見出し画像

『ダブドリ Vol.15』インタビュー02 中村太地(シーホース三河)

2022年11月9日刊行の『ダブドリ Vol.15』(株式会社ダブドリ)より、中村太地選手インタビューの冒頭部分を無料公開します。

アジア枠を導入したKBL(韓国バスケットボールリーグ)で、日本人として初めてプレーし、今シーズンからシーホース三河に加入した中村太地。KBL2シーズンの経験から得たものは大きく、今後の人生にも影響がありそうだという。その学びとこれからについての思いを以前から親交のある船岡未沙希が迫る。(取材日:8月6日)

アジア枠ができたら、すぐにでも行こうと決めていました。

中村 あんにょんー(こんにちは)!
船岡 始まりは韓国語なんですね(笑)。ダブドリのインタビューは出られたことがあります?
中村 初です!
船岡 出られてるイメージがありました。では、今回のインタビューの意気込みを教えてください。
中村 喋りたいことを喋ります(笑)。
船岡 (笑)。たくさん喋って頂きましょう! まずは自己紹介をお願いします。
中村 はい! シーホース三河、中村太地です。山口県出身で25歳になりました。福岡大学附属大濠高校、法政大学出身。B.LEAGUEは既に5チーム目です。お願いします!
船岡 よろしくお願いします。まずは今シーズン、KBLからB.LEAGUEに復帰されましたが、KBL挑戦のきっかけはなんだったんですか?
中村 僕が高校2年の時に、後に韓国で加入することになる原州DBプロミというチームのイ・サンボムHCが、大濠に指導に来てくれていたんです。その時に教えてもらったバスケットに感銘を受けたのがきっかけですね。
船岡 なるほど。
中村 高校で1年間指導してもらいました。高校生のレベルではあったんですけど、ディフェンスフットワークとか、韓国の独特なフォーメーション、組織的なバスケットを学ぶことができました。それをもっと学びたいと思いました。
船岡 高校卒業後は法政大学に進学して、特別指定選手としてB.LEAGUEの様々なチームを経験されます。KBLでプレーしたいと思ったタイミングはいつですか?
中村 元々、KBLにはアジア枠がありませんでした。僕が大学を卒業して、京都ハンナリーズとの契約を終えた時点で、KBLにアジア枠ができるんじゃないかという話が出てきたんです。できるんだったら、すぐにでも行こうと決めていたので、アジア枠が発表された瞬間に決めました。
船岡 もし、アジア枠ができたタイミングが違えば、行けなかったかもしれない?
中村 そうですね。そもそも大学を卒業していなかったら行けていないだろうし、タイミングが完璧でした。
船岡 そして、高校の時に教わったイHCのチームに入ったということですね。その経緯を教えてもらえますか?
中村 イHCが大濠に来ていた時に通訳をしていたリョンギさん(鄭竜基(チョン・リョンギ)/株式会社ウィル代表取締役)に話をしたんです。
船岡 今、中村選手のエージェントをされている、リョンギさんですね。
中村 そうです。その関係もあったおかげで、色々な話を進めていただくことができました。

海外に出たら、中村太地という人間はこの程度なんだ。

船岡 韓国で2シーズンを過ごして、一番感じることはなんですか。
中村 人に優しくできるようになったことですね。
船岡 おおお!
中村 これまでは自分のことしか考えていませんでした。一人じゃ何もできないんだと感じたのが、一番大きかったですね。
船岡 それはすごく大きいですね……。
中村・船岡 (爆笑)。
宮本 船岡さんから見て、今までの中村選手と印象は変わりました?
船岡 そうですね。やっぱり少し大きくなって帰ってきたと。成長したなって……私が言う立場でもないですが(笑)。
中村 (笑)。その部分が一番大きいです。
船岡 きつかったですか?
中村 しんどかったですね。孤独だし、何をするにしても誰かにお願いしないといけない。手伝ってもらわないといけないというのは日本では味わえないので。こんなに無力で、海外にでたら中村太地という人間はこの程度なんだ、これぐらいしかできないんだというのをすごく感じました。
船岡 もう1年韓国でプレーしよう、みたいな考えはなかったんですか?
中村 あるにはありました。でも本当にめちゃくちゃ大変だし、コロナで隔離もあるので悩みましたね。最終的に僕は日本代表になりたいという気持ちもあるので、日本に戻ることを決めました。
船岡 韓国のバスケットボールはどんなスタイルなんですか?
中村 サイズやフィジカルがあるというのが、日本でイメージする韓国バスケだと思います。僕もそれはイメージしていたんですけど、コートの中に入ると想像以上に速いし、本当に強いと感じました。
船岡 私も大学でマネージャーをしていた頃、韓国のチームと定期戦があって、体格の差をとても感じました。プロともなるとまた更に?
中村 はい。そもそも韓国は2メートルの選手でもウイングでプレーします。ボールハンドリングもシュートもうまくて、リバウンドも飛んで、ディフェンスもガンガン身体をぶつけてくるみたいな選手ばかりです。日本にはいないタイプだと思います。
船岡 速さに関してはどうですか?
中村 元々韓国は文化としてせっかちな部分が結構あって、私生活がコートに影響しているのもあるのかなと感じました。そして、チャンスがあれば止まらずにアタックするというのが韓国のスタイルです。どのチームも、まずはノーマークのレイアップを狙いに行くのが前提にあります。運動量で勝てば、試合に勝てるみたいな考えがあって、そこで優位な展開を作ろうという感じですね。
船岡 なるほど。
中村 フロントコートに入るまでが、とにかく速いんです。そこでディフェンスが揃っていたらセットする。数的優位が作れているのであれば、攻め切ってしまう。処理しろ、解決しろみたいな言葉がよく使われていて、そこで終わらせてこい、ということをよく言われましたね。
船岡 ディフェンスの特徴はどうですか?
中村 日本みたいにオールコートプレスをするチームはないんですけど、ハーフコートに入ってからの圧の掛け方や、一歩外に追いやる身体の当て方はすごいです。抜かれてもすぐにヘルプが来て次に回る、みたいなローテーションもずば抜けて強度が高いです。「え、ヘルプに行ったのに、あそこにも行くの?」という感じで、最初は本当に苦労しました。トランジションとディフェンスのローテーションは、今まで生ぬるくやってきてしまっていたと感じました。日本とは違うハードワークというか……。

★ ★ ★ ★ ★

↓つづきはこちらから↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?