米国D2C投資の最前線-Forerunner Venturesの投資先D2C企業一覧と特徴:D2C Brands.com vol.02

D2C Brands.comはD2C市場について考察をテーマに運営している。
①note:D2Cに関連するトピックスを取り上げ、考察を記載する。
②Twitter:他メディア(主に海外)のシェア
※Twitterではnoteの更新通知も行っていく。

1.米国Forerunner Venturesの3億6000万ドル規模のファンドレイズ
2018年10月8日米国のForerunner Ventures(以下、Forerunner)が3億6000万ドル規模のファンドレイズを発表した。


スタートアップ投資の盛んな米国において、この額のファンドレイズは特段大きい訳ではない。
Forerunnerの最も大きな特徴は米国で成功しているD2Cを多く輩出してきたことだ。
過去の投資先にはAwayBonobosDollar Shave ClubGlossierProseWarby Parkerなど日本でも知名度の高い企業がずらりと並ぶ。
まさに米国のD2Cマーケットを牽引してきた存在ではないだろうか。
また、余談だが米国にはLERER HIPPEAUなどその他にもD2Cに強いVCが存在する。こういったVCがallbirdsCasperなどに投資してきたのだ。
今回のnoteでは今回大型なファンドレイズを発表したForerunnerが投資するD2C企業を一覧化してご紹介したい。
今後、D2Cで起業する方やVCの方々のマーケット選定等の参考になれば幸いだ。

2.Forerunner Venturesが投資するD2C企業一覧
1) AWAY
・プロダクト:スーツケース
・創業者:Steph Korey,Jen Rubio
・創業:2015年
・拠点:ニューヨーク
・ステータス:投資中

2) Birdies
・プロダクト:高価格帯のスリッパ
・創業者:Bianca Gates,Marisa Sharkey
・創業:2016年
・拠点:サンフランシスコ
・ステータス:投資中

3) Bonobos
・プロダクト:メンズアパレル
・創業者:Andy Dunn
・創業:2007年
・拠点:ニューヨーク
・ステータス:2017年ウォルマートに売却

  4) Choosy
・プロダクト:レディースファストファッション
・創業者:Jessie Zeng,Sharon Qian
・創業:2017年
・拠点:ニューヨーク
・ステータス:投資中

5) Cotopaxi
・プロダクト:アウトドア製品
・創業者:Davis Smith,Stephan Jacob
・創業:2013年
・拠点:ソルトレイク
・ステータス:投資中

6) Curology
・プロダクト:皮膚科医のカスタマイズスキンケア
・創業者:Dr. David Lortscher, Glenn Lortscher, Dr. Nancy Satur
・創業:2013年
・拠点:サンフランシスコ
・ステータス:投資中

7) Dollar Shave Club
・プロダクト:髭剃り
・創業者:Michael Dubin
・創業:2011年
・拠点:ロサンゼルス
・ステータス:2016年ユニリーバに売却

8) Draper James
・プロダクト:レディースアパレルと家庭用品
・創業者:Reese Witherspoon
・創業:2015年
・拠点:ニューヨーク
・ステータス:投資中

9) Glossier
・プロダクト:コスメブランド
・創業者:Emily Weiss
・創業:2015年
・拠点:ニューヨーク
・ステータス:投資中

10) Hims
・プロダクト:メンズヘアケア、スキンケア、ヘルスケアブランド
・創業者:Andrew Dudum
・創業:2017年
・拠点:サンフランシスコ
・ステータス:投資中

11) M.Gemi
プロダクト:ハンドメイドのイタリアンシューズ
創業者:Ben Fischman, Maria Gangemi
創業:2015年
拠点:ボストン
ステータス:投資中

12) Outdoor Voices
プロダクト:スポーツウェア
創業者:Tyler Haney
創業:2013年
拠点:オースティン
ステータス:投資中

13) Prose
プロダクト:パーソナライズシャンプー
創業者:Arnaud Plas, Paul Michaux
創業:2017年
拠点:ニューヨーク
ステータス:投資中

