執事喫茶に行った話

先月、職場で上司とバトってからずっと、なんかいい感じに満たされたい欲が生まれてまして。

・ほどよく他人と話したい
・何かサービスを受けたい
・楽しいことがしたい(見たい)

これをクリアするものって何かな?と考え、接客が凄くてご飯が美味しいらしい執事喫茶に行ってみようかという思いに至りましたとさ。

自分の休みの日に一人席が空いていたので勢いで予約。予約時に呼び方の選択肢があって「お嬢様」か「奥様」が選べたけど、その時の精神がボロボロだった自分は
「今、屋敷の奥様をやる気力はない。屋敷の主人の娘で独立して家を出たお嬢様の設定で行こう」
とお嬢様を選択。
当日、池袋に着いて一番最初に私のことを「奥様!」と呼んだのは、サンシャイン通りのビラ配りのお兄さんでした。
やっぱり私、お嬢様じゃないわ。

執事喫茶は乙女ロードと言われる範囲にあり、K-BOOKSの地下にありました。あとで知ったけど、経営もK-BOOKSなのね。なるほど乙女向けコンテンツ。店舗の向かいに系列のショップがあり『洋菓子と紅茶の店』って書いてあって覗いたら、もうそこには執事が居た。

「おかえりなさいませ、お嬢様」

のご挨拶を執事喫茶に入る前に聞いたよ。お嬢様、挙動不審になったよ。常連のお嬢様方がフランクな執事とお話してて、執事さんのテンションが普通のお店のノリでびっくりした。
慣れるとそんなものなのかと店の隅っこにいたら、別の執事さんが来てくれて用件を聞いたり、洋菓子と紅茶の説明をしてくれた。
少したどたどしいなと思ってたら案の定。

「私は見習い期間を終え、先週からお店に立つようになりまして」

と教えてくれた。
そんなん言われたらおばちゃん応援したくなるじゃん? 新人は健やかに育って欲しい。
若執事さんのおすすめの紅茶を喫茶(ティーサロンというらしい)で飲みますねと約束して、スコーンとサブレを買いましたとさ。
これもあとから知ったけど、彼らは執事ではなく使用人でした。執事喫茶だからといって執事だらけではなく、多くはフットマン(使用人)なんですって。一つのお屋敷に何十人も執事はおらんもんね。

時間になってティーサロンの入り口に向かったら、そこはお屋敷でした。
ドアマンがね、いたんですよ。グレイヘアの。
80代のご高齢の執事さんがいらっしゃることは知ってたけど、その方以外に渋めの使用人さんがいるなんて知らなかったよ。ドアマンに案内され、お迎えの執事さんが扉を開けてくれました。こちらは本物の執事さん。めっちゃ声のいい執事さんでした。ご丁寧に名乗ってくださり、荷物は執事さんとそばに控えてたフットマンさんが持ってくれた。お嬢様、戸惑いまくり。
イケボ執事に動揺しつつ、フットマンの案内でサロンに入ったらお嬢様がたくさんいた。シャンデリアと暖炉風照明となんかいい感じの家具。お隣のお嬢様との間にはカーテン。ワイングラスに注がれるお水。なんかもうこの時点で、ご馳走様でした……という気分。
初めてなんです、と話したら屋敷のルールを教えてくれたよ。

・勝手に立ち歩かない。食器も自分で取らない。ポットのお茶も自分で淹れない。
・ここはお嬢様のお屋敷ですが、社会勉強のためにお会計の仕方を学びましょう(テーブルチェック)
・何かあったらベルで使用人を呼ぶ。お嬢様は自分でやらない。使用人を使う。

ベルはハンドベルだよ。みんな忙しそうで、結局は一回も使わなかったけど。
アフタヌーンティーが美味しいってマツコの知らない世界でやってたから、アフタヌーンティーセットと新人さんおすすめの紅茶を注文。ちゃんと、お店の新人さんから聞きましたと伝えたら
「ちゃんと勉強してますね。あとで褒めておきます」
と答えてくれたので、私のお嬢様としての仕事は終わった。新人は褒めて伸ばしてください。

ぶっちゃけるとその後の会話はほぼなく、お皿を下げてもらったりお茶を淹れてもらう程度。
私とは違い、周りのお嬢様方はとても良くお喋りをされてました。聞こえてくる会話の端々から常連であることがわかるし、なんなら同じ日に2回来てる人もいるらしい。フットマンたちも軽快なトークを繰り広げてたし、お嬢様方のインパクトのあるお話に圧倒されまくるばかり。
とても興味深く思わずガン見するところでした。不躾に見ることもできないので、ずっとシャンデリア眺めてた。

途中でお誕生日のお嬢様のお祝いがあったり季節のイベントだったりで、サロンのあちらこちらに動いている使用人たちを見て、これは一見さんに人員は割けないよなと納得。
会員カードも一回の来店では貰えなかったので、リピーターになってからが本番なんだなと学びました。

帰りは担当してくれたフットマンさんと、執事さんに見送って貰ってお出かけ。
「馬車のご用意ができました」
って言われたよ。サンシャイン通りを馬車で突っ切るぜ。
本当に声の良い執事さんで、サロン内でもどこにいるかすぐわかるくらい通る声だった。

めっちゃ充実!満たされた!最高!
ってことはないけど、ホテルのアフタヌーンティーより少し安くて、非日常な時間を楽しめて、面白かったね〜という感じ。
普段、燕尾服を身近で見ることはないから、貴重な体験でした。

推し、またファンミーティングで執事やらんかね。

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