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「劣等生×圧倒的熱量」チームビルディング

今日NewsPicksを読んでいたら日本電産の永守重信会長が取り上げられていた。1973年の創業以来、同社を率いてきた永守さんは、2018年に社長の座を譲るとともに、日本電産の地元にある京都先端科学大学(旧称:京都学園大学)の理事長に就任し、「教育分野」に本格参入するとのこと。(100億円以上の私財を投じ、大学改革に乗り出したとのことだから驚いた)

記事の中では4月3日の入学式で新入生に向けた言葉を紹介していたのだけど、その内容がとても考えさせられるものだったので、noteにしたいと思う。

この大学は、はっきり申し上げておきますが、ノーベル賞を受賞する人を育成するためのものではありません。
会社に入ったら、すぐに英語がしゃべれて、「君、来月からアメリカ行ってくれるか」と言われたら、「分かりました」と言える。即戦力になる専門分野があって、会社に入ったら、その日からきちっと月給分、働ける。
そういう人材を育成しようと考えているわけであります。

今から10年、あるいは20年経っても、日本の「偏差値ランキング」で京都大学を抜くことはできません。しかし、「世界の大学ランキング」では、抜く可能性がある。

私、京都大学の総長に、なんぼでも挑戦状を送ってます。
「あんたね、ちょっと大ぼらもええとこやないか」と言われる。じゃあ、私が46年前に自宅で3人で会社をつくって、それがなぜ今、世界一になってるんですか?と。

自分の夢、自分の職業観。そういうものを大事にせなあきません。
今日の私の言葉を忘れないように。今日は輝かしい、いい日やったなと。

はっきり申し上げて、この大学が第一志望じゃない限りは、どこかの大学にすべったという方もおられるでしょう。でも、あのなんとか大学に落ちてよかったと、そう思わないけませんよ。

それをぐじゅぐじゅと、「負け犬根性」が染みついて、僕の人生はダメだどうだって。
何を言うとんねん、お前。そりゃ99歳のじいさんが言うなら別ですよ。まだまだ18か、19かくらいの若い人が、将来の希望を失っちゃいけません。
100年生きないけない人間が、なんで10代で負け犬根性を出すんだと。

私は本当に、今日の4月3日の入学式を、大変楽しみにしておりました。4月5日は、ここ(京都市勧業館みやこめっせ)で京都大学の入学式があります。京都大学より2日、早くやったわけ。我々が汚しまくったあと、彼らが使うんです(笑)。
そういうふうに思うんです。だから来年も再来年も、京大より早く、ここの場所を押さえとけよと言っています。

私なんかこういう人生やから、絶えず舐められてばかりでね。でも今や、日本電産は、日立やパナソニックのように日本を代表する大企業よりも、企業価値が上ですよ。皆さん方、ご存じないかもしれませんが。
京都で一番や。そうでしょ。

だから、明るい未来を見てほしい。過去の暗い、高校とかは全部、忘れろ。明るい未来を見て、お互いに力を合わして、成功に自分の人生を導こうじゃないか。
というふうに考えてほしい。ぜひ、頑張っていきましょう。

僕はこの大学の出身でもなければ、学生でもないのにこの新入生に向けた言葉を聞いて非常に身が引き締まる思いをした。

言っている内容はとても正論だと思うし、その通りだと思う。でも何でこの人が言うとこんなにも説得力があるのだろうか。また同時に驚かされるのがその人間力だ。熱く、厳しく、時にユーモアを交えながら語るその言葉を聞いていると、聞く人に希望を抱かせる。

あと前に永守さんが講演したときの動画※を見たことがあったのだけど、いつもこの人は「世の中のものさしで測られた劣等生」にバイアスをかけているように思う。

つまり、いつだって彼は自信を無くしてしまった(or 無くしてしまいそうな)若い人の側に立ち、彼らを勇気づけ、奮い立たせるような立場をとっているということだ。そして、そんな若い人達の心に火をつけ、リードし、育て、彼らと共に戦いに出る。(その結果、会社を世界に通用するまでに拡大させた。)

永守さんは人材に「情熱・熱意・執念」を求める。これは一見今のご時世ではブラックな考え方に見えるかもしれない。だけど、企業として結果を出した人の人材論はとても説得力があると思う。

そして、その「情熱・熱意・執念」を持つ人材に一番適している人材が、上述の「劣等生」タイプの若者たちだと考えているのではないだろうか。

世の中のものさしで測られた「エリート」にほどほどの熱量で働いてもらうチームか、「劣等生」に圧倒的な熱量で働いてもらうチームか。どちらが勝つのかというと、結局後者なのではないだろうか。

もちろん、エリートが圧倒的な熱量であることが最強だとも思う。でもエリートにはその熱量を生み出す機会が、劣等生よりも圧倒的に少ないのではないか。それが永守さんがそうした人達にバイアスをかける一つの理由であるような気もする。

もちろん、永守さんは46年前に自宅で3人で会社をつくって、全くの無名の状態から始めた。だからエリートを雇いたくても、雇えないという状況だったことから、そういった劣等生の人材に光を当てたのだと思う(実際に講演でも言っていた)

だけど、永守さんはその限られた選択肢の中からできるベストのことを考え、行動し続けてきた結果、「劣等生×圧倒的熱量」人材によるチーム創りの方法を編み出したのではないか。

今ではそれが永守さんの信念になり、生き方になっている。だから今回の大学理事就任の話も個人的にはとても納得がいった。

これは、チームを創る上でとても考えさせられる内容だと思う。前もnoteにしたけれど、人生100年時代で大切な資質は僕は少しずつ変わっていくように考えている。

どれだけ圧倒的な熱量で、愚直且つひたむきにビジョンの実現を目指せるか。そしてそんなチームを創るにはどういった人材が適しているのか。

この新入生への言葉は僕にとても多くの学びと、考えるきっかけを与えてくれるものだった。

※講演の動画もシェアしておきます。内容は勉強になるだけでなく、とにかく話が面白いです。その辺のお笑いよりも話が面白いと思う。。


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