見出し画像

オーロラは見えましたか?

なんか、ここ最近太陽の活動が盛んらしくて、フレア?というものが発生しているとのこと。それで世界各地でオーロラが観測されているという。
日本でも例外ではなくて、北海道から東北、北陸でも観測されたそうだ。さすがにカーテンみたいなのは見えなかったけど、ぼやーっと赤い光が見られたと。なんでも肉眼より写真に撮ったほうがよくわかるらしい。残念ながら関東平野では見えませんでしたな。山の上のほうなら見えたのだろうか。

ニュースサイトで、日本でも平安時代に京都でオーロラが見られたという記録が藤原定家の「明月記」にあった、という記事を目にした。そういえば、と思い出したのがこれ。もう7年も前の話だけど。

大学受験を終えた娘と一緒に参加した

東京都立川市には国の施設が集まっているところがあって、その一角に国文学研究資料館というものがある。

詳細はリンクを参照していただきたい。ここには無料のギャラリーがあって、資料の展示がされていた。古文書とか屏風絵とか、ときどき見にいっていた。…いや、崩し字は全然わからないんだけど達筆のそれが美しくて。
多分、その時にチラシをもらって申し込んだのだと思う。

そして隣にはこの施設がある↓
ここも無料だからね。せっかくの国の機関だ、利用できるものは利用しないと。オーロラの映像が見られる、ちょっとしたシアターというかブースがある。外にはタロとジロを含めた樺太犬のブロンズ像が並んでいる。
後に「宇宙よりも遠い場所」というアニメのイベントのときにたまたま通りかかったんだけど、参加者の長蛇の列ができていて驚いたもんだ。



ということで、文系と理系の機関のコラボということで企画されたワークショップなのであった。
内容は、古文書からオーロラや彗星の記録を探し出そう、というもの。その前に国文研、極地研からレクチャーを受ける。藤原定家の「明月記」に赤気(せっき)というオーロラらしきものが書かれていた(図入り)ということ。過去に東京都八王子市に落ちた隕石の話。彗星の記録や陰陽道の土御門家の話も出たと思う。もっとちゃんとノート取っておけば良かったなー。

参加者28名、結構高齢者が多かった。最年少はうちの娘だったかな?それが4人ずつ7つの班に分かれて、それぞれの資料から「赤気」「彗星」などの言葉を探し出す作業に入る。
ここで机ごとに用意されたのは、「本朝世紀・続史愚抄」「日本紀略・百練抄・天延二年記・扶桑略記」「御湯殿上日記」ここまで平安時代、「桑都日記」「永代私用留日記」「北野天満宮史料 宮仕記録」「鸚鵡籠中日記」ここまで江戸時代の古文書。古文書だけど原本じゃなくて、すでに活字本になってるもののコピーだった。

私がいたグループの机には「本朝世紀」が置いてあった。今になってちょっと調べてみたら、無料で閲覧できるではないですか!そうだわ、業務日誌みたいな古文書だったわ。何月何日、天気、誰が出仕したとかちまちま書いてあった。

この漢文の中から、それらしき言葉を見つけるという。資料といっても、あらかじめ見当をつけた部分を学芸員の方が抜き出してコピーしたものなので該当箇所はすぐ見つかった。
何日の何時ごろ、この方向に彗星があった、みたいなことが書かれている。何日か観測していて、時刻と方角が少しずつずれていく。不吉と思われたのか、祈祷をおこなったという記述があった。私が驚いたのは、この時代にすでに〝彗星〟とか〝地震〟という言葉があったということ。英語を翻訳してできた造語じゃなかったんだ。彗星も実際に肉眼で見ると、うおっ!って思うよね。ヘール・ボップ彗星、よく見えたっけ。

見つけた箇所をそれぞれ報告して、ワークショップは終わったんだけど、このときに配布された参考資料が、もったいなくて捨てられない。B4で30枚近くあるんだけど、神武から始まる歴代の天皇一覧、暦に関する資料、度量衡表、藤原京・平城京・平安京の図、官職・官位一覧、江戸幕府の組織図とか歴代将軍一覧、若年寄とか町奉行とかそういう役職歴任者一覧、あと元号と西暦の対比表…って、あちこちの文献からコピーしたものだけど、すごいんですわ。歴史好きな人なら喜ぶと思う。

このワークショップ、翌年も開催されたけどその後はあの感染症が流行ってしまい、もう開催されていない。定員が30人程度、という今考えると贅沢なイベントだったのかもしれない。7年経ってからでも記事にしたくなるようなインパクトがあった。温故知新ですよ。今年あたりあれば、大河ドラマも平安時代だしもっとタイムリーだったかも。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?