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フランチャイズプレーヤーの心に秘めた想い ~横浜エクセレンス 田口暖~

横浜移転、大型補強、ヘッドコーチの交代。近年の横浜エクセレンスは、注目を集めながらも思うような成績を出せずにいる。そんな中でチームがどんな状況であろうとも淡々と、しかし熱い想いを持ってプレーする田口暖。期待の若手としてエクセレンスに加入し、気づけば当時のメンバーの多くが移籍をした中で、彼はチームの顔として活躍を続ける。そんな田口暖が冷静に語ってくれたチームの現状と想いに迫る。(インタビュー・写真 = 宮本將廣)

周りを活かすために、自分もシュートを狙いに行く


宮本
 ヘッドコーチが交代して2ヶ月ほど経ちました。(12月にジョゼップ・クラロス・カナルス氏を双方合意で契約解除し、石田剛規GMが兼任HCとして復帰)田口選手個人に目を向けると、そこからスタメンでの出場機会が増えて得点も伸びています。田口選手の目線で、ヘッドコーチが変わってからチームはどんな変化があったでしょうか?
田口 ペップ(ジョゼップ・クラロス・カナルス)から石田さんに変わって、ディフェンスのルールは少し変わりました。オフェンスもシンプルなことですが、重くならない意識を持っています。ただ、チームとしての共通認識を作りきれていないというのが正直なところです。例えば、「ピックアンドロールでアンダーをされたらこうする」とか、「ネクストがきたら絶対にこうしよう」みたいなところまでは作りきれていない。毎週試合があるので、試合に向けたアジャストをやっているとなかなかそこに時間を割くことができないことのが現状です。チームとしては、まだいい流れに乗り切れていないとは感じています。
宮本 シーズン前にヘッドコーチが新しくなって、12月に石田HCが復帰するなどチームには色々な変化がありました。個とチームのバランスがすごく難しいのではないかと勝手に想像しています。その中で先ほども話したように、田口選手個人を見るとプレータイムや得点が伸びている。個とチームのバランスという観点では、自分が得点を取っている方がチームがうまく回っているのか、それとも自分がボールを散らした方がうまくいっているのか。その辺りはどうでしょうか?
田口 現状だと自分が点数を取っている方が、チームもバランスよく回っていると感じています。得点を取れる選手がたくさんいるので、より彼らを活かすためには自分もある程度の得点を取りにいくことで相手も的を絞りづらくなって、チームにいい影響を与えられている。プラスして、今シーズンはインサイドでゴリゴリやっていくチームではないけど、リバウンドがすごく取れています。だからこそ、僕が積極的にドライブからシュートに持っていくことで、インサイド陣がリバウンドを取ってセカンドチャンスを作り出してくれることも多いので、自分も積極的にシュートに狙っていこうと考えています。

自分の経験を周りに伝えて、自分ももっと成長したい

宮本 年齢的にも中堅になってきて、現メンバーの中ではエクセレンス在籍が一番長くなりました。東京エクセレンス時代を知る選手でもあり、若い時にキャプテンを経験したりもしましたが、チームに対する考え方が変わったところはありますか?
田口 なるほど……難しいな(笑)。
宮本 ハハハ。出会った頃は圧倒的一番下で、今後チームの顔になって欲しいからキャプテンをやっていたみたいなところがあったと思うんですよね。
田口 そうですね。
宮本 そういう経験を経て、クラブも一新して横浜に移転した。クラブに対する考え方が変わったのかなって、ずっと気になっていたんです。
田口 変わったと思うし、自分自身も変化を感じています。自分が感じてきたことや積み上げてきたこと、このチームに関わってくれた先輩方から教わってきたことを下の世代や新しいチームメイトに伝えていきたいと思うようになりました。プラスして、毎年選手が入れ替わる中で、最近は上のカテゴリーから移籍してくる選手も増えました。彼らからは、僕が今まで触れてきていないバスケットボールの考え方とか、プレーの仕方を教えてもらっています。個人的にももっと多くのことを吸収したいと思うようになりましたね。今のチームであれば(谷口)淳さんが自分の考えをチームに還元する力だったり、届ける力に長けていますし、これまで一緒にやってきた選手であれば宮田さん(宮田諭/東京ユナイテッドBC)がそういう力に長けていました。そんな姿勢を少しでも学んで、自分も今以上にチームのプラスなれる選手になりたいと思っています。

このチームでB2に戻りたいから、僕はここにいる

宮本 これは考えすぎなのかもしれないけど、石田HC体制に戻って、外から見ると「エクセレンスとは」というものを改めて考えさせられるというか。それをコートで体現するのが田口暖なのかなって感じています。そういうことを石田ヘッドコーチと話したりしましたか?
田口 すごいプレッシャーをかけてきますね(笑)。
一同 ハハハハハ。
田口 正直、そこまで自分にプレッシャーをかけてはいないですけど、やっぱりこのチームでB2も経験したし、このチームでそこに戻りたいから僕はここにいます。石田さんと話したりはしていないですけど、その想いは同じだと思っています。
宮本 この数年はB2に上がれるだろうと期待されていた中で、最後に届かない経験を何度もしましたよね。昨シーズンの最初に話した時も、「今シーズンの補強はすごい」という話をしていて、そもそも「試合に出られるかな」って話していました(笑)。でも、振り返るとやっぱり田口暖がエクセレンスの中心にいた。その姿は昔からエクセレンスを応援しているファンは嬉しいと思うし、そのスタイル、チームカルチャーっていうのは横浜に移転したとしても変わらないものだと思います。ペップから石田さんにヘッドコーチが戻ったことで、改めてそこが問われているのかなと僕は感じました。
田口 ペップから石田さんに戻ったことは正直、僕にとっては衝撃でした。でも、ヘッドコーチが誰であれ、そのバスケットボールを信じてコートで戦うのが僕らの役目だし、それ以上にエクセレンスをB2に昇格させたい、エクセレンスでB2に昇格したいという気持ちが年々強くなってきている。できるのであれば、自分がこのチームを引っ張ってそこにたどり着きたいと思っています。厳しい戦いが続きますけど、その想いを持って、残りのシーズンも戦っていきたいと思います。

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