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田口代表挨拶から感じた期待感。

 1月14日、浦和レッズは新たに就任したへグモ氏、そして新加入選手が出席する新体制発表会を行った。
 今回は冒頭の田口 誠代表の挨拶から感じたことをまとめた。


田口誠代表のあいさつ

 田口代表が語った内容としては主に3つ。チームの強化、クラブの収益、そして競技運営と過不足なくクラブが今年目指すことが明言されるよい内容であったと思う。

チームの強化

 まず田口代表の話の冒頭はチームの強化についてのことだった。CWC4位も含めて、昨年の成績を一定の評価はできるがタイトル獲得の面で物足りないとしたうえで、今年はそれを超える戦績を目指すと話した。
 また、今年のみならず2025年のクラブワールドカップに向け、世界の強豪と闘い、浦和の存在感を示したいという意思を表明した。
 そしてへグモ監督の就任に触れ、大きな期待を寄せるとともに、主力となるCFが不在のまま開幕した昨年の反省を踏まえて、今季はスタートダッシュができる体制をそろえられたと話した。

 私がまず驚いたのは、センターフォワードという単語が代表の口から出てきたことにあるように、サッカーの話をしっかりとしてくれた点だ。
 サッカークラブの社長は必ずしもサッカーに詳しくなければ務まらないわけではない。親会社からの出向などでサッカーを知らない社長が就任することもよくある。しかし田口代表はFB本部の使命、役割に則した、具体的なサッカーの話を最初にしてくれた。それだけで非常に信頼感を持つことができた。

 内容に関しても非常に明確で、サポーターの知りたいことをしっかり伝えてくれたように感じた。例えば、昨季をもってFB本部創設の一つの柱であった土田SDの退任が発表された。そのため、これまでのFB本部が掲げたコンセプトや志向するサッカーから遠ざかるのではないかという不安も少ないながら持っている人もいることだろう。
 田口代表は冒頭に「我々が取り組んできた『レッズはどういうサッカーをするんだ』というコンセプトは連綿と引き継がれております。」とFB本部の方向が変わらないことを話してくれた。それにより、へグモ新監督や新加入選手への期待感を膨らますことができたのだとと思う。
 今季のレッズのサッカーを早く見たいと思わせるようなスピーチだったと思えた。

クラブの経営

 続いて田口代表はクラブの経営について触れた。年々選手の移籍や年俸に懸かる値段が高騰していることに触れ、継続的な発展と安定した基盤の構築の重要性を語った。
 
 私が何よりも注目したいのは、「ピッチの上で勝つ力もそうですけど、クラブとして稼ぐ力もこれからやっぱり我々の大きな課題となってくる。」という一言だ。

 まず、稼ぐ力が必要ということ。浦和は近年Jリーグでは毎年トップの売り上げをたたき出し、年間売り上げは約80億に上る。そんなクラブがもっと稼がなくてはいけないと考えるということは、目線が一つ上に上がったことを表している。
 CWCで対戦したマンチェスターシティの年間売り上げは約8億1800万ユーロ(日本円で約1300億円)とまで言われている。2025年のCWCではこのようなメガクラブとの対戦は避けられず、その先も対等に戦うことを考えればより経営規模を拡大しなければいけないことは明白だ。
 日本におけるトップに甘んじることなく、あらゆる面でのアジアNO.1を目指すクラブの姿勢がこれほどまでとはと感嘆せざるを得ない言葉だった。

 そして稼ぐ力が必要、という発言を顧客であるパートナー企業やサポーターが見れる会見で発信することにも驚いた。日本では稼ぐことを美徳としない風潮があるためか、このような発言をする企業を拝金主義とやっかむことがある。しかし、今回田口代表は稼ぐ力が必要と真正面から話してくれた。

 私はこれを、レッズの一種の信頼だと捉えた。稼ぎますというからには、新規顧客に対してというのもあると思うが、まずは顧客である我々からしっかりお金を取るということとニアイコールだ。それに対して我々サポーターやパートナー企業の中で「拝金主義め」と唱える人は少ないだろう。むしろ「よくぞ言った、その通りだ」と感じる人が多いのではないか。
 田口代表の発言の裏には、パートナー企業やサポーターはともに志を同じくする仲間なのだから、クラブの課題を包み隠さず晒したそのうえでともに発展させていこうというクラブの姿勢を、言外で示したのではないかと思う。そして、安易にWe are REDSと同調を求めるのでなく、自然な形で私たちがクラブの一員であることを示してくれたことが何より信頼で成り立っていると感じられた。
 

競技運営

 そして最後は競技運営の点について触れた。田口代表は昨年の天皇杯におけるサポーターによる規律違反に触れ、絶対に忘れないと約束し、今後の規則違反に対して厳格な対応をすることを約束した。
 
 昨年の天皇杯で起こった事案に関して、田口代表や須藤伸樹マーケティング本部本部長を中心に浦和レッズは非常にスピーディーかつ厳格な対応を行った。それだけではなく、新たに浦和レッズにおける今後の規則違反者に対する措置を一新し罰則の厳格化を図った。

 これまで何度も起こってしまったサポーターの問題行動に対してここまで大鉈を振るうことができる社長の実行力は非常に目を見張るものがある。そして、安全なスタジアムを保証しながらゴール裏との対等な姿勢を守ろうとするところにも非常に好感を持っている。
 これまでの文化を大切にしながら、正常な発展を目指してくれるという安心感が今の体制にあると私は考えている。

今季のクラブへの期待。

 サッカーの面ではリーグ優勝が常に至上命題として掲げられるシーズンになるのは間違いない。しかし、私は代表の挨拶を聴いてこの一年がCWCに向けてクラブとサポーターが一体となり、世界に近づくための一年であると感じた。
 サッカーの面での取り組みは、昨年の継続に加えて欧州の現役代表の獲得などにもトライし世界とのコネクションを拡大している。経営面でもスポンサー収益を大きく上げ、運営面でも奮闘している。
 クラブはしっかりと方向性を見せてくれた。だからこそサポーターである私も基準を上げてクラブと同じ方向を向きたいものだ。
 サッカーをもっと見てよいプレーに今まで以上に反応する。友人を埼スタに誘う。パートナー企業の商品を選ぶなどやれることがたくさんある。

 田口代表の挨拶はクラブの姿勢をはっきり打ち出し、熱意も感じられた。
 レッズの向いている方向は間違っていない。私もそれに応えたい。そう思える挨拶だった。


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