統領派と副大統領派が石油利権をめぐって衝突、2013年には内戦状態に陥っている。

昨年も戦闘があり、国連平和維活動(PKO)の南スーダン派遣団(UNMISS)が現地に入っていた。しかしUNMISSは、民間人が略奪やレイプなどの被害に合っているのに緊急出動の要請を無視し、大きな批判に晒されてしまった。

参考:PKO対応怠り、民間人多数犠牲=略奪、レイプでも出動せず-南スーダン

しかし、今回の記事で問題になっているのは牛である。なんでも、南スーダンが2011年に独立して以来、5000人以上の民間人が牛の襲撃によって殺されたという。

おそらく南スーダンに住んでいる民族の問題なのかなと思うのだけど、かの地域では牛がとても貴重な動物であり、なんなら富の象徴だとも考えられている。そして、異なる民族同士が牛を強奪し強奪し返しという悪循環を繰り返し、その中で5000人以上が死亡しているということらしい。

石油利権問題とは別に、牛問題というのも南スーダンではメジャーな政治問題とのこと。また牛の情報が入ってきたら、「今週のアルジャジーラ」でも続報を扱いたいところである。

前回の続き。前回は第3次中東戦争、それからアイヒマン裁判についてまとめている。

今回は1972年、ロッド空港事件とミュンヘンオリンピック事件のあたりから話を始めようと思う。

上の写真は何かというと、イスラエルのテルアビブ美術館である。テルアビブ美術館はかなり近代的な建物で、コレクション自体も古典的なピカソやらモネやらシャガールやら、現代美術もリキテンシュタインやらハンス・ベルメールやらアイ・ウェイウェイやらと、とても充実している。

このテルアビブに現在あるのがベン・グリオン空港というやつで、私も昨年ここを、テルアビブからギリシャのアテネへ向けて移動する際に利用した。

そして、このベン・グリオン空港の前身がロッド空港なのだが、ここで中東の歴史に我ら日本が登場する。しかし、かなり悪い登場の仕方だ。1972年、このロッド空港で、日本赤軍のメンバーが無差別に銃を乱射、自爆テロを行なう。26人が死亡したが、主犯の1人である岡本公三はレバノンのベイルートで現在も生きているらしい(というのは2006年の話なので、今住んでいるところは別かも)。

【旅の製図法/21】1%の天才と、99%の害悪。

そして、ミュンヘンオリンピック事件。これはあのスティーブン・スピルバーグがそのものずばり『ミュンヘン』というタイトルの映画にしているが、西ドイツのミュンヘンで開催されていたオリンピックで、選手村にいたイスラエル人のアスリート9人をパレスチナのゲリラが殺害したという事件だ。

1973年には、第4次中東戦争が起こる。ユダヤ暦で最も神聖な日であるというヨム・キプールという日に、エジプト・シリア両軍がイスラエルに攻撃を開始した。奇襲にうろたえたイスラエル軍だったけれど、最終的には逆転勝利を収める。

そしてこの第4次中東戦争が、歴史の授業でやった気がするが、第1次石油ショックを引き起こす。アラブ石油輸出国機構が、親イスラエル国に対し石油禁輸あるいは価格の引き上げを行なったからだ。アメリカは最大のイスラエル支援国なので、当然日本もこの騒動に巻き込まれることになった。

次回は1987年あたりから話を始めようかなと思う。それではまた来週。。

شكرا لك!