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「真面目な人間」が一番伸びる

4月から社会人新生活を始める人へ、おこがましいと思いながらも「どんな人間がいちばん伸びるのか」についてnoteに簡単にまとめたいと思う。

認知能力と非認知能力という考え方

人材を評価すべき能力は何かを考えた時、最初に思い浮かぶものは学歴や有しているスキル・資格等だと思う。
でも、それらの要素だけで人生の成功は決まらないとも言えるのは確かだ。

じゃあ、学歴やスキルと人生の成功はどのように繋がっているのかという話になるのだけど、この問いに対する研究を行った人がいる。
それが2000年にノーベル経済学賞を受賞した米シカゴ大学教授のジェームズ・ヘックマンだ。

彼はこのことを認知能力と非認知能力に分けて考えた。

「認知能力」が学力テストで測れる能力だとすれば、「非認知能力」とはテストで測れない個人的な性格の特徴を指す。ヘックマンは「認知能力」よりも「非認知能力」を向上させることで大人になってからの人生に大きな影響を与えることを強調した。

人生の成功は学力・成績に表される「認知能力」のみならず、「非認知能力」が強く関わっているということを彼は主張している。

(最近では非認知能力のことをcharacter skillと言い換えているがこのnoteでは全て非認知能力で統一している。)

非認知能力が職業人生の成功でかなり重要な役割を果たすことは様々な研究で明らかになっている。

非認知能力を構成するビッグファイブ

では非認知能力は具体的にどういったものなのか。
非認知能力を分類するに当たり、様々なアプローチが存在している中、最も受け入れられている分類は「ビッグファイブ」という分類体系になる。

ビッグファイブは「①開放性、②真面目さ、③外向性、④協調性、⑤精神的安定性」の5つに分類される。

キャリアに一番影響を与える能力

これらビッグファイブの中で仕事の成果を決める因子で、一番関係性が強いのは、真面目さと言われている。

この研究では「 真面目さ」の重要性は仕事の種類 や特徴にはあまり依存せず、広範な職業に影響を与えることも明らかにしている。

実際、職種ごとに「 真面目さ」と仕事の成果との相関係数を求めてみると、職種ごとの違いはほとんどみられないと言われている。

また「真面目さ」をはじめとした非認知能力は賃金にも大きな影響を与えること、対象者の学歴の違いにはあまり関係がないということも研究結果として出ている。

つまりどんな学歴の人でも非認知能力が高まれば賃金が高まるという関係があるということだ。

ちなみに認知能力の代表例であるIQの 重要性は仕事が複雑になればなるほど増し、 特に大学教授、科学者、上級管理職にとってより重要であることが知られている。

また非認知能力が影響を与えるのは職業人生だけではなく健康面にも影響を与えることが注目されている。過去の34ほどの研究をまとめ、非認知能力と寿命の関係の強さを比較した研究によれば、「真面目さ」が寿命との関係においてビッグ・ファイブの中でも最も強い因子であることがわかっている。

つまり、健康や寿命を予測する上で「真面目さ」が最も重要であるということだ。

成人になって伸びるスキル

ビッグ・ファイブ(非認知能力)をスキルと捉えれば、それは人生の中で学んで伸ばしていくもの、変化しうるものと捉えることができる。

昨日、新たに新社会人となった人たちが、入社後に「伸び白」のある
非認知能力は何なのか。

ビッグ・ファイブの中でも人生の成功で特に重要な役割を占める「真面目さ」「精神的安定性」「協調性」については10代の伸びより20代、30代の伸びが大きいことがわかっている。

これは大人になってからも十分、「非認知能力を鍛えることができる」ということを示している。

非認知能力を伸ばすことはそれ自体、人生の成功に影響するだけでなく、認知能力を伸ばすことにもなり、その後の人生に好影響を与えるという「一石二鳥」の効果がある。

整理すると、、、

 ・仕事の成果:「真面目さ」
 ・寿命:「真面目さ」
 ・入社後の伸び白:「真面目さ」「精神的安定性」「協調性」

真面目さ」がキャリアに一番影響を与える能力ということがわかる。

真面目な人間が一番伸びる

スタンフォード大学の心理学者のキャサリン・コックスが1926年に発表した研究がある。

コックスは偉業を成し遂げた301名の歴史上の人物について略歴や伝記情報を細かく調査し、知的早熟の兆候をチェックしながら、業績の偉大さなどを勘案して幼年期の推定知能指数(IQ)を計算した。(つまり認知能力に着目した。)

そこでわかったことは2つ。

・偉大な功績を収めた歴史上の人物たちは、一般の人々に比べ知能が高い
・偉大な功績を収めた歴史上の人物たちを功績の偉大さで比較すると、知能指数はほとんど関係ない

コックスはさらに偉大な功績を収めた人物の中で違いを決定する要因について、67の性格的特徴を調べ、超一流の偉人(上位10名)と単なる偉人(下位10名)との決定的な相違点を「動機の持続性」と名付け、4つのポイントに纏めた。

動機の持続性

1,遠くの目標を視野に入れて努力している。晩年への備えを怠らない。明確な目標に向かって努力している。

2,いったん取り組んだことは気まぐれにやめない。気分転換に目新しさを求めて新しいものに飛びつかない

3,意志力の強さ、粘り強さ。一旦目標を決めたら守り抜こうと心に誓っている。

4,障害にぶつかっても、あきらめずに取り組む。粘り強さ、根気強さ、辛抱強さ。

そして、コックスは「知能のレベルは最高ではなくても、最大限の粘り強さを発揮して努力する人は、知能のレベルが最高に高くてもあまり粘り強く努力しない人より、はるかに偉大な功績を納める」と述べている。

新社会人へ

みんながみんな、理想の進路に進めたわけではないと思う。

でも上述した通り、勝負はここから。

愚直に、ひたむきに頑張り続けることのできる「真面目な人間」が一番伸びることは研究でもわかっている。

止まりそうになることもあると思うけれど、最後に笑えば勝ちだと思って元気にやってほしいと思う。

自分も頑張るから一緒に頑張ろう。



※出典


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