いいだ・だっくる・しんいち

1986年、飯田橋に生まれず、飯田橋で育たなかった。

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1986年、飯田橋に生まれず、飯田橋で育たなかった。

最近の記事

おれと亀2

で亀がおれに「おありがとうございます。お礼にぜひ龍宮城まで」って喋ったら、このまま浦島ルート一直線ってことになんじゃないかなフハ。って半笑いでまた流木をぶんぶんしてたら、なんたるちあ。亀は喋った。マジで? いや本当は、なんつーか声って感じではなくて、でも直接脳内にって感じでもなくて、亀の考えていることが何となく分かっただけ。だから喋ってはいない。でも意思らしきものが理解できてる。うひー、長年の投薬治療のせいで、とうとう頭イカれたかおれ。統合失調なんちゃらってやつになっちまった

    • おれと亀

       何もやることがないので、ポケットに手を突っ込んで歩いていた。へどもど歩いていた。気がつけば海岸。波が常に穏やかで、サーファーもいない静かな海岸である。特にマリンスポーツとか釣りとかしないから普段、海に興味があるわけではないが、このちゃーんちゃぷちゃぷとした雰囲気つうか佇まいつうか、なんかいいよね。ぼくもわたしも詩人になちゃうよね。うーん、一句ひねろうかな。なんて思ってるとなんかうるさい。小うるさいというか子うるさい。思春期未満特有のきゃいきゃいとした蛍光イエローな子どもの声

      • おれとキテレツ

        こう書くと、まるでコロ助みたいだと思ったが、コロ助の一人称はワガハイだったナリ。それはそれとして。昔見ていたアニメ、「キテレツ大百科」のことを書く。 世の中にはキテレツ大百科が最終回を迎えたらと思ったら、翌週にまたキテレツ大百科が始まるという、どっちが奇天烈だかわからない県があったと聞く。それもそれとして。おれはけっこうキテレツ大百科が好きだ。 実際のところ、情報ソースとして使ってはいけないでお馴染みのウィキペディアによると、キテレツ大百科が終わったのはもう18年

        • つかれています

          相変わらず三途の川で船酔い中の、のーみそこねこね疲労コンパイルのおれだが、ちらっと社員が「この建物、出るから止まりたくないよねー」とか「あー、座敷童がねぇ」などと話しているのを聞く。 ん。比喩表現のつもりだったけどおれってほんとに三途の川を渡ってるのか……と視線を落とせばきちんと足はある。まあ2015年なんていう時代に幽霊といえば足がないというのも時代錯誤かもしれん。死後も働かされるナントカ地獄ってやつにおれは落ちたのだ……。 と、ふざけているが、さっき言い掛かり

          誰何亭何某全まくら集

           2010年代末期に動画サイトが産んだ、落語家・誰何亭何某(だれなんていなにがし)は相田学、橋本康一、今庄寛の3人が名前と顔を隠し、共用していた高座名である。  彼らはそれぞれの思惑から高座名の共有という奇妙な計画を実行したが、大学の落研あがりのサラリーマンの相田のみが現在は二代目誰何亭何某を名乗り、コメディアンであった橋本が俳優としてドラマや舞台に活動拠点を移し、本来ならば2つ目、真打ちとしてまっとうな落語家人生を歩めたはずの今庄が失踪するという未来は、誰も描いていな

          誰何亭何某全まくら集

          おれとアニオタ

          おれはアニメがそこそこ好きだ。声優の名前を10人ぐらい20人ぐらいは言える。アニメ監督もそれぐらいは言える。でも、ガチガチのアニオタかと言われれば首を横に振らざるを得ない。なぜなら、今のアニメってだいたい1クール(3ヶ月)ないし2クール(6ヶ月)で新作が放送されるんだけど、その度に面白そうなのをいちいちチェックして、録画するかと言われればぜんぜんしてないから。だいたいがして無職の頃でさえしてなかったのだから、いわんや社畜候補生である今をや、である。 あともうひとつあって

          遅く起きた朝はっていうか夕方は

          起きたら17時。 おれは確かに昨日、深夜2時ぐらいに寝た。寝たが、せめて12時とか13時ぐらいに起きてもいいのではないか。いつもはバッチリシャッキリ7時間半睡眠なのにこの体たらくである。おれは今日も失敗している。つまり、あんまりいい感じのスタートじゃなかった。ええと昔の人が言っていた顔の一部に怪我を負う奴だ。「顔の一部ったら目かい?」違う違うその下だ。「つうことは口だ」違う違うもうちょっと上。「そしたら鼻か」そうそう鼻。その鼻を……「折った?」折ってない折ってない。もっと軽

          遅く起きた朝はっていうか夕方は

          matsuri

          僕のような人種にはまったく関係ないので、蚊帳の外という感じなのですが、どこの誰だか知らないけれど、そいつからハロウインが輸入されて、すっかり企業にとってビジネスチャンスになっている昨今。もう10年もすれば、いつからイースターが日本の行事に! みたいなことになるのだろうか。まあイースターってちょっとわかりにくい。「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」だそうです。これはさすがに定着しなそうだ。 考えてみれば、ハロウィンもクリスマスもバレンタインも、なんか西洋のお祭ばかりなのが

          自分を変えるのが嫌なら耳をふさげだとぉ

          数は力って話です。 人ってまあどんなに虫が苦手な人でもアリの一匹ぐらいだと平気だと思うんですけど、いや一匹たりとも許しはしねえ。すげえ怖い。こんなに怖いものは食べてしまおう。むしゃ虫ゃ。おい、見てみろ。野郎、怖い、怖いってアリを食ってやがる! なにー! アリにはギ酸が含まれていて、これが肌に触れると激痛、目に入ると失明、慢性的に摂取すると肝機能に障害をもたらすおそれがあるが、モカ豆の浅煎り・中煎りにもギ酸が含まれているから、それがあいつの味蕾を刺激したのかもしれねえな。なる

          自分を変えるのが嫌なら耳をふさげだとぉ

          「がーん」について

          よくショックなときに