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砂漠の子どもふれあいプロジェクト ③ チュニジアの砂漠地域にはどんな問題があるのか

チュニジアの砂漠地方の子どもたちと触れ合うために、小さな町をまわるという企画を進行中です。

家から出られない女性(家族以外の男性と顔を合わさないため)、同じ国の中での格差など。

チュニジアに住み、現地の撮影旅行や、ベルベル人家庭でのホームステイを通して、
旅行では知ることのできないリアルな姿を見てきました。

よそ者である自分にできることは限られています。
ですが日本人だからできることがあるかもしれないと考え、行動に移すことにしました。

現地に住んでいる、いち日本人が感じたことを、少しでも知ってもらえれば嬉しいです

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今回は、チュニジアの南部(乾燥した土地が広がる内陸部)ではどんな問題が広がっているのかを見ていきます。

貧困、職業の選択肢

ほとんどの南部の町は経済的に貧しい生活を強いられていて、
チュニジア国内では、北部と南部の格差が昔から課題となっています。

「日本も格差が広がってる」と言う人もいるかもしれませんが、
その貧しさや格差は日本とは比べ物になりません。

経済も資源も貧しい地域では稼ぎ方が限られているので、少ない選択肢の中から食い扶持(くいぶち)を得る手段を選ぶことになります。

かといってお金がない人たちにとっては、別の環境で新しい挑戦をすることも簡単ではありません。

教育、教養、知識

チュニジアではフランス語が『第二言語』として、日常的にも公的にも広く使われています。
北部(地中海側、ヨーロッパ側)の首都圏に住む僕は、ほとんどのチュニジア人がフランス語をしゃべれるという認識をもっていました。

しかしチュニジア語(アラビア語のチュニジア方言のようなもの)しか話せない人もたくさんいることを、南部を訪れた時に知ったのです。

より良い教育を受けようと思えば当然それだけお金がかかりますし、
学費だけでなく、それにともなっていろいろな費用が必要になります。

また、選ぶ生き方によって、『必要性を感じない知識』というものも生まれてきます。

例えば「地元の誰かと結婚して、家の中で子育てと機織り(はたおり)だけをして生活する」と考える女の子がいて。
さらに周囲の人たちも同じような生活をしているとしたら。

身近なこと以外に興味を持つ機会に巡りあえなかったり、必死で学ぼうと思えないとしてもしかたありません。

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女性の生き方の選択肢

これらの地域では「子どもを産んで、家の中で育てるのが女の仕事だ」という考え方が強く残っていて、
女性は外に出てはいけない、男と話してはいけないという風習が今もあります。

もちろん、この地域のすべての女性が、今の環境がイヤで苦しんでいるというわけではありません。

しかし閉鎖的な環境で、古い習慣にしばられて悩んでいる女性たちがたくさん存在するのも事実です。

この問題については今後くわしく見ていければと思います。

閉鎖的な思考、視野

健全な環境や発展には風通しが必要です。
しかし狭く、閉鎖されたこれらの町では、思考や視野が内向きになってしまいます。

ご存知ない方も多いと思いますが、チュニジアにはスターウォーズのロケ地がいくつもあります。

観光は現地の貴重な(町によっては唯一の)資源なのですが、
子どもたちに話を聞くと、スターウォーズを見たことがない。
そもそも知らないという声が多く驚きました。

外の情報に触れる機会が少ないと、目先のこと以外には他人ごとになりがちです。

さらには狭い世界で嫉妬や監視が生まれ、ますます新鮮な思考が生まれにくくなってしまいます。

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なぜこのような状況が生まれてしまうのか

まず考えられるのは地理的な要因です。
経済や文化など、あらゆる面で中心となっている首都圏やヨーロッパから距離が離れています。

また南部では町と町の間の交通インフラも発展していません。
そもそも行き来する人や物が少ないので、「不便だけど整備するにはお金かかるし、とりあえずこのままでもいいよね」と判断されてしまっています。

そうなると当然、人や物、文化の交流が活発になることはありません。
結果、お金がまわらなくなりますし、思考が内向き、閉鎖的になってしまう。
という負の循環が続きます

そして、その『閉鎖的な思考』も他の要因につよく影響しています。

この地域の子どもたちにとって『自分ごと』として感じられるお手本は、とても狭い範囲(例えば、親や親せき、近所の年長者、など)に限られます。

子どものころから物理的にも情報的にも閉じられた世界で生活しているからです。

現地の人と触れ合うと、ほとんどの人が現状に不満を持っているけれど、同時に諦めてしまっているような印象も受けます。

今の状況をどうにかしたいと思いながらも、本心では変えられると感じられないのかもしれません。

今回はチュニジア南部ではどんな問題が存在しているのかを見てみました。

問題点ばかりを並べましたが、この地域で幸せに暮らしている人たちや、開放的な思考を積極的にとりこもうとしている人たちももちろんいます。

しかし上で書いたような問題(環境、考え方、教育、経済、女性に対する認識など)が存在するのも事実です。
そして、それぞれの要因がさらに別の要因を強化する、負の循環となってしまっています。

つまり自力で現状を打破するのがとても難しい構造です。

そこで僕たちのような『外からの刺激』が状況を変える糸口になるのではないかと考え、今回のプロジェクトを起こしました。

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※ 今までや今後のプロジェクトの動向は ↓ のマガジンにまとめていきます。
マガジン 『砂漠の子どもたちふれあいプロジェクト 』

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