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シティ・オブ・エンジェル

映画ではなく、音楽の話を。

「Iris」について先に書いたが、
やはりこのサントラは出色の出来。

もうひとつ、書いておかねばならない。

ポーラか、サラか。
いや、グランジのシンガー・ソングライター、
アラニス・モリセットだ。

ポーラ・コールの「フィーリング・ラヴ」、
サラ・マクラクランの「エンジェル」。
もともと実力のあるふたりで、
見事に映画の世界に合っている。

だが95年のデビュー・アルバムが、
驚異的なヒットを記録した、
アラニス・モリセットが、3年の沈黙を破った、
「アンインヴァイテッド」は凄い曲だった。

溜まりから噴き出すような魂の叫び。
重く引き裂くようなギターのグルーヴ。

愛の歓びと苦しみの曲。
この曲で振付して踊ったことがある。

一人の女性を二人の男性が奪い合う中で、
女性は悦び、哀しみ、苦しみ、追い詰められる。

そんな踊りだったと思う。

本当は一人の男性の、善と悪に翻弄されるのだが、
ふたりのダンサーにして、男性の葛藤も入れた。

それはもう観る人の感性に委ねた。

曲を聴けば、最後はおわかりだろう。
男性に追い詰められ、
女性は壁際で仁王立ち、自ら喉を切る。

自分が振付した曲の中で、
これ以上はもう無理とまで思った。

自分の振付に拘りが無くなった。
当時僕は、かなり荒れた生活をしていた。

仕事とプライベートの境がなく、
プレッシャーとストレスに縛られ、
舞台に逃げていたところもあった。

舞踏家は役者に似たところがある。

舞台を降りても、演じているのか、
いないのか、わからなくなる。

役を演じることに、
ハマる気持ちがよくわかる。
別の人格になれるのだ。

抗い難い、破滅への甘美な誘惑だった。

You're uninvited.

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