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[1章4項]最後までやり抜く覚悟をもつ

先週に続き、今日は第一章「変革する力」の第四項について読んでいきたいと思う。

第四項 リスクを恐れず実行し、失敗したらまた立ち向かう

安定志向で安定成長している会社はない
高い目標を目指し、高い基準を追求していくと、今までやったことがない新しいことに挑戦をすることになると思います。
新しいことをやろうとすると、人は不安になります。
「本当にうまくいくのだろうか」
「失敗したらどうなるのだろう」
そして不安が心の中で勝利をすると
「会社を危険にさらしたくない」という志向性が、経営方針や意思決定のあり方を支配していくようになります。

これが「安定志向」による経営です。
言葉はきれいですが、この志向性は、経営をだめにします。
特に日本人は、「ほどほどがよい」とか「中庸がよい」という思想の美学を持っているため、その美学に適合した、この「安定」という言葉に弱いです。

この言葉を聞くと、「そうだよな。何ごとも安定していることが一番だよな」と思ってしまいます。
逆に「急成長」という言葉を聞くと、「あやしい」「危なっかしい」、あるいは「どうせすぐだめになる、つぶれる」というイメージを持ってしまいます。
しかし、これらは事の本質からはずれています。すぐ

事の本質は、「最初から安定志向で、安定成長をしている会社はない」ということです。
なぜそうなるのでしょうか。理由は単純明快です。
お客様は厳しいからです。お客様は、変わりばえしない商品やマンネリ化した店に対してお金を使いたいとは思わないのです。

競合もいて、いろいろと魅力的なことを考えては、手をうってきます。
社会もすごいスピードで変化をして、人々が求めるものもすごいスピードで変わっていきます。
顧客も、競合も、社会も静止した世界であるならば、安定志向もありかもしれませんが、そんな世界は存在しません。

現実を直視するならば、経営者はこれらの変化に負けずに、いや、むしろ、変化を機会にするくらいの気持ちで経営をやっていかない限り、お客様に見放され、会社は消えていく可能性があるのです。

経営を知らない人は、思い切った挑戦をする会社に対してよく、「現実を直視していない」と揶揄しますが、このように考えると、安定志向の方がよほど「現実を直視していない」と言えるのです。
「会社を危険にさらしたくない」という志向性、この志向性の方が「会社を危険にさらす可能性が高い」ということです。

経営者というのは、現在そして未来に関して成果を最大化するために存在しています。
その役割を実現しようと思ったら、挑戦すべきことには、リスクを恐れずに挑戦する。
突っ込んでいかなければならないような時には、思い切って挑戦する。
このことを経営者の心構えとしてしっかり持たない限り、顧客は創造されなくなり、結果として会社は存続しなくなるということです。

リスクのあるところにチャンスがある
リスクがないところに利益はない。リスクがあるところに利益がある」。これは経営の鉄則です。どうしてそうなるか分かりますか。
リスクがあるところは、多くの人が恐れて、あるいは大変だと思って、あるいは最初から無理だとあきらめて、あるいは常識に縛られていて、手をつけていないからです。

だいたいが、世の中に「自分だけが考えている」ということはないと思った方がいいでしょう。他にも同じようなことを考えている人はいるはずです。問題は考えていることをきちんと実行に移せる人が少ないということです。それくらい多くの人がリスクを避けようとするのです。

しかし、逆に見れば、そこが経営者にとってはチャンスなのです。
人が手をつけていないということは、自分たちで商売を全部コントロールすることができる、市場で圧倒的に一番になれる可能性がある、そしてそこで生まれる利益を誰かと薄く分けあう必要がないということになるのです。
その反対に、リスクを取らなければ、それらのメリットを手中にすることはできないのです。

リスクは、しっかり計算すること
さて、「リスクを恐れず」と言っていますが、時々誤解する人がいるので、あえて伝えますが、「これはリスクを計算しないで」と同義ではありません。
リスクなんか考えないで無謀をしなさいと言っているわけではありません。リスクは考えて、計算して下さい。
リスクを計算するというのは、「これをやる場合のリスクというのは、本当はどこにあるのかということ」と、「そのリスクがどれくらい大きいのか」ということを、冷静かつ真剣に考えるということです。

「リスクを計算した結果、実行をやめた」と言っている人の中にはよく、冷静かつ真剣に考えたというよりは、ただ単に不安や恐れが先に来て、できない理由がたくさん頭に浮かび、それを正当化する論理を構築することを称して「リスクを計算した」と言っている人がいます。

これは計算ではなくて、むしろ思考停止です。
ファーストリテイリングは一九九八年にユニクロ原宿店をオープンする時に、販売する全ての商品を自社商品にすることを意思決定しました。
全商品の自社化を「やる場合のリスク」は、ナイキやアディダスなどのスポーツブランドの輸入商品の扱いをやめるということです。つまり、当時のユニクロにおいて人気だった商品の売上がなくなるというリスクです。
しかし、これをやっている限り、利益幅に限界があります。

