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[1章6項]謙虚さが危機感を生み、危機感が努力を生む

先週に続き、今日は第一章「変革する力」の第六項について読んでいきたいと思う。

第六項 自間自答する

「自分はできている」と思わないようにする
自間自答というのは、過去やったこと、あるいは市場のこと、将来やりたいと思うこと、そういったことを、「本当にそうなのか」「本当にできているのか」などというように、自分に問いかけて、真剣になって考えるということです。自問自答をすると、今の自分たちがやっていることが、過去の延長線上で同じようなことをやっていたり、ものごとが一つの方向からしか見えていなかったり、非常に小さい部分にこだわっていて、もっと大きな本質的なことに取り組んでいなかったりすることに気づきます。

もし、そういうことに気づかないとしたら、慢心が心に巣食っている可能性があります。「自分はできている」という心の目でものごとを見ても、何も見えてきません。経営者にとって、最もまずいのは「自分はできている」という心を持つことです。

なぜ、こんなことを口酸っぱく言うかというと、表面上は謙虚ぶっているけれど、本当は自分は結構できていると心の中では思っている人が、たくさんいるからです。これはわが社に限らず、世の中一般的にも多いように思えます。

「会社がかなり高い目標設定をしている。だから八〇パーセントの達成でも、実はいい成績だ。自分は九○パーセント達成できた。だから、結構できている方だ」こういう考え方、あるいは「自分基準は超えているから、自分なりにできている」という考え方では、はあっという間にだめになっていきます。

経営者は常に危機感を持って経営をせよ
経営者は不安ではなく危機感にもとづいて経営をしなければいけません。
不安については、第二項で詳しく述べましたので、ここでは危機感について伝えておきたいと思います。会社を経営したことのない人は、経営を誤解しています。危機感を持たず、追い風を受けて前に進んでいる状態が「正常な経営」だと思ってしまうのです。

しかし、現実は全く逆です。追い風にのって順調にいっているから安心だなどという経営をしていたら、あっという間に会社はつぶれます。
繰り返しますが、市場は暴力的なのです。
だから、自分たちは、いつも断屋の上を歩いている、ちょっとでも油断があったら、真っ逆さまに落ちてしまうという危機感を持ってのぞむのが「正常な経営」なのです。

「危機感を持つ」とは、自分の状態や成績を客観的に評価しながら、慢心しないよう、努力を続けることです。具体的な言葉にするならば、例えば、「自分はひょっとしたら間違っているのではないか」
「ひょっとしたら、今の市場の競争に負けているのではないか」
「将来、今のままでいくと自己実現できないのではないか」
「今はいいけど、このままだと会社として消滅してしまうのではないか」
ということです。そして、そう感じたならば、危機感が現実にならない様に、具体的な問題を発見し、具体的な解決の行動を起こすということです。

お客様の一番厳しい目で、自分たちを見る
自間自答する時のコツは、「お客様の一番厳しい目で、自分たちを見る」ということです。
お店ならば毎日この目で自分たちのお店を見る。お店でない人も、自分の会社とか部門とかサービスとかを、お客様の一番厳しい目で見る。そして、本当にこれで世界に通用するのかを自間自答する。これが成功するために欠かせない条件だと思います。

経営者は変化に対応して成果を出せる人でなくてはいけないのですから、自間自答というプロセスがない限り、経営者としては絶対に成功しないと思います。
自間自答をしない経営者で、あるいは自間自答しないような会社で、長期間にわたって成功した例というのは、聞いたことがありません。
経営者は、自分が考えている以上に自分に対してシビアな見方をしていく。そうした習慣を身につけなくてはいけないのです。

自間自答する人にだけ、優れたアイデアが生まれる
自間自答に関連して、これも大切なことなので、最後に一つだけ話を加えておきます。
「優れた物」や「いいアイデア」、「斬新な考え方」こういったことができる人は、天才なのか。天才でない限り無理なのかということです。
私はそうではないと思います。
私が知る限り、こういったことができる人は全て、自間自答を日常的に行っている人です。

優れた勘やアイデアは、ドアに頭をぶつけた時などのふとした瞬間にひらめくようなイメージを持たれがちですが、本当はそうではないと思います。
その前のプロセスに重要性があるのです。
つまり、そこに行きつくまでの間に、どれだけいろいろなことを考えて、いろいろな人と話をして、そしていろいろやってみて、そこで真剣に自間自答するか。これが大事なのです。勘が働く人やアイデアが出る人というのは、これをやっているのです。

自間自答を通じて、いろいろな考えを練り上げたうえで自分のものとして蓄積しているのです。それがあるからこそ、何か情報に触れた時に、そこまでのプロセスの結晶として、勘やアイデアという形となって出てくるのです。

人から見たら出てきた場面は一瞬ですから、なんとなくその場の思いつき、ひらめきで出てくるように見えますが、実は真剣な自間自答のプロセスがあってこそのものなのです。
エジソンの有名な言葉に、
「天才とは一%のひらめきと、九九%の汗である」
というのがあります。

「何百、何千といろいろなことを汗水たらして考えた人にしか、ひらめきは訪れず、優れたアイデアという結品にはいたらないのです。

経営者は、時として自らがアイデアをリードしなければいけない場面、突破口を作らなければいけない場面があります。経営者としてのそういった能力の面からも、やはり自間自答を習慣化することは大切なのです。

