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[2章4項]現場ファーストの大切さ

先週に続き、今日は第二章「儲ける力」の第四項について読んでいきたいと思う。

第四項 現場・現物・現実

頭の中だけで経営はできない
ファーストリテイリングには、外部からある程度の経験を持って入社してくる人も多いので、特に、そこから経営者を目指すという人には注意してほしいのですが、頭の中だけでは経営はできないと思った方がいいです。分かった気になって頭の中だけで経営をすると、間違った判断をするリスクが高まりますし、それでは、仲間が本気になって一緒にやろうという気持ちにはなれないと思います。昔から「売場に必ず答えがある」と言われているように、それぞれの現場・現物・現実、こうしたリアルなものに身を置いて、五感を傾けて経営をしないと、本当に外す。外すというのは、お客様の期待を外すということもですし、仲間からの信頼や信用も外すということです。結果的に、商売が成り立たなくなります。例えば、マーチャンダイザーの仕事でも、デザイナーと企画を立てて、自分の満足のいく服が作れたら、それで仕事が終了みたいな感覚の人がいます。売れたかどうかよりも、自分が満足のいく服が作れたかどうかの方が関心事になっているわけです。アパレルの業界では、マーチャンダイザーというと一般的にこういうものだと思って仕事をしている人が多いのですが、これではいいマーチャンダイザーとは言えません。いいマーチャンダイザーの仕事というのは、商品が起点になりますが、取引先に発注をして、実際に店舗に入った時点から商売が始まって、在庫がゼロになるまで売り切っていく。それを全部見ていく。見ていくというのは、観察しているという話ではなく、同僚や部下のみならず、営業や他の部署の人にも働きかけて、時には教えてもらいながら、リアルなモノを前に、リアルな場所で、リアルな人たちと、最後は売り切るところまでリアルに商売を同していくということです。こういうことを大切にして行動できる人が、いいマーチャンダイザーですし、育っていくタイプの人はこういう人です。
また、実際に、こうやって、現場・現物・現実の中で仕事をして、自分で商売を回しているという実感をした方が、結果が出た時の喜びや達成感が全然違って、自分の仕事が本当に面白くなってくると思います。

指示をして仕事が終わりではない
ユニクロがフリースに挑戦をし始めた頃、一九九〇円の低価格で高品質のフリースを作ろうと思うと、やはり非常に離しくて、祖雑なものしかできあがってきませんでした。
その時、担当者に話を聞いたら「中国の工場に、何回も電話で指示しているのですが」という返事でした。
私は、それに対して「電話で指示?工場はバートナーなのですから、直接あなたが現場に行って、現物をして一緒に問題解決をしないとだめなのではないですか」と厳しく指摘をしました。
実際に中国に行ってみると、当時の状況ですと、工場の作業者側は「自分たちはまじめにやっている。どうして、そんな指示を受けなければいけないのですか」という考え方であることが分かりました。ですから、いくら電話で指示をしていても、右から左に流されておしまいだったわけです。
指示をすれば相手は動いてくれる、指示をしたことで自分の仕事は終わった、自分のやるべきことはできていると勘違いする人は意外と多いのですが、指示したことがリアルに動いていなければ、それは何も仕事をしていないのと同じなのです。
そしてフリースのこの例のように、難しい問題こそ、現場、現物・現実でことにあたらないと、本当に求める解決にはならないのです。

リアリティーの中に身を置いて仕事をするメリット
経営者になりたいと思って、経営に悩んだら、現場に入ってみたらいかがでしょうか。特に、売場には答えがありますから、売場に入ってみるのはいいことだと思います。店頭に立っていると、お客様が問題点を教えてくれます。
「この商品のこのサイズはないのか?」
「なぜ、このアイテムが置いてないのか?」
いろいろなことをお客様は言って下さいます。それを聞き流すのではなく、真剣に耳を傾けてみると、自分たちができていないこと、欠けていること、あるいは商売のポテンシャル、そういったものが見えてきます。とてもありがたいことです。
どんなお客様が実際に購入されているのかもよく分かります。売場に立つと、ユニクロのお客様の質が高いことが分かるはずです。
よく洋服を知っているし、勉強していらっしゃる方がお客様になって下さっています。
これを勝手に、自分たちの方がプロだと思って上から目線でお客様を見ていたら、とんでもないことになると思います。
帳簿上の数値だけに頼って、リアリティーのない指示をしていると、よかれと思ってやっていることが、かえって現場を疲弊・混乱させて、商売の利を損なわせることにもなります。
数値だけを見て、机上から「なぜできないのですか」「どうして私が指示していることをやっていないのですか」「はやくやって下さい」と指示をすることで仕事をしていると思ってはだめだということです。
問題が解決されないということは、何かあるなと考えて、現場・現物・現実を確認して、一緒になって解決をするようでないと、本当の問題解決はできないのです。
例えば、お店に商品が十分並んでいない時、帳薄数値だけを見て「もっと積まないとだめでしょ」と言って現場に怒って命令を繰り返すだけ。これでは仕事をしていないも同然、あるいは現場を疲弊させる分だけ、それ以下の仕事の仕方かもしれません。
そういった時には現場・現物・現実を確認してみることです。もしかしたら、あなたが上から目線で決めつけているような現場の怠慢ではなく、バックヤードがパンパンでどうしようもない状態になっているのかもしせん。
だとしたら、何をしてあげたら、あるべきお店の姿が作れるかを一緒になって考えて解決するということです。
もしかしたら、店頭にしばらく出さないような商品を別な倉庫に引き上げてあげたらいいのかもしれないし、バックヤードの人数を増強してあげることかもしれません。ケースバイケースで解決策は全部異なりますが、現場・現物・現実を確認すれば、あるべき姿のための現実的な問題解決ができるようになります。
たとえ話ではありますが、このように、数値が異常値になっていたり、問題が改善されない状況が続いていたら、「なぜそんなことになっているのか」を机上で考えるだけでなく、現場・現物を実際に見て現実を確かめたり、あるいは実際に自分も一緒に作業をやってみたら、一発で分かることが多いと思います。
またこうした作業を積んでいくと、救値を見た時でも「だいたいこういうことが起きているのではないか」という勘が働き、実際の問題解決に役に立つアイデアが出てくるようになります。逆にそうならないと、アイデアと言いながらいつまでも机上の空論ばかりで、現実かんのある商売にはつながっていきません。
現場、現物・現実。このリアリティーの中に身を置いて商売をすることが、足腰の強い会社を作ることになるのだと思って下さい。