また、本当に良い服を世界中のあらゆる人に提供するためには、全部自分たちでコントロールする必要がぁるのですが、そうした自社ブランドの構築がいつまでたってもできないことになります。
これが、全商品の自社化を「やらない場合のリスク」です。
「やる場合のリスク」と「やらない場合のリスク」。これを天秤にかけるのが、計算をするということです。

「目の前の利益」という尺度でこの天秤を見ると、違う風景が見えてきます。全商品自社化はやらない方がいいです。売上に貢献している人気商品をわざわざ捨てることになるからです。
しかし、「長期的な利益」という尺度で新しい取り組みが成功すれば、自分たちのブランドの服を着た人たちが世界中の街にあふれ、その利益が全部自分たちのものになるという風景です。

顕在化した時会社がダメになってしまうようなリスク、大きなメリットが見えないようなリスクは取るべきではありません。
しかし、そうではない場合、あとは、「やる」と「やらない」のどちらが自分たちの見たい風景を映し出してくれるということです。

ファーストリテイリングは、このとき、「やるリスク」、すなわち全商品自動化という新しい取り組みを選びました。
結果として、今、その時みたいにと思った風景に、近づくことができました。

リスクを取った限りは、中途半端にせず、結果が出るまでやりきること
もちろん、この場合、最も犯してはいけない誤りは、「新しいことをやるリスクを取って、目の前の利益を捨てておきながら、やると決めた新しいことを中途半端に進めて、結局その新しいことを実現できなかった」ということです。
これだと短期利益も、途中のコストも、そして未来の利益も、全部失うことになります。
ですから、リスクを取ってやると決めた限りは、そのやると決めたことを脇目も振らず、ただもう一直線に、徹底的に、結果が出るまでやりきるということ。つまり、やると決めたことの徹底実行です。これが経営では非常に大事だということです。
成功している会社は、やると決めたことの実行が徹底している会社ばかりです。

結果が出るまでは、何回か失敗することもあります。新しいことをやるというのは、体験のないことをやるのですから、最初からうまく行かない方が当たり前と思った方がいいくらいです。

経営者にとって大切なのはそこで諦めないということです。一回や二回失敗したくらいで、めげないようにすることです。
「やっぱり難しかった」
「やらなければよかった」
そんな弱音や後悔が頭をよぎるかもしれないですが、めげないで、失敗の原因を徹底的に検証して、次にどうしたらいいかを考えて、また実行する。
あきらめた瞬間、実行を中途半端にした瞬間、元も子もなくなります。

失敗をすると、責任を取って途中で辞めると言い出したり、謝る人がいますが、失敗の責任を取るというのは、そういうことではありません。
本当に失敗の責任を取るというのは、
「最後まで試行錯誤を尽くす」
ということ。そして、
「これは本当に失敗だという時は、その原因を徹底的に探求し、学びを得る」
ということ。そして、
「それを次に活かして、結果を出すこと」
これが失敗の責任を取るということです。
こうしたことができるのであれば、何回でも失敗していいと思います。なぜならその分、必ず成長しているからです。

見せかけの安定にすがる旧態依然の組織を変えるということ

経営を知らない人は、思い切った挑戦をする会社に対してよく、「現実を直視していない」と揶揄しますが、このように考えると、安定志向の方がよほど「現実を直視していない」と言えるのです。
「会社を危険にさらしたくない」という志向性、この志向性の方が「会社を危険にさらす可能性が高い」ということです。

この志向性は旧態依然な組織であれば、より顕著だと思う。僕は組織の生産性の低いオペレーションに対し、「課題定義・原因分析・解決策の提案・想定される効果」について取りまとめた、デジタル化の提案をしたことがある。でも、それはすんなり通らなかった。例えその内容がファクトに基づいた、効果のある施策だとしてもだ。

「仕事がなくなる人が出てきたらどうするの?」「そんな経営者のようなことを言われてもさ」。この言葉は、上述の提案をした際に実際に言われた言葉だ。

時間軸を取って考えれば、時代の変化に抗うことはできるはずもなく、仮に表面的にそういった理由で変化を避けたとしても、それは表面的な解決でしかなく、いずれそれは全てしわ寄せが来ることになる。

であれば、先んじてそういった課題に対処し、次に顕在化するであろう課題(この例で言えば「仕事がなくなる人が出てくるのをどうするのか」)に対処した方が本人のためにもなると思う。

少しきつい言い方をすると「どこを向いて仕事をしているのか」と思う。同じことをお客様や株主に言って通用するだろうか。そんなはずはない。

仕方のないことだとも思う

でも、そのことを責め過ぎてはいけないとも思う。その人がそう言ってしまいたくなるくらい、時代の変化スピードに適応するのは難しいことだと思うからだ。急に正論めいたことを言われても、すぐに意思決定しろという方が無理な話だとも思う。

僕が提案した人たちは、20世紀という時代を全力で生きてきた人なのだと思う。仕事のスタイルというのは、結局その人がどんな考え方のもと、どのようなアウトプットを積み重ねてきたか、によって形成されるものだと思う。

