楽天がオーナー「ヴィッセル神戸」収益状況 - ポドルスキ獲得により利益はどうなるか -

デロイトトーマツが発表するJリーグを対象としたマネジメントランキングでヴィッセル神戸はJ1の中で最下位となりました。

こちらを参照

オーナー企業である楽天の本業がうまくいく中でヴィッセル神戸の経営は順調とはいえないのでしょうか。楽天はプロ野球球団である「楽天イーグルス」もオーナーとなっていますが、目下パリーグのCS優勝争いを演じており順調に球団経営が運営されています。

なぜヴィッセル神戸のビジネスマネジメントで高い評価を受けていないのでしょうか(同ランキングの基準はこちらを参照)。

ヴィッセル神戸の営業収益

営業収益は38.6億円と前年から2億円増となっています。
この営業収益を見るだけで、スポーツビジネスを少しでも勉強している方なら一目瞭然かと思います。全体の営業収益の割に、明らかに入場料収入の占める割合が低いことが目立ちます。

そもそもヴィッセル神戸の入場者数は2016年シーズンの平均で1万7000人とJ1平均水準で、決して少ない入場者数ではありません。J1順位でも18チーム中9位となっています。

しかしながら、客単価が極端に低い水準です。ヴィッセル神戸の来場者の客単価は1,925円で、J1平均の3,152円と比べるととても低い水準です。

これにより、結果として入場料収入、物販収入共にJ1平均から比べると低い水準となっているのです。一方で、広告料収入はJ1クラブの中でもトップクラスになっています(スポンサー一覧はこちら)。

ヴィッセル神戸の営業費用

営業費用は38.2億円と前年から2.6億円増加しており、中でもチーム人件費高騰によることが原因とわかります。

チーム人件費は2015年度(2014年シーズン)の12.4億円からものの2年間で7億円も増加しており166%増となっています。さらに2017年シーズンはポドルスキ選手獲得のために移籍金として約3.1億円、年棒は約9.6億円とも言われており、来年度の営業費用はさらに増加していきます。

すなわち、来年度のヴィッセル神戸は約10億円もの営業収益を積み増さないと赤字経営となる可能性すらあり、チーム全体の収益構造からしても身の丈以上の大きな投資と呼んでも良いでしょう。

もちろんこの背景には当然「DAZN」運営のパフューム社による潤沢な資金がJリーグに入るため、好成績を納めることによりJリーグ分配金の目処が立っていることがあります。Jリーグ分配金は今季から倍額の3.5億円に上がりますし、そのほか好成績を納めたチームには高い賞金額が配分されます。

ちなみに、ヴィッセル神戸の全体PLは以下。

今季のチーム運営

現在のJリーグ順位は9位とまずまずの順位を維持しています。
選手層としては前述ポドルスキ獲得に加え、オランダ1部リーグにいたハーフナーマイクを獲得するなど、オフィンス面での選手獲得が分厚くなりました。

一方で、3期目となっていたネルシーニョ監督の契約が解除されたほか、代表取締役社長が交代となっています(詳しくはこちら)。新社長の立花氏は、現在プロ野球球団の楽天イーグルスの社長も兼任しており、異例の体制に注目が集まっています。

大型の獲得に伴う、営業収益向上のためにどんな手を打ってくるのか、これからのスポーツビジネス運営に注目が集められます。一過性の大型獲得でなく、継続的に選手増強していくためには安定的な収益基盤が必要になります。これからの施策に注目していきたいと思います。

追記:本記事はイニエスタ獲得前に書いた記事で、以下にアップデートいたしました。


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