柿

【日記/80】今週のアルジャジーラ〔パレスチナ〕

今週も金曜日の夜なので、「今週のアルジャジーラ」を更新します。先週分はこちら

ところで私、前職もそして今の仕事も、普通に土曜も稼働日なので、よく社会人のひとがいう「花金」って概念がまったくしっくり来ないんですよね。なので、未だに「花金」って言葉を使っているひとを見かけると「すごーい、大人みたーい」と思います。個人的には、平日の昼間にフラフラするのは空いてるし背徳感があって好きなので、今後もずっと土曜日が休みであるとは限らない仕事でいいな、と思っています。

閑話休題。私が今週気になった記事は、パレスチナ自治区に関するものです。

The Palestinian leadership that doesn't represent us

さて、下記はイスラエルの地図ですが、パレスチナというのはどこらへんかというとだいたい黄色いとこらへんです。お隣の国ヨルダンとの国境付近「ヨルダン川西岸地区」といわれている部分、それからエジプトとの国境付近にある「ガザ地区」です。上のほうにある国は、左側がレバノン、そして右側がシリアです。

エジプト側のガザ地区は、たぶん普通の旅行者は行けません。空爆とかがあって危ないからです。が、ヨルダン川西岸地区ならけっこう行けるところがあります。私が行ったのは、エルサレムからバスで30分くらい走れば着く、ベツレヘムという町。できればもっと南にある、ヘブロンという町にも行ってみたかったのですが、治安が良くなさそう(テロ的な意味で)だったのと、日程の都合でそのときは断念しました。

ベツレヘムには、写真の右側にあるような分離壁がずら〜っと並んでいます。壁の向こう側はイスラエルです。基本的に、パレスチナの人はイスラエル側に行くことができません。行こうと思ったら、壁がなければ歩いて10分くらいなのに、数時間かけて車で走ったところにある検問所まで出向かないとダメです。つまりめちゃくちゃめんどくさい。よじ登って壁を越えようとすると銃で撃たれます。そんな、分離壁のこちら側と向こう側に生きる恋人たちを描いたのが、ハニ・アブ・アサド監督の『オマールの壁』という映画でした。

そんなわけで今後も緊張状態が続くであろうイスラエル-パレスチナ問題ですが、私パレスチナ問題ってどこからどうやって書けばいいのかけっこう難しくて困っているんですよね。というのも、私はもともと中東問題にけっこう関心があるほうで、そして旅行前に細かいところもがっつり調べたので、たぶんわりとわかるほうだと思うんですけど、普段私の文章を読んでくれている人はいったいどのレベルの中東問題について知りたいだろうみたいなのがわからなくて。

要望があれば紀元前、旧約聖書の時代、イエスがいた時代からがっつり歴史的経緯を説明するし、そこまではいらんということであれば第一次世界大戦から説明するし、そこもいいということであれば現時点での問題をこのまま書いていくんですけど。何か要望があったらぜひnoteのコメント欄にでも書いておいてください。

続けますが、アルジャジーラの記事はそんなパレスチナ自治区に関するもので、ファタハで行なわれた会議のことから話が始まっています。

イスラエルという(主に)ユダヤ人の国家が第一次世界大戦後にできて、それがもともとここに住んでいたアラブ人の居住域を荒らし、そのことに反発してできた組織がPLO(パレスチナ解放機構)です。そしてPLOがもとになってできているのが、現在のファタハというパレスチナの政党です。イスラエルや米国は、和平交渉などを進めるとき、基本的にはこのファタハを窓口として考えています。

だけど、パレスチナにはもう一つ政党があります。それがハマス。ファタハがヨルダン川西岸地区をおさえているのに対し、こちらはガザ地区をおさえているといわれています。

ハマスは、ファタハとは別のところで成長していった政党です。ファタハがイスラエルと和平交渉を進めようとすると、「イスラエルなんかと和解したくねえわ!」みたいな不満を持った市民たちによって、ハマスの支持が集まったりします。なので、欧米やイスラエルから敵視されることもしばしば。「イスラム原理主義組織ハマス」などという書かれ方をすることもあって、別に間違いではないんですが、たまにテロ組織のような扱いを受けていることがあるようです。でも、政党です。

パレスチナにはファタハとハマスという政党があって、そのうちファタハの代表を務めるのがマフムード・アッバース、アッバス議長と呼ばれている人です。で、選挙でまたアッバスさんが代表に選ばれるし、他の運営委員会のメンバーも変わってないし、こんなの本当に民主的な組織っていえる? と記事を書いた記者は疑問を呈しています。

西側諸国の都合で考えると、ファタハは和平に積極的ないいやつで、ハマスが和平を邪魔する悪いやつ……みたいに見えるときがあるんだけど、実際はファタハだって組織として腐敗しているところがあるし、この記事を書いた記者は自分はアッバス議長を認めないからね、みたいに書いています。

ここらへんの構造は、本当に『ONE PIECE』的だなあと私は思います。「正義の組織」ってのは、現実社会ではまあまずないですよね。どの組織も、上手くいっている部分とグダグダな部分、光の面と闇の面、功績と腐敗があります。政党も、会社も、みんなそうだと思います。いろいろなものを、より多角的に見る必要があります。

「前からけっこう関心はあった」とはいうものの、ここまで中東やイスラム世界について調べに調べたことは私はかつてなかったし、今もまだわからないことたくさんあります。「今週のアルジャジーラ」は2017年もまだまだ続く予定なので、もっともっと深くいろんなニュースに切り込めればいいなと思います。

と、年末の挨拶のようになってしまいましたが、今月もまだ更新します。次回は来週、12/23。30は年末休みということにしようと思っているので、次回が年内最後の更新です。

(※これはパレスチナ自治区・ベツレヘムの聖誕教会。イエスはこの場所で生まれたとされているが、よくよく調べてみるとここではないことがわかるらしい。えっ)

(※奥にいる白人のおばさん、このあと地下にあった十字架の前で必死にお祈りしていました)

شكرا لك!