彼らは20世紀という時代背景で必死に仕事をし、(時代に即した)アウトプットを積み重ねてきた人たち。そんな人たちに対して急に「時代は変わったのでスタイルを変えてください。」とひと回り、ふた回りも下の人間に言われても困ってしまうと思う。(というか、今書きながら、僕は結構生意気に映っていたのではないか、とも思う。でもみんな無下にせず、しっかりと話を聞いてくれたし、その後もいつも僕に優しくしてくれているのだから、本当に頭が上がらないと思う)

だからと言って、これまでのやり方を続けていい訳ではない。でも相手の立場、スタイルを尊重して考え、話を進めていくことは本当に大切なことだと、改めて考えさせられた。

組織を変えるために挑戦した結果、うまくいかないことがあったからと言って、他者や環境を批判するようなスタンスでいたって、何の意味も無いと思う。そんな人間をフォローしたり、仲間になってくれる人はいつまでも現れない。

他者や環境を変えようとするのではなく、自分を変えること。自分にコントロールできることに集中することが大切。

やるリスクとやらないリスク

リスクを計算するというのは、「これをやる場合のリスクというのは、本当はどこにあるのかということ」と、「そのリスクがどれくらい大きいのか」ということを、冷静かつ真剣に考えるということです。

上記の例でいう所の「やるリスク」は何なのだろうか。「仕事がなくなる人が出てしまう」ことだろうか。システム的な不備が出てしまい、業務に支障をきたすことだろうか(システム上のリスクは極力排除しているのでこれは無さそうだ)。費用に対して効果が見合わない?(損益分岐点は説明した)それともやると言っておいて、万が一失敗したときのことを考えたら、一歩目をどうしても踏み出せない?

正直、個人的にはそのどれも納得感がない。

じゃあ次に「やらないリスク」についても考えてみようと思う。

僕が考える一番のリスクは、生産性の低さ(定型業務などの無駄な時間に多くを費やすこと)により、「新たな価値を創造する機会を損失すること」だと思う。(結局ゼロをイチにすることがなかなかできないのは、そのことを考える時間がないこと、が一番の原因だと考えている)

競合他社は今この瞬間も新規事業だったり、既存事業の付加価値をあげるためにどうすればいいかを必死に考えている。競合に顧客を奪われ、会社の存続が危ぶまれることこそが本当のリスクではないのだろうか。

「やるリスク」と「やらないリスク」を比較したとき、どうすべきなのかは自明だと思う。

やり抜くということ

ですから、リスクを取ってやると決めた限りは、そのやると決めたことを脇目も振らず、ただもう一直線に、徹底的に、結果が出るまでやりきるということ。つまり、やると決めたことの徹底実行です。これが経営では非常に大事だということです。
成功している会社は、やると決めたことの実行が徹底している会社ばかりです。

今回例にあげた話には、実は続きがある。

提案してからちょうど一年たった今になって、僕に「仕事がなくなったらどうするのか」と言った人から相談があったのだ。

実は僕は提案が通らなかった後も、ずっとこの話を関係各所にし続けてきた。それこそ飲み会を企画して、話をする機会も増やしながら。あまり暑苦しくならないように、ふざけたことも沢山言って場を盛り上げた(こう書くと僕がわざとそうしたように聞こえるかもしれないけれど、これは僕の産まれ持った性質だ)

そしてこの一年間、システムのプロトタイプを水面下で作り続けていた。だから、話がきてからはとても話はスムーズに進んだ。

最近終電続きになってしまうくらいの忙しさになっているのだけど、1年越しの自分がやりたい仕事だっただけに、本当に今仕事が楽しくて仕方ない。

話を戻すけれど、柳生さんの言う「やると決めたら最後までやり抜く」というのは、こういうことなのかもしれない。まさに今、身をもって学んでいる。

ここにくるまで悔しい思いも何百回としたけれど、その程度の理由で止まってしまうようでは、結局その程度の決意と覚悟でしかないのだと思う。

やると言ったら最後までやり抜く、これは言葉にするとベタな言葉に聞こえるけれど、こういう当たり前をどれだけ積み重ねられるかが、唯一差をつけられるポイントなのだと思う。

そして最初の一歩目を勇気を出して踏み出すこと。

ビビってたら何もはじまらない。挑戦することに意味がある。


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この本は経営者の方だけでなく、サラリーマンや個人事業主の方、NPOやボランティアなど様々な組織で働いている人にとって、とても学びの多い良書だと思います。内容はnoteでも紹介していきますが、一部のみのピックアップとなりますので、内容に興味を持たれた方は是非ご購入いただき、自分だけのノートに仕上げていただければと思います。

また本には振り返りのためのセルフワークシートも含まれています。日々の振り返りを行いたい、自戒することを習慣化したいと考えている方にも、とても価値のある内容だと思います。

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この「経営者になるためのnote」は毎週日曜日に書いています。過去に書いたものは全てマガジンに纏めているので、宜しければそちらもご覧ください。


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ダッチ

SIer企業に勤務しながら、寄付を集めるためのWEBサービスをステルスで運営しています。「倦まず弛まず屈せず」をテーマに毎日必死です。

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