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怒りを人に出さない

中国で実際に起きた事故のニュースです。上の画像は中国のバスの様子です。乗客が途中で下車したいと要求し、運転手は途中下車はできないと口論になり、乗客は携帯電話で運転手を殴りました。その直後、怒った運転手はハンドルを大きく左に切り、バスは乗客十数人(幼児も含む)を乗せたまま高い橋から河へ飛び込みました。乗客は全員亡くなりました。

このニュースを聞いて本当に恐ろしさや、気分が悪いというか、怒りというか、なんとも言えない気持ちになりました。

この問題の本質は何でしょうか。殴った乗客が悪い、運転手が悪い、という話ではないと思います。

このニュースの教訓は、

「怒りが暴走するととても怖い、怒りを暴走させてはいけない」

ということです。やはり怒ってはだめです。怒りは失敗・破滅への道です。

 

怒りとは?

そもそも人間の怒りというのは何なのでしょうか。

怒りというのは防衛本能です。自分の身体や自尊心が何かの攻撃にさらされたときに瞬時に自分の身を守るための本能的な働きです。

急に人に携帯で頭をなぐられた、すると攻撃されたことに対して本能的に怒りという反応が出ます。心臓がバクバクし、血圧が急上昇し、興奮状態になり、すばやく身体を動かし攻撃を避けたり、反撃できるスタンバイ状態に自動的に身体がなります。これは本能なのでこれを無くするということはほぼ不可能です。何か攻撃されると必ず怒りは出てしまうものです。怒りという防衛本能が身体を守ってくれるのです。

 

怒りを暴走させると失敗・破滅する

誰かに自分の身体や自尊心を攻撃されると防衛本能である怒りが瞬時に発動します。そしてその怒りにまかせて暴走すると、上記のバスの運転手のように破滅してしまいます。本来身を守ってくれるはずの防衛本能が身を滅ぼしてしまうのです。

怒りに任せて得することは何一つありません。損するだけです。

 

怒りを暴走させてはいけない

瞬時に怒りが生じるのは本能なので仕方ありません。大事なのはそれを自分の心の中だけで処理して、絶対に外に出さないというこです。殴られるとか極端な攻撃を受けるとかではなくても、ちょっとしたイライラすること、悪口を言われたとか、嫌な事を言われたとか、そういう場合も同じことです。

イラっとしても自分の心の中で処理して、それを絶対に外に出してはいけません。外に出しても損をするだけです。得することは1つもありません。

仕事で疲れて帰ってきたのに、隣の旦那さんの方が稼ぎがいいと言われたり、

家事育児でフラフラになっているのに、仕事をしなくて楽だなと言われたり、

取引先業者や部下が思い通りに動かず、失礼なことを言ってきたり、

身体だけでなくこのように自分の自尊心が攻撃されたときにも、防衛本能である怒りが瞬時に生じます。そしてもし怒りを暴走させて相手に「うるせえ、ばかやろう」と言ってしまったらどうなるでしょうか。相手ももっとヒートアップします。そして最後には離婚だ、とか、最悪は。。。、というように恐ろしいことになってしまいます。100損することはあっても1つも得しません。

怒りが瞬時に自分の中に生じるのは仕方ありません。でも絶対にそれを外に出してはいけないのです。

怒りの原因になるような災難は大なり小なり、生きていれば必ず襲い掛かってきます。大事なのはその時どう反応するかです。

 

怒りを人にださない方法

こういう感情をコントロールする方法をブッダや仏教は2500年前から研究してきました。

その答えは、「内観」です。

内観というのは、自分の心と身体の状態を客観的に観察するということです。

今、自分の心の中に怒りという防衛本能が生じた、心臓がばくばくしている、手から汗がでて、体中が熱くなっている、呼吸も乱れている、

このように5秒くらいゆっくり息を吐きながら、自分の心と身体を観察します。無理やり怒りを押さえつけるのではありません。ありのまま観察します。

すると自動的に怒りは弱まります。なぜなら潜在意識レベルにあった怒りが、顕在意識レベルになったからです。第三者の視点から客観的に自分を観察するとふっと怒りは弱くなります。顕在意識レベルになれば後は制御可能になります。

脳が怒りを暴走させます。あいつが~だから悪い、~だからだめだという脳の思考はストップしてください。

ここまでくればもう怒りはかなり弱まっているので、制御できるでしょう。

このまま怒りを暴走させると中国のバスの事故のようになってしまう、どう反応するのがベストか。良く考えてください。

そして攻撃や暴言を吐いてきた相手に静かに「そうだね」とスルーすればいいのです。これで正面衝突の危機を回避できます。怒りを相手に出さないことで100倍得するのです。

 

魂の修行

これは絶対に怒りを外に出さないという魂の修行です。怒りを出さない方が良いという理屈は5歳の子供でもわかります。でも実践するのは80歳の老人でもなかなか難しいものです。

実は私もそうとうの短気です。嫌なことがあるとすぐ人に出してしまう傾向がありました。私の父がものすごい短気な人でよく母に八つ当たりするのを見ていましたから遺伝だと思っています。今は反省し「内観」の猛修行中です。

すぐに完全に怒りを制御するのは難しいですが、「内観」の練習を続けているうちにだんだんと、お、以前より怒りをうまく制御できるようになってきたな、という状態になってきます。

諦めずに「内観」の練習を続けましょう。この「内観」ができるようになると自分も第三者の視点から客観的に判断する能力が高くなります。

日本一のお金持ちになったユニクロの柳井さんは自分が成功した原因は自分を客観的に見る能力が人より高いことだと言っています。

優れた司令官であった山本五十六さんもぐっとこらえて外にださないこと「男の修行」が大事であると言っています。

なかなか成功できない人は自分を客観的に見れないことが人生のボトルネックになっている場合が多いです。自分を客観的に見れることは、生活や仕事など人生成功の重要なセンターピンであると言えます。

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