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2024年3月締め請求書のお手紙

私たちデザインモリコネクションは、陶磁器デザイナー・森正洋さんのデザインした製品の卸売を主な活動としていて、毎月、お取り扱いいただくショップのみなさまへ請求書をお送りしています。
ふと思い立って、2021年9月分から、請求書を発送する際、お手紙を同封するようにしました。その時々に思ったことなどを書いています。何を書いたか保管しておく意味もあり、noteに置いておきます。
請求書をデジタル化した方がいいんだろうけど、その場合、こういうお手紙をどういう形でつけたら良いのか、悩ましいところ。


3月8日は、女性の地位向上を目指して国連が定めた「国際女性デー」でした。ウィキペディアによると「国際女性デー(こくさいじょせいデー、英: International Women's Day)は、女性の地位向上、女性差別の払拭等を目指す国際的な連帯と統一行動の日。」とのこと。

総理府(今で言う内閣府)の設置した「婦人に関する諸問題調査会議」の報告書(昭和49年3月)には、冒頭から「戦前の日本における女性の地位は、いうまでもなく、極めて低かった」とあり、さらに、幼いときから男子と比べ軽視され、結婚後は夫に従属を強いられ、政治に参加する権利もなく、というような内容が続きます。

こういう状況からすれば、現在はまだマシになったのかもしれませんが、国立女性教育会館のサイトには(いろいろ検索してみて、こんな組織があるのか!と驚きました)、「現在の日本では憲法に男女平等がうたわれているにもかかわらず、政策・意思決定過程への女性の参画率の低さ、男女間の賃金格差、育児・家事へ参画する男性割合の低さなど多くの問題があり、日本の男女共同参画社会実現は未だ道半ばにあると言えます」とあり、たくさんの課題があることが分かります。

政策・意思決定過程への女性の参画率の低さについて、調べてみると、今の国会議員の女性の議員割合は15.6%、地方議会は15.1%でした(内閣府男女共同参画局の資料「女性活躍・男女共同参画における現状と課題」より)。国際比較すると、国会議員の比率で、190カ国中140位。お近くの国だと、中国は86位、韓国は121位、ロシアとタイは138位。

日本の男女間賃金格差については、経済協力開発機構(OECD)のサイトによると、2022年の男性一般労働者の給与水準を100としたときの女性一般労働者の給与水準は78.7。日本は、韓国、イスラエル、ラトビアに次ぐワースト4位。OECD加盟国の平均は87.9。

去年、メルカリが自社の男女間賃金格差を調べて、是正する対策を取ったことが話題になりました。その時点でのメルカリの女性の給与水準は、男性100に対して62.5で、さらなる分析では、同じ属性・パフォーマンスの男女間において7%の「説明できない格差」があり、7%の格差を2.5%に縮小する報酬調整をしたとのこと。

2022年から、常時雇用する労働者数が301人以上の事業主は、男女の賃金の差異(格差)を公表することが義務になっています。自治体も公表が義務づけられていて、私の住む嬉野市は令和4年度のデータで、「任期の定めのない常勤職員」で男性100として女性87.6、「任期の定めのない常勤職員以外の職員」で男性100として女性85.3、全職員で男性100として女性66.6。なぜ「全職員」になるとこんなに格差があるのかというと、嬉野市の説明では「全職員でみた場合、女性は男性よりも「任期の定めのない常勤職員以外の職員」の占める割合が高く、会計年度任用職員(短時間勤務)の人数も多いため、平均給与額が低くなっています」とのこと。つまり、身も蓋も無いことを言うと、給与の低いポジションに女性がたくさんいますということで、これは改善すべき課題なのかなと思います。そもそも雇用形態別にデータを出す意味が分からなくて、要するに「男女間の格差ではないです、雇用形態が違うから違うんです」という言い訳なのですが、給与の低い雇用形態でしか働けない女性がたくさんいるのであれば(女性という属性によって、雇用形態が限定されてしまうのであれば)、それは男女間の賃金格差なのでは?と思うのですが、どうなんでしょうか・・。社会全体の問題でもありますが。

育児・家事へ参画する男性割合については、5年に1回、総務省統計局がやっている「社会生活基本調査(2021年)を見てみると、6歳未満の子供がいる世帯のデータがありました。育児は、夫1時間5分、妻3時間54分で、前回(2016)と比べると、夫16分の増加、妻6分の増加。家事は、夫30分、妻2時間58分で、前回(2016)と比べると、夫13分増加、妻9分の減少。こうやってデータを見ると、めちゃくちゃ偏っていることが分かります。

私自身のことで言えば、仕事の時間は10時から16時に設定していて、育児は、保育園の送り迎え、お風呂、寝かしつけ、保育園への連絡帳記入(2年くらい前からアプリになった)など、妻と二人で楽しみつつ悩みつつ共有してやっています。家事は、毎日の洗濯のうち、干す作業とコインランドリーに行く作業(必要があれば)をやっているくらい、掃除は気づいた時に掃除機をかけるくらい、買い物はお迎えついでにスーパーに行くくらい、カレーや鍋や簡単なパスタを作ったりくらいで料理はあまり得意ではないので、妻・母に頼ってしまっています。皿洗いは割と好きですが、やはりもう少し料理ができれば良いなと思います。冷蔵庫にあるもので作る料理ができるようになりたいところですね。三浦哲哉「自炊者になるための26週」、白央篤司「台所をひらく」などの本が気になっています。

女性差別の問題も、大きく捉えると、「誰かがその属性によって不利益を被ることのないようにしよう」という人権の問題だと理解できるのかなと思っていて、今後も、ジェンダーについて、フェミニズムについて、こつこつ調べて、2023年においても146か国中125位のジェンダーギャップ指数の日本で「男性」として生まれ育った自分の認識を変えていくことから、ぼつぼつやっていこうと思います。

2024.3.30

デザインモリコネクション有限会社
小田寛一郎

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