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クラウディオ・アバド

ポリーニと同郷、イアリアのマエストロ。

僕がいつから聴いていたのか定かではないが、
彼は2000年に胃癌で休養に入る。

その前から、もちろん聴いてはいた。

1990年に、あのカラヤンの後任として、
ベルリン・フィルの芸術監督に就任した。

アバドとベルリン・フィルは、
2〜3年に1度は来日してくれた。

92〜93年にライブ録音された、
ポリーニとのベートーヴェン、
ピアノ協奏曲全集は、至宝の作品だった。

僕は相変わらず、
ベートーヴェンばかり聴いていたが、
ピアノ協奏曲やピアノ・ソナタだけでなく、
交響曲を聴くようになっていた。

ちょうど2000年に、
アバド指揮ベルリン・フィルの、
ベートーヴェン交響曲全集が発売され、
そればかり聴いていた。

ベーレンライター版を使用した、
先駆的な演奏が話題となった。

がなんと、休養明け2001年に、
ライブ収録盤を発売する。

パトス(情熱)、ロゴス(論理)、エトス(信頼)。
指揮者はだいたいこの3つを持っているが、
アバドは特にパトスが強かったのではないか。

カラヤンとは対照的だった。
僕にとって、当時アバドに傾倒した、
というだけに過ぎない。

特にライブがいい。
と言うか、僕はライブが好きだった。
舞台人特有の心情なのだと思う。

だからイタリアは、僕を魅了するのだろうか。
冷静と情熱のあいだ、とはよく言ったものだ。

熱く指揮する彼を観るのも楽しいし、
演奏するベルリン・フィルも実に楽しそうなのだ。

ウィーン・フィルと対照的なベルリン・フィルが、
カラヤンから解放されたようにも見える。

復帰してからもアバドは精力的に活動して、
僕らを楽しませてくれた。

ただアバドとポリーニの共演を、
ライブで観る夢は叶わなかった。

それが不思議と、それほど残念でもない。

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