第4回 目玉焼きご飯

今少しマズイ状況にある。また意味もなく徹夜したため空腹度が120%に達したこと、明日の朝7時には出かけなければいけないのに旅行の支度が終わっていないことが原因である。

とりあえず暴れまわる腹の虫を鎮圧するために台所へ向かった。お盆から9月中旬までロングバケーションに入ってしまう近所のパン屋で買い占めたいくつものパンがテーブルの上に転がっている。冷凍庫を開けるといつものようにカチコチになった食パンたちが眠っていた。

「この家はパンしかねえのか……」と心の中でつぶやく。米派に厳しい環境だ。

しかし、よく見るとこの前1斤以上冷凍されていた食パンはだいぶ減っており、代わりにラップに包まれた白米が3パック詰められていた。空いたスペースが有効活用されている。

白米2パックを手に取り、ラップに包んだまま器に入れ電子レンジにかける。

冷蔵庫からは卵とハムを取り出す。小さめのフライパンを火にかける。

これから目玉焼きごはんを作る。

第4回 目玉焼きごはん

最初に断っておくが、筆者はあまり卵料理が好きではない。みんなが大好きなオムライスや親子丼も他に選択肢がある場合はできるだけ頼まない。

特にゆで卵が苦手でラーメンなどのトッピングにいるアイツはこちらをあざ笑うかのようにぷかぷかとスープの海を最後まで泳いでいる。黄身が半熟ならまだマシなのだが、固茹ででパサパサになった卵黄はスープに溺れさせてから食べる。

子どもの頃の朝ごはんは目玉焼きがスタメンで、しかも黄身までしっかり火が通っているタイプだった。喉が渇いているときに食べたくないものランキング上位に入る固焼き目玉焼きの黄身。あるとき、「目玉焼きはもういらない」と母に伝えたため、レギュラーから外されることとなる。

それから数年後、なんの前触れもなく朝ごはんのスタメンに返り咲いた目玉焼きは、強くなったどころかちょっと衝撃を与えただけで黄身が破けるヤワなやつになっていた。母が固焼き派から半熟派に寝返ったためである。どちらかというと卵は半熟派かつ米派であった筆者は、なんとなく超半熟目玉焼きをほかほかの白米の上にのせて食べた。意外に美味い。これが目玉焼きご飯のプロトタイプである。

その後、目玉焼きと米があるときに目玉焼きご飯の試作を続けた結果、究極の調理方法を生み出した。

そのアルティメットレシピを今から再現してみよう。

よく熱したフライパンでハムを焼き、上から卵を割り入れる。このとき、卵を落とす打点はできる限り低くしなければならない。高いところから割り入れるとフライパンに飛び込んだ衝撃で卵の細胞が壊れてしまうらしい。「ためしてガッテン」で紹介されていたので都市伝説ではないことは確かだ。

母のやり方を見よう見まねでフライパンに少量の水を注ぎフタをしてみる。ジュワーッと水が蒸発している。卵を焼いている間にご飯の準備をしよう。

先ほど電子レンジにかけ解凍されたご飯は思ったより量が多い。ためしに計ってみると255gあった。牛丼屋の並盛ぐらいある。どうりで茶わんがわりに使った器が白米でいっぱいになっているわけだ。そのまま飯の量は気にせず粉チーズをこれでもかというぐらいかけておく。

目玉焼きは黄身が薄く膜を張った程度で火を止める。あとは余熱で火が通っていく。この超半熟目玉焼きをご飯にのせれば完成だ。


いざ、実食。

何度も作っているだけあって安定した美味さがある。

粉チーズの旨味成分のおかげで白米はいくらでもすすむ。焼き加減は最高でプリッとした白身にハムの塩気がうつってこれまた美味い。

100gほど(通常の茶碗1杯分)米を食べたところで、黄身にぷすりと穴を刺しそこに醤油をたらす。水分が抜けて濃厚になった黄身と一緒に米をかきこむ。ここに追い粉チーズをキメる。不味いわけがなかろう。

牛丼並盛に匹敵する米を朝からペロリと平らげ、すこぶる健康的な1日を過ごせそうなのだが、脳みその働きはいつも以上に鈍くなっている。なぜなら、心地よい満腹感とともに強烈な眠気に襲われているからである。

無意味な夜更かしは良くないのだ……。

#レシピ #ブログ #料理

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