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「メイウェザーVSマクレガー記念」キングオブスポーツのボクシングビジネス

突然ですが、現在のヘビー級チャンピオンの名前を知っていますか?

サッカー選手のスーパースター、メッシやクリスティアーノ・ロナウドなどの名前は世界中の誰もが知っています。テニスで言えば、ナダルやジョコビッチなど、世界を駆け巡るスーパースター選手は世界中の名声を勝ち取っています。

ボクシングの世界ヘビー級チャンピオンの名前は知名度がありません。それがこのボクシングをはじめとした格闘技ビジネスのあり方を物語っています。その理由はボクシングビジネスにはサッカーや野球、アメフトのようなリーグビジネスではないからです。ボクシングビジネスは個人スターが全てをかっさらう世界観のビジネス構造にあるからです。

格闘技がキングオブスポーツと言われる理由

格闘技は全てのスポーツの頂点であるキングオブスポーツと歴史上言われて来ました。モハメドアリ、マイクタイソン、日本でもアントニア猪木や力道山、その国で有名なスポーツ選手を上げろと言われれば半数が格闘技選手を占めていた歴史にあります。格闘技選手はスポーツ選手の枠を超え、国民的アイコンとしてキングオブスポーツの象徴であり続けました。

日本の歴代スポーツの視聴率は以下の通りです。

オリンピックやFIFAワールドカップこそ入っていますが、そのほか、力道山のプロレスマッチやファイティング原田のボクシングマッチが占めています。いかに格闘技が国民のアイコンであり続けたかがわかります。最近でもK1やPRIDEを早出した日本の格闘技は、世界でUFCが圧倒的なスポーツビジネスとして君臨するの至ってます。

ボクシングはパウンドフォーパウンドの概念が浸透

総合格闘技はやはり世界一強い70億分の1を決めるプロレス的価値観で成り立ったPRIDEの歴史も根強く、ヘビー級の最強王者が人気を占めています。これは明確にスポーツでなく、プロレス的価値観です。

ボクシングの人気のスーパースターは明確にパウンドフォーパウンドの世界観です。これはスポーツの価値観が浸透しているからです。以下私がまとめた過去の世界でのPPV売上ランキングですが、ウェルター級のメイウェザーやライト級のパッキャオなどヘビー級以外のパウンドフォーパウンドのスーパースターが列挙されています。

パウンドフォーパウンドとは階級が同一だった場合の世界最強選手、というフィクションの概念であり、階級を超えた戦いであるプロレスや大相撲のような日本的価値観とは別の概念のスポーツとして世界では捉えられています

ボクシングがPPV収益が全てな理由

ボクシングはPPV収益が収益のほとんどを占めています。もちろん個人競技の鉄則であるスポンサー収益も破格ですが、PPV収益と比較すると微々たるものと言っても良いです。

今回のフロイド・メイウェザーVSコナー・マクレガーを巡るビジネス構造を見てみましょう。今回の世紀の一戦の収益は4億USドル、日本円にして440億円にものぼるとも言われています。

PPV(ペーパービュー)の値段は米国では99USドルか89USドルで設定されており、400万以上の視聴数の購入が予想されています(フロイド・メイウェザー対マニー・パッキャオに次いで世界歴代2位)。PPV収益だけで400億円を超える収益に及ぶのです。Jリーグの年間収益にも及ぶ収益をたった1日で稼ぎ出されるのがボクシングビジネスです(改めて、驚異的です!!)。

このPPV収益は両者のビジネス交渉によるもので、両者の力関係によるものです。今回で言えば、8割程度がフロイド・メイウェザー側に収益分配に行くと言われています。そのほか、PPV収益以外にも、メイウェザーを取り巻く全ての物事がスポンサー収益が発生しています。

■メイウェザーのスポンサー収益
 ローブ:100万USドル(約1億900万円)
 ビクトリーキャップ :100万USドル(約1億900万円)
 リングインキャップ:50万USドル(約5400万円)
 ボクシングシューズ:100万USドル(約1億900万円)
 トランクス:100万USドル(1億900万円)
 リングスポンサー:500万USドル (5億4490万円)

たった一日で200億円以上がフロイド・メイウェザー側の個人収益になるのです!サッカーや野球、NFLやNBAでは考えられないまさにスポーツの頂点・キングオブスポーツと言えるでしょう。

ボクシング以外の総合格闘技ビジネス

ボクシングのような個人のスーパースターを取り巻くビジネスを、最近の総合格闘技では変革が進んでおります。当初の総合格闘技はヒクソングレイシーやグレイシー一族を取り巻く桜庭といった個人にスポットの当たったボクシングと似た構造にありました。

しかしながら、現代の総合格闘技はボクシングのような個人に頼ったPPV頼りのビジネス構造からリーグビジネスのような構造に近づいてきました。全てを変えたのは米国Zuffa,LLCが運営する「UFC」の存在です。個人のスーパースターでなく一流の総合格闘技選手が揃っている「UFC」を見れば、正解最高峰の試合を常に視聴することが可能になったからです。

UFCは単純なPPV収益から、リーグビジネスにも似たスポンサー収益やテレビ放映権ビジネスにシフトしつつあります。いずれもスポーツリーグビジネスを高度に理解した人物なら、当然に着手すべき戦略です。ボクシングはWBA、WBC、IBF、WBOのようなメジャー団体が乱立してしまうあまり、団体にスーパースター選手が依存する構造にならず、個人にスポットが当たる構造になってしまってます。

この構造を変えることは今から難しく、願うことは総合格闘技MMAの世界では個人に依存せずゴーイングコンサーンであるリーグビジネスにシフトしていってほしいと願うばかりです。リーグビジネスはNFLが最も参考になります。


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