14) Reformation
プロダクト:レディースアパレルブランド
創業者:Yael Aflalo
創業:2009年
拠点:ロサンゼルス
ステータス:投資中

15) Ritual
プロダクト:ビタミン製剤メインのウエルネスブランド
創業者:Katerina Markov Schneider
創業:2015年
拠点:ロサンゼルス
ステータス:投資中

16) Serena&Lily
プロダクト:家具、寝具
創業者:Serena Dugan, Lily Kanter
創業:2003年
拠点:サンフランシスコ
ステータス:投資中

17) The Inside
プロダクト:家具
創業者:Christiane Lemieux
創業:2016年
拠点:ニューヨーク
ステータス:投資中

18) Warby Parker
プロダクト:メガネ
創業者:Neil Blumenthal, David Gilboa
創業:2010年
拠点:ニューヨーク
ステータス:投資中

以上、Forerunnerが投資するD2C企業をご紹介した。
万が一、抜けているもの等ありましたらDM等でご指摘頂けますと幸いです。

3.Forerunner投資先におけるD2Cの特徴と共通点について
さてここまで18社のD2C企業を一覧化してきたが、それぞれに少なからず共通点があるように思える。

1) プロダクトの業界について
まずはプロダクトの業界についてだ。
日本でもD2CというとBonobosやEverlane、Glossierなどが非常に有名でD2Cというとアパレルや美容系のイメージがあるのではないだろうか。
実際に上記のD2Cを分類するとどのような内訳だろうか?


アパレル→8社(約44%)
ビューティー→5社(28%)
インテリア→2社(11%)
食品→1社(6%)
その他→2社(11%)


であった。分類は少し難しいところもあるが、概ねこういった比率だろう。
アパレルが圧倒的に多く、続いてビューティー、インテリアと続いている。
これは成功事例があるからということもあるだろうが、既存企業のビジネスモデルや顧客とのコミュニケーション方法など様々な理由があるのではないだろうか。
今後になるが、なぜD2Cでこういった業界が多いのかなどについてもnoteで考察をしていければと考えている。

2) 創業者について
上記で28名の創業者を記載させて頂いている。
リストアップしながら感じたことが女性の創業者が非常に多いという点だ。
米国は日本と比較すると女性起業家は多いイメージだが、とはいえ男性起業家の方が圧倒的に多い。
しかし、ことこのD2Cビジネスにおいてはどうだろうか?
実際に内訳を算出してみた。

男性創業者→12名(43%)
女性創業者→16名(57%)

実際に女性創業者が半数以上を占めていた。
アパレルやビューティーという商材柄なのか、何が理由なのかこういったことについても今後考察できればと思う。

3) 拠点について
拠点についても従来のスタートアップとは少し違う特徴があるのではないだろうか?
実際に内訳を算出してみた。

ニューヨーク→8社(44%)
サンフランシスコ→4社(22%)
ロサンゼルス→3社(16%)
ソルトレイク→1社(6%)
ボストン→1社(6%)
オースティン→1社(6%)

集計してみるとニューヨークが多いのが特徴である。
サンフランシスコは比較的に先端的な企業が多いのに比べて、ニューヨークは古くからある伝統的な企業が多く、様々な産業を経験した人が起業するということが影響しているのではないだろうか。
D2Cは従来のインターネット産業に比べてバリューチェーンの幅が広いため、より多様な人材が必要なのだろう。
また、アパレル領域が多いことはサンフランシスコよりもニューヨークの方が四季があるため、ファッションという観点で文化形成がしやすい等もあるのではないだろうか。
こういったところについても今後、考察していければと思う。

以上、本日はForerunner Venturesの投資しているD2C企業についてご紹介してきた。
ただ、米国にはここにリストアップした以外にも様々なD2Cブランドが存在する。
本noteを通して、今後更に米国のD2Cブランドについてはご紹介していきたい。
また、今回のnoteは特にこれから起業する方のマーケット選定に役立てばと思い、作成しているがあくまでこれは米国の企業であり、日本で同様にやれば成功する訳ではない。
米国企業を参考にしながらも日本の特性を理解し、日本オリジナルなブランドを創出してもらえると嬉しい。

最後までご覧頂き、ありがとうございました。
何かご指摘やご不明点等ありましたらTwitterよりDMを頂けますと幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?