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カモミールティーと記憶。

中学校の頃から、コーヒー派一筋でやってきている。

自分のポリシーとして決め込んでいるわけでもないのだけど、どうしてもコーヒーは外せない。それはコーヒーが、これまでの思い出や記憶のシーンに、洗っても取れないシミのように染み付いているからだろう。コーヒーの味はもちろん、淹れる過程やトポトポと鳴る音、そして目に見えるかのような芳醇な香りもすべて。

それが近頃、日常のシーンにカモミールティーが登場し始めた。特に大きな音を立てるでもなく、高らかに登場宣言をするでもなく、私の人生にスルスルっと忍び込み、気づいたらそこにいたような。

カモミールティーを飲みたくなるのは、夜。今もまさにそう。左手のすぐ横にあるマグにあと少し残っている。ひんやりとしているけれど。

ちょっと疲れてたり、今日は気持ちよく眠りにつきたいなーと思う時に、ズズっと一口飲む。ホッと、絵に描いたようにホッとして、驚くほど力が入っていたことにすら気づかなかった肩の力が落ち、身体が緩んでいく。

こうして書いているこの瞬間も、一つの記憶としてこの後収納されるわけだけど、そこにはカモミールティーの香りと、このふわっとした感覚も、ぜひ一緒に残しておきたい。

1年後か、10年後になるのかわからないけど、その記憶の蓋を開けたときに、どんな風に思うのだろう。どんな私になっているのだろう。

なんて思いながら、今日の記憶をしまいこみ始める。