想像力には限界がある

分かった気になって頭の中だけで経営をすると、間違った判断をするリスクが高まりますし、それでは、仲間が本気になって一緒にやろうという気持ちにはなれないと思います。

自分が現在運営している寄付サービスで考えてみると、とても腹落ちする内容だった。サービス利用者となる人たちと生活を共にすると、本当に色々なことが見えてくる。そこには決して机上の上で想像するには限界があると感じさせられるような光景に溢れている。

そこで見たこと、そこから感じたことが課題を見つけるのだと思う。事実とかけ離れた妄想を前提に課題定義をしたところで、的を外してしまうのは当たり前のことだ。そうではなくて、前提に事実を集めることが大切。そして、自分の目に映った1つの場面から、「同じような場面がどれだけ世界にあるのかを想像すること」がとても大切なのだと思う。

想像力は大切だけれど、その力には限界もある。想像力は現場に出向き、事実を集めるといった前提なしには機能しない力なのではないだろうか。この「事実を集める作業」はとても地味で面倒なものだから、ついサボってしまいたくなるけれど、この一手間をサボり、最初に的を外した課題定義をしたまま突き進んでしまうことは、とても無駄なコストを生み出してしまう。そうならないためにも、現場に埋もれる事実を集め、想像力を働かせる。この二つはどれだけやっても、やりすぎることはないことだと思う。

目的を見誤らない

指示をすれば相手は動いてくれる、指示をしたことで自分の仕事は終わった、自分のやるべきことはできていると勘違いする人は意外と多いのですが、指示したことがリアルに動いていなければ、それは何も仕事をしていないのと同じなのです。

これは前に似た内容をnoteに書いた。

本来は課題を解決するために行う指示が、気づくと「自分がやるべきことはやった」と責任逃れをするための手段になっていることがある。それでは本末転倒だ。上述の通り「何も仕事をしていないのと同じ」。評価や身の保身ばかり気にしているから、そういった的を外す行動に出てしまう。(それをやられた部下もたまったものでは無いだろう。これは本当に自戒しないといけない。)

ビジュアライズし、思いを語り、共感を募る

現場、現物・現実。このリアリティーの中に身を置いて商売をすることが、足腰の強い会社を作ることになるのだと思って下さい。

一人でできることなどたかが知れている。だからこそ、大きな成果を出すには「周りを巻き込む力」が必要不可欠だ。

現場に出向き、リアリティの中に身を置いて仕事をすることのメリットは、「自分の目でその光景を見られること」だ。仲間を巻き込む時、それらの情報はとても役に立つように思う。

実際に自分が見たものだから、光景をビジュアライズし語ることで強い共感を募れる可能性がある。同時に、その光景をみて感じたことや思いを語り、共感を募ることができた時、仲間ができる。これが現場を見る事なく、机上の空論だけをひたすらに話すだけのような人には、聞き手の心を動かす事はできないだろうと思う。

実際に自分の目で見たこと、感じたことに本当の価値があるし、それが人の心を動かす。

「現場ファーストの大切さ」を改めて自分に言い聞かせるように、仕事を頑張ろうと思う。

先週は少し色々あった一週間だった。正直、過度のストレスや強い不安に襲われ、心身ともにぐったりしてしまった。でも平時の習慣はとても強い。どんなに参っていても、こうして自分と向き合う時間は持てている。習慣を大切に、やり抜くことが大切。いい時もあれば悪い時もある。でも、こういう時だからこそ得られる経験だったり、学べることがきっとあるとも思うから、腐らずにやっていきたいと思った。

今週も頑張ろう。

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この本は経営者の方だけでなく、サラリーマンや個人事業主の方、NPOやボランティアなど様々な組織で働いている人にとって、とても学びの多い良書だと思います。内容はnoteでも紹介していきますが、一部のみのピックアップとなりますので、内容に興味を持たれた方は是非ご購入いただき、自分だけのノートに仕上げていただければと思います。

また本には振り返りのためのセルフワークシートも含まれています。日々の振り返りを行いたい、自戒することを習慣化したいと考えている方にも、とても価値のある内容だと思います。

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この「経営者になるためのnote」は毎週日曜日に書いています。過去に書いたものは全てマガジンに纏めているので、宜しければそちらもご覧ください。


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