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Bユースが創り出す 日本バスケの未来vol.1 サンロッカーズU12

サンロッカーズ渋谷ユースでは「渋谷から世界で活躍する選手を育てる」という理念のもと、トップチームとも連携した一貫指導体制を敷いている。さまざまな経験をしてきたコーチたちを選手の年代に合わせて配置するだけでなく、ユース活動を統括する「ディレクター」職を設置し、また現役NBA選手も指導するデイビッド・ナーステクニカルアドバイザーやパフォーマンスチームとも連携するなど、選手のさらなる成長を支援するための特徴的な取り組みが行われている。
 今回はU12の堀部寿貴HCに、一貫指導体制におけるU12の位置づけや役割、目指すものなどを聞いた。(取材日:7月12日)

サンロッカーズ渋谷とバスケの基礎を身につけてほしい

宮本 今回のユースの公開練習(7月3日、体験会と同時に開催)では、U12、U15、U18の3カテゴリーが体験会の参加者や保護者の前で練習を行いました。おそらく他のチームでも前例のない取り組みだと思いますが、U12はこの練習会に向けてどんなことを考えて取り組まれたのでしょうか?
堀部 見ている人に「サンロッカーズらしさ」を伝えたいと考えていました。簡潔にいうと一体感です。全員が1つの目標や目的に向かって頑張る姿だったり、諦めない姿勢や仲間を大切にすることはサンロッカーズ渋谷の全カテゴリーで大切にしていることです。そこをしっかりと表現したいと考えていました。
宮本 それを伝えるにあたって、練習メニューを考えたりしたんですか?
堀部 公開練習だからいつもと違うメニューを行うなどはしていなくて、むしろいつもの僕らを見てもらいたいと思い、普段やっている基本的な練習を行いました。U12はすべての基本的なことを身につけていく必要があると思います。だからこそ、サンロッカーズ渋谷の選手としての基礎とバスケットボールの基礎をしっかりと身につけてほしいと思っています。
宮本 「サンロッカーズ渋谷の選手としての基礎」と「バスケットボールの基礎」というところをもう少し具体的に教えていただけますか?
堀部 サンロッカーズ渋谷の選手としての基礎は、先ほども言った1つの目標に向かって頑張ることや諦めない姿勢です。バスケットボールの基礎としては、バスケットボールの見方や考え方、原理原則を理解してほしいと考えています。その上でスキルを身につけてほしい。一生懸命に練習することはもちろん大切ですが、「どうしてその練習やスキルが必要なのか」を理解した上で、練習に取り組んでほしい。「どうして?なぜ?」が理解できること、考えることができることで次のカテゴリーに上がったときの成長スピードも変わってくると思うので、小学生には少し難しいかもしれませんが、丁寧に噛み砕いて伝え続けることを意識しています。
宮本 公開練習を見ていてすごく印象的だったのが、U12のハドルを組む機会の多さです。そこで選手たちに「考え方」を伝えていたんですか?
堀部 そうですね。もしかしたら止めすぎかもしれないですが、僕は伝え続けることや考えることにこだわりたいと思っています。選手たちにもちょっとしつこいと思われているかもしれませんが(笑)、大切なことだと思うので、意図的に多くハドルを組んでいます。

みんながU15へ上がるにふさわしい選手になってほしい

宮本 サンロッカーズ渋谷ユースはU12があり、U15、U18、トップチームと一貫指導体制を構築しています。ここまでの堀部HCの考えは、上のカテゴリーのコーチ陣とコミュニケーションをとっていく中で、導き出されたものだったりするんですか?
堀部 そうですね。「コーチサミット」という、全カテゴリーのコーチが集まってディスカッションをする機会が定期的にあります。その時に「このカテゴリーにはこれが必要だね」というようなブレイクダウンを行って、今のチーム状況と照らし合わせながら練習の方向性を決めています。
宮本 上のカテゴリーのコーチとディスカッションをすることで、U12で採用した練習や重点的に取り組んだことなどはありますか?
堀部 スペーシングについては上のカテゴリーのコーチから取り組んでほしいと言われました。ただ正直難しさもあって、サンロッカーズ渋谷のU12は7号球を使って、305cmのリング、3ポイントシュートも採用しています。現状U12はチーム登録をしていないため、ミニバスにも加入している選手が多くいます。ただ、ミニバスは3ポイントシュートがないので、極端に言うと、スペーシングの概念がないんです。今U12で起きている事態としては、選手がゴール近辺に集まってしまい、スペースが狭くなってしまう。それにはしっかりと理由があって、3ポイントが届かない、ミニバスに3ポイントがないなどが挙げられて、その状況でU12としてスペーシングをどれくらい、どのように指導していこうかとディスカッションになりました。
宮本 今回の公開練習でもスペーシングを意識した練習をしていましたよね。
堀部 そうですね。スペーシングを指導するにあたって、U12で強調しているのは、「ボールのために周りが動きましょう。ボールと人が動かないとダメだよ」ということです。「ボールを持っている人のために自分がいい動きをしたり、待っていることは助けになるんだよ。どうしてかというとボールを持っている人がアタックするためのスペースを作ることで、ディフェンスが守りづらくなるよね」と“なぜ“を解きながら、スペーシングの重要性を選手たちに伝えています。
宮本 スペーシングについては、先日の日本バスケットボール協会が公開した東京オリンピックのテクニカルレポートでも「育成年代への提言」として書かれていました。そのような形でU12の選手たちに伝えることで、実際に変化や成長は感じられていますか?
堀部 変化や成長は感じています。少し話がズレるかもしれないですが、U12では1ヶ月に1回、自分達のバスケットボールを振り返る映像を作って送っているんです。
宮本 おお、なるほど。
堀部 選手たちには相手がどんなバスケットボールをしてくるかよりも、まずは自分たちのバスケットボールを信じて、どれだけ高めていけるかを考えてほしいと思っています。プレーをしているだけではわからないことも、映像を用いて客観的に見ることによって、「自分たちはこれだけできるようになっているんだ」と理解することができると思います。
宮本 動画を活用すると子供たちの受け取り方は変わりますか?
堀部 結構変わりますね。言葉で伝え続けることにあわせて、映像も見ることによって理解が進んでいると感じます。最近はチームとしてやりたいプレーが増えてきています。

宮本 現在、U12からU15にはどれくらいの選手が上がっていくとか、上がるための基準などはあるんですか?
堀部 全員が上がれるわけではなく、今年からU15への加入争いが激しくなりそうだと個人的には感じています。いい環境を作っていくために、この子は渋谷ユースでより成長できる、または渋谷ユースにいい影響を与えてくれるなどの視点で選手を見ることがあることも事実です。難しいですが、その中でも全員に成長の機会を作れるようにしたいですし、みんながU15へ上がるにふさわしい選手になってほしいと思っています。
宮本 今後もU12は上のカテゴリーに繋がる選手を育成していくわけですが、どのような選手を育成していきたいですか?
堀部 まずはサンロッカーズ渋谷にふさわしい選手、「サンロッカーズ渋谷らしさ」を体現できる選手を育成していきたいと考えています。それは最初にも言いましたが、仲間を大切にする選手や最後までやりきれる、諦めないことを体現できる選手です。そこにプラスしてバスケットのうまさやスキル、いい考え方をできる選手を育成していければと思っています。その中でここから1人でも多くの選手がU15、U18、トップチームに上がっていくようになってくれたら嬉しいですね。

取材・文・写真=宮本將廣

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