エルサレムのイチゴ

【第32回】今週のアルジャジーラ〔イタリア〕

隔週金曜日(たまに土曜日なこともある)に更新している「今週のアルジャジーラ」、今週は先週よりさらにイチゴの画像をアップにしてみました。ふふ。意味は特にないです。なお、noteの仕様上、これ以上大きくはなりません。

今週扱いたいのはイタリアの記事なのだけど、その前に、イラクのモスルが相変わらず騒がしい。「陥落間近」ってずっと言ってる気がするけど、まだ陥落してないみたいだ。

イラク・モスルで激しい戦闘 ISは自爆攻撃などで抵抗

この記事でかわいそうだなと思うのは、自爆攻撃を行なっているのが10代の女の子たちであるという記述である。自爆攻撃というと、気が狂った大人の男がやらかしているイメージがどうしてもあるけれど、実際にやっているのはその国家・地域における「弱者」であることが多い。本当のおエライさんは、自分で自爆攻撃なんかしない。「この作戦が成功したら君は英雄だ」「この勇気ある行為は君にしかできない」「殉教することで君は天国に行ける」などなど都合のいいことを囁いて、日々に絶望しかない若者に地獄のような甘い希望を与えて、自爆攻撃を組織的に行なっている。

加えて気になった記事がこちら。

英国のイスラム過激派の資金源はサウジアラビア 報告書

サウジアラビアといえばイスラム教スンニ派の国家であり、シーア派の国家イランとめちゃめちゃめちゃめちゃ仲が悪いことで知られている。そして、「イランはテロ支援国家である! ついでにいうとイランと仲良くしてるカタールも嫌い!」などと言ってまわりの国を巻き込んでカタールとの国交を断絶した。

詳しくはこちら:【第30回】今週のアルジャジーラ〔もちろんカタール!〕

そのサウジこそが実はイスラム過激派の資金源だったというのだから笑えない。もちろんサウジはこれを否定しているし、実際のところはどうなのかよくわからないけど。

中東の混乱に「正義」はない。あるのは各々が複雑に絡み合う私利私欲だけだ。この構造はメキシコの麻薬戦争などにも当てはまる。だけど、私の中にだって「正義」なんかないし、あるのは人間くさい私利私欲だけである。日本がいつこういう私利私欲の争いに巻き込まれるかなんてわからないし、もしかしたらすでに巻き込まれているかもしれない。中東を眺めていると、「人間て、所詮は人間なんだよな……」ということがよくわかる。

というわけで、前置きが長かったけどもイタリアの話をしたい。

Italy summons Austria envoy over border controls

ちょっと旅行に飽きたので先の話になると思うが、そのうち南イタリアを旅してみたいと思っている。が、前にも書いた気がするけど、本当は南イタリアだけじゃなくて、チュニジアから旅をスタートさせたかったのだ。チュニスを観光した後に船に乗ってシチリア島に行き、そこからナポリ、アルベロベッロなどを転々としながら北上し、最後にローマにたどりつくというプランを練っていた。

(※これは2010年に行ったときのローマ、ていうかバチカンのサン・ピエトロ大聖堂)

が、チュニジュアの治安が全然回復しないので、さすがの私もテロに巻き込まれでもしたらシャレにならんと思い、このプランは現在あまり現実的に考えていない。

で、つまり何が言いたいかというと、チュニジアやモロッコは、中東からの難民がヨーロッパに亡命するときの経由地なのである。チュニジアもモロッコもアフリカ大陸だけれど、距離的には海を隔てたヨーロッパのほうが近い(だからアフリカともヨーロッパとも中東ともつかない独特の文化が育まれており、非常に興味深い)。

チュニジアから近いのはイタリアであり、この記事にもあるように、難民がまずたどりつくのはヨーロッパの海側の国々だ。だからこそ混乱も起きやすく、今南イタリアなんかけっこう大変なんじゃないかな? と勝手に思っていた。観光客用の船には乗らないだろうが、難民も私と同じように、船に乗ってチュニジアから南イタリアに行くことを考えるはずだ。

そしたらやはりその通りだったようで、国際移住機関(IOM)によると、南イタリアには現在1万2千人以上の移住者・難民がいるらしい。イタリアはアフリカ大陸から難民がヨーロッパに渡る上での拠点になっている。

そして、そのイタリアと国境を接しているのがオーストリアである。記事によると、イタリアにたどりついた難民がオーストリアにまで来てしまうので、国境の警備を強化するということだ。

海に囲まれた日本に住んでいるとあまり実感がわかないが、他国と陸続きになっている国は、歴史上こういうことの連続だったんだろうなーと思う。隣の国の混乱はウチの国の混乱だ。

「飽きた」とはいえ、2年以内にはやっぱりイタリアに行こうと思っているので、今後も北アフリカと南イタリアの動向は見ておきたいなと思う私であった。そんな感じで、また再来週!

شكرا لك!