不確実性の高い時代の進み方

自問自答をすると、今の自分たちがやっていることが、過去の延長線上で同じようなことをやっていたり、ものごとが一つの方向からしか見えていなかったり、非常に小さい部分にこだわっていて、もっと大きな本質的なことに取り組んでいなかったりすることに気づきます。

これは前に関連する話をnoteに書いたけれど、立場の違いや役割の垣根を超えて、ものごとを「俯瞰して見ること」はとても大切なように思う。もう少し噛み砕いていうと、ものごとを横断的且つ俯瞰的に見ると共に、時間軸もとった広い視野を持って「今やるべきこと」を、常に自問自答しないといけないのだと思う。

振り返りを必要としない、マニュアル通りの仕事をただこなしていれば何とかなった時代はもう終わっている。今は変化スピードが年々増していく不確実性の高い時代なのだから、「計画を立て、進んでは一度立ち止まり自戒、フィードバックしたらまた進む」といったサイクルを行わなくては厳しいと思う。一見面倒なことに思えるけれど、正しい道を見誤らないためにも、自戒の習慣をもつということはこの不確実性の高い時代を進む上で必要不可欠なことなのではないだろうか。

「謙虚のふり」が上手い人間のリスク

なぜ、こんなことを口酸っぱく言うかというと、表面上は謙虚ぶっているけれど、本当は自分は結構できていると心の中では思っている人が、たくさんいるからです。これはわが社に限らず、世の中一般的にも多いように思えます。

結局行動やその人のアウトプットを見ていれば、その人が謙虚かどうかはわかる。(これは本当に自分も自戒しないといけない。。)

ごまかしはすぐに見破られる。というか表面的にごまかしが上手い人にとっては、危険な時代だと思う。彼らは問題が起きたしても、その場でごまかすことで自戒の機会を毎回失っている。こういう見えないリスク(「サイレントリスクの蓄積」とでも言おうか)をいかに検知し、早急に対応できるか、がとても大切なような気がする。

身の丈をわきまえること、「謙虚のふり」をして、満足しないことがとても大切。

謙虚さが危機感を生み、危機感が努力を生む

「危機感を持つ」とは、自分の状態や成績を客観的に評価しながら、慢心しないよう、努力を続けることです。

「危機感を持つ=努力を続ける」という図式はとても納得感があった。上述したことと同じで、努力をせず、「努力しているふり」が上手い人がいる。確かに彼らの話からは危機感が何も感じられない。努力しているかどうか、が危機感を測る一種のバロメーターなのかもしれないし、そこからその人の謙虚さが見えてくるのかもしれない。

(ただ僕は精神論的に「黙って努力しろ」ということが言いたいわけではない。努力したくてもできない人がいることを僕は知っている。でもそれなりの立場で責任を持って部下をマネージする役職にいるならば、謙虚に危機感を持ちながら努力することは、当たり前なのではないか、ということが言いたい。出来ないならとっととその立場を降りればいい。)

自戒のチェック項目として

自間自答する時のコツは、「お客様の一番厳しい目で、自分たちを見る」ということです。

これは本当に目から鱗だった。確かに自分を顧客の立場で見た時「まだまだ」であることを知れるし、同時に「何をすべきか」のアイデアが降りてきた。仕事に慣れ、こなすような作業を行ってしまいそうになる時がある。そんな危機感が不足しているような時こそ、「お客様の一番厳しい目」で自身を見つめ直すことが大切なのだと思う。

これは自戒のチェック項目に含めたいと思う。

努力の方向性だけではなく、努力の量についても自問自答する

つまり、そこに行きつくまでの間に、どれだけいろいろなことを考えて、いろいろな人と話をして、そしていろいろやってみて、そこで真剣に自間自答するか。これが大事なのです。勘が働く人やアイデアが出る人というのは、これをやっているのです。

結局、「どれだけそのテーマに時間と集中力を使ったか」が一番大きいような気がする。みんなが驚くような「アイデアを生み出す才能があるかどうか」を考える前に、もっと時間と集中力を使わないといけない。まだ「才能の有無を判断できるフェーズにいない」とでも言おうか。

素晴らしい成果を出している人たちは、見ていないところで多くの時間と集中力を使っているものだと思う。「あの人は才能があるから」という言い訳をする前に、「自分が投入すべき時間と集中力を投下したのか」を振り返らないといけないのだと思う。

努力の方向性を見誤っていないか自戒するのも大切だけど、「努力の量」も見誤っていないか自問自答するように意識したいと思う。

先週は仕事で悔しいことがあった。でも、それは自分の至らなさが生んだものだったように思う。

だからこそ努力する必要を知るのだし、今もこうやって自戒する機会を持てているのだと思う。

「謙虚のふり」ではなく、危機感を持ちながら、止まらず努力し続ける。

今週も頑張ろう。


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この本は経営者の方だけでなく、サラリーマンや個人事業主の方、NPOやボランティアなど様々な組織で働いている人にとって、とても学びの多い良書だと思います。内容はnoteでも紹介していきますが、一部のみのピックアップとなりますので、内容に興味を持たれた方は是非ご購入いただき、自分だけのノートに仕上げていただければと思います。

また本には振り返りのためのセルフワークシートも含まれています。日々の振り返りを行いたい、自戒することを習慣化したいと考えている方にも、とても価値のある内容だと思います。

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この「経営者になるためのnote」は毎週日曜日に書いています。過去に書いたものは全てマガジンに纏めているので、宜しければそちらもご覧ください。


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