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海岸通り,熱海ビーチライン,車間距離

海沿いの道路を,車で走るのはとても気分のいいものです.熱海ビーチラインもそんな道のひとつです.相模湾を見渡しながら走れるのですが.車を駐車できる場所はありません.運転しながら,一瞬一瞬.視界に入って来る景色も印象的です.写真は残りませんが,景色の感覚が残ります.

 最後に熱海ビーチラインを走ったのは随分前のことで,久しく忘れていました.櫻坂46の「車間距離」のPVを見たら,熱海ビーチラインで撮影したもので,懐かしい気持ちになりました.「車間距離」は人と人との距離感の難しさを,車の車間距離に例えた楽曲です.このPVの監督は森義仁(もり よしひろ)氏で,単にアイドルが歌って踊る姿を映しただけのものではなく,いろいろ工夫された編集が施されていて楽しめます.

 メンバーが宿泊するホテルのそれぞれの部屋に向かって,おしゃべりをしながら廊下を歩くシーンから始まります.カメラはセンターの森田さんを追います,ベッドに腰かけて休んでいると,ドアの下から招待状のようなものが差し込まれます.ベッドで横になり,何か書かれた招待状を見ているうちに,うたた寝をしてしまいます.目が覚めると,そこは部屋ではなく廊下になっています.着ている服も先ほどまでとは異なるものになっています,

 他のメンバーもおかしなことになっています.ホテルの館内を彷徨うように歩いています.鏡の中には,自分だけでなく,顔が見えないように被り物を被った異形(いぎょう)の存在が映っています.異形の着ている服は,自分と同じものです.ホールに行くと,メンバーそれぞれの異形がいました.異形と向き合ってから,気にせず振り向き歩き出すと,異形が動いて,本人を階下に突き落としてしまいました.

 ホールでのダンスシーンの後,トンネルを走り抜けるシーンを経て,熱海ビーチラインの赤い鉄橋「伊豆山橋」でのダンスシーンに移ります.曲が終わると,クレジットと鏡に映ったベットで眠る「るんるん」が映ります.服は最初のものに戻っています.目が覚め,鏡に見てから「よし」とひとこと言って立ち去ると,鏡には微笑んだ森田さん(異形?)が残像のように映っていました.

 プロモーションビデオの前半のロケ地であるホテルニューアカオは,米投資ファンドに売却されたそうです.名称を変えて,ホテル事業は継続されるそうですが,いろいろ変わってゆくのでしょう.このPVは,熱海温泉のランドマーク的存在だったホテルの昔の様子を伝える貴重な資料になるのかもしれません.

 櫻坂も,とても大きな異形の存在のような欅坂との関係は切ることができないでしょう.あるがままでいいのです.人も物も,すべての存在は時間とともに少しづつ変わってゆきます.

 ところで,背中に何かの気配を感じても,急に振り返ってはいけません.あなたと同じ姿のキツネの面をつけた異形の存在がそこにいるかもしれませんから.振り返っても会うことはできないでしょうが.その時が来れば...

それでは,また,何時か何処かで.


櫻坂46『車間距離』
https://www.youtube.com/watch?v=MKXSWXlSOB0

Monkey Majik + 吉田兄弟 - Change
https://www.youtube.com/watch?v=WK1wwgMpFDg

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