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2018年、自尊感情低めのフリーランス編集者だった

一般的なフリーランス像というものがよく分からないけれど、フリーランスで働くというのは、やっぱりただの手段の一つでしかない。

しかし、フリーランスで働いてると、周りの人から「すごい」とか「優秀」とか「しっかりしてる」なんて言われる。思うにそれは、非エンジニアがエンジニアに対して「すごい」って言っている構図と変わらない気がしている。そりゃもちろん、フリーランスに「すごい人」や「優秀な人」「しっかりしてる人」はいるけど、それはそういう人”も"いるというだけで、そこは会社員と同じだと思う。

僕はスキルが高いからフリーランスになったわけではない。

フリーランスでそれなりに食っていけると思ったわけでもないし、フリーランスになるなら会社員時代の3倍は稼げなくちゃダメだなんて話もよく聞いていて、今の自分のスキルでは絶対に届かないな、なんてよく分かっていた。それでもフリーランスになった。もちろん3倍になんかなっていない。

ならばどうしてフリーランスになったのか、という話はこちらを読んでもらえればと思う。

前置きが長くなった。

つまり、特別仕事ができるわけではなく、収入の目処がついていたわけでもない状態なのに、フリーランスという選択をとった自分が、結果食っていけているのか食っていけていないのか。どう過ごしてきたのかを1つの事例として残しても、いいのではないか。参考になる人がいるのではないかと思った。

「早川くんは何ができるの?」と聞かれても「うーん…。何ができるんですかねえ…」としか答えられなかった編集者がフリーランスになった結果、どうなったか。

ということで、フリーランスの編集者・ライターとして独立した2018年6月からを振り返る。

簡単に経歴を説明すると、

Webコンテンツ制作会社→Web系編集プロダクション→フリーランス

新卒から一貫して、企業オウンドメディアの記事コンテンツ制作を編集者として担当してきた。

何も考えていなかった6月

6月15日(金)付けで退職し、6月18日(月)からフリーランスの編集者・ライターとしての活動を始めた。

仕事が何も決まっていない状態からのスタート。あまり公に独立したことを言うつもりはなかったので、退職エントリーもnoteに書いただけでSNS上では特にアピールはしなかった。何でかと言うと、退職するとご祝儀的に仕事が舞い込んでくるという話だったので、それがなんとなく嫌だった。だって、散々アピールして仕事が思ったより来なかったら絶対きつい。仮に来てもそのあとだんだんと依頼が来なくなるのもきつい。だったら、0からスタートした方がいいと思ったのだ。

結果、フリーランスとして稼いだ額は4万円以下。記事の執筆ではなく、データ入力に近い仕事をピンチヒッターとして担当した。

もし時間が巻き戻るなら?

そんなのめちゃくちゃ独立したことをアピールするに決まってる。じゃないと仕事来るわけないだろ。

少しずつ焦りだすもまだ楽観的な7月

6月に請求したお金が入るのは7月の末。6月15日分までは前職の給料が発生するので、なけなしの貯金を崩せば生活はなんとかなるにしても、8月以降の生活に暗雲が立ち込める。

さすがに焦り出し、仕事を探した。運よく、友達がエンタメ系のメディアで記事を作れる編集者を探していたので、一瞬で連絡して担当編集者に。

今まで仕事として担当したことはなかったので得意ジャンルと言ったことはなかったが、一番興味あるジャンルはエンタメ系コンテンツ。まさに渡りに船だった。新規メディアなので初月はほぼ収入に影響はないが、なんとかまとまったお金が入る目処がついた。

偶然、別のメディアからも編集担当として声をかけられ、意外になんとかなるのではと、この時期は楽観していた。

前職からの仕事もぼちぼちあり、今月はなんとか会社員時代と同じくらいの収入になるかなと思っていたところ、なんと請求書作成の段階である勘違いが発覚。

7月分として請求できると思っていた仕事の一つが、8月分請求だった。今月分は20万円を超えるな~なんて楽観から一転、執筆2本+編集2本のみの請求になり、この月の請求額は7万円を下回った。

フリーランス初心者、請求タイミングは事前に確認しよう。

転機となった8月

先月に書いていた、

別のメディアからも編集担当として声をかけられ、意外になんとかなるのではと、この時期は楽観していた。

この話は急になかったことに。フリーランスあるある。

フリーランスとして一カ月を過ごしたタイミングでようやく重い腰を上げて営業というものをしてみる。と言っても仕事のもらい方が分からなかったので、前職の先輩に「仕事がないんです」と言ってみた。

「取材のアポからスタッフのアサインまでできる」ということで、取材記事の執筆や編集をいくつか担当させてもらえた。これがゼロから仕事をもらった初めての経験となる。

なるほど、少なくとも仕事をもらう方法を一つは知ることができた。トータルで2年ちょっとではあるが、編集をずっとやってきたので、取材のアポも自分でとってたし、ライターやカメラマンのアサインもしていた。複数人のライターディレクションの経験もある。フリーランスという「個人で仕事をする手段」を選んでおきながら、自分には何ができるか分からなかったし、自分は何もできないなと思っていたけど、少なくとも今までやってきた業務のことは分かる。

自分に自信を持てたわけではないけれど、何もできないわけではないんだなと自己肯定感が上がった。「これができます」とは言えない自分でも「これをやってきました」という言い方ならできる。

この月はエンタメ系メディアの担当本数が増えたのに加え、前月で請求がずれた分のお金が上乗せされたので30万円は超えた。

そういえば、ライターとして取材記事を執筆したのは久しぶりだった。

塩を舐めた9月

まとまったお金の請求ができたもの、口座に振り込まれるのはまだ先の話。貯金が尽きたため生活が回らない。友達との飲み会をカードで支払わせてもらい現金を錬金する。プライドを捨て、親に頭を下げて10万くらい貸してもらった。こんなのは最後にしたい。

お金が無くて塩を舐める日もあった。なぜかこのツイートをしたあと、いろんな人から「ちゃんとご飯食べれてる?」とLINEが来てご飯に行った。易しい。違う。優しい。

さて、お金のことを細かく言うのも品がないような気がするので、このあたりで先に伝えておくと、8月以降は請求額が安定して、あまり変化がない。つまり冒頭の「食っていけているのか」という問いの答えとしては「食っていけている」ということになる。やはり、最低限自分が提供できる価値と仕事の取り方を理解したことが大きいようだった。

なのでここからは、フリーランスとしての印象的な出来事や、新しい仕事をどうやってとっていたかについて書ければと思う。

9月は初めて地方取材をした。取材先にも、クライアントにも、依頼してくれた会社の先輩にも、全方位に喜んでもらえた記事だったので、ものすごく印象的。

好きが仕事になり始めた10月

フリーランスになってから「やっていて良かったな」と思ったのは、noteを書き続けていたことだった。

noteの文章を直接のきっかけにして仕事をもらうことはなかったけど、仕事をいただいている人たちから「noteの文章が好きだから頼りにしてる」などと言ってもらうことが多かった。

そして、この月一番大きかったのはこの記事を書いたこと。

Twitterで餃子が好きだって話ばっかしてたら、編集部から「餃子の記事書きませんか?」と依頼が来た。

好きだって言い続けてたら勝手に仕事につながった初めての経験。「餃子」というキーワードに対して最初に思い浮かべてもらえたということなわけで、好きと言い続けること、周りから好きと認知してもらうことの重要性を強く実感。

ちょっとずつ自信が持ててきた11月

単発案件の数を減らして継続案件を増やしたくなった。

僕は自分のスキルに絶対的な自信があるわけではなく、むしろ自信がない。そんな自分が選べる戦略は何だろうと考えてみたところ、ただ愚直に仕事に誠実に向き合うという至極真当な答えにたどり着く。

何よりも、僕の文章を好きだと言ってくれている人の仕事は積極的に受けようと思った。期待してくれている人の仕事を受けることは、期待を裏切ってしまう怖さもあるが、それ以上に、期待に応えられたときの自己肯定感の上昇を考えた。この人にとっては「自分は価値がある」と思うことができれば、少しずつ自分に自信がついていくのではと思った。

とにかく「何かお手伝いできることはありませんか?」と言いまくった一ヶ月。そうやって、少しずつ継続案件が増えていった。

書き仕事ばかり挙げていたので、編集担当記事にも触れる。

理想的なタイミングで迎えた12月

「もっと早川くんの文章を読みたいから書き仕事増やしなよ」と言われることが増えたため、意識的に書き仕事を増やした。

その結果なのか、12月はフリーランスになってから一番仕事を頑張った月になった。

振り返るとスローペースだったけど、自分のやり方はそこまで間違っていなかったのかなと、少し自信がつくくらいには働けたと思う。

12月の仕事で公開されているもの。編集したもの。

執筆したもの。

2019年について

・長期的にお手伝いできる会社 or 正社員として一緒に働きたい会社を探す

フリーランスを辞めたいという話ではない。でも、当初からフリーランスとして働くのは1年くらいかなあと考えていたので、そろそろ正社員に戻る選択肢を考えたい。ただ、業務委託などの形で長期的にお手伝いできる会社が見つかった場合は、もう少しフリーランスを延長してもいいなと考えている。正社員の場合でも、今まで助けてもらってきた、お世話になってきた方たちのお手伝いはできる状態にしたいので、副業がOKな会社を希望している。

・縦書き日記が気に入っているので更新頻度上げたい

7月から始めたこの縦書きの日記が気に入っているので、もっと更新をしたい。誰が読んでるか分からないけど。

・ドラマや映画を中心に、エンタメコンテンツにもっと触れたい

仕事として、ドラマや映画作品を扱うことが増えたので、もっとたくさんの作品に触れて、知識の幅を広げたい。今のままでは浅いなと自分で感じてしまう。

また、ドラマ好きを公言していたら「お悩み相談」とセットで「こういうときにどんなドラマを観たらいいか」相談されることが徐々に増えてきたので、もっと相手に寄り添って答えられるようにしたい。

・恋愛系のコラムを書きたい

ただの願望。自分自身はあまりきれいな恋愛はしておらずだらしない恋愛ばかりしていると思うんだけど、上記記事は他人の恋愛話を聞いた上で、それについて自分で考えたことをまとめた。

・2018年に会えなかった人に会う

会いましょうと約束しながら会えていない人たちが何人かいるので、切実に会いたい。

以上。

振り返り始めたら時間がかかりすぎてしまって、完全に微妙なタイミングになってしまった。よいお年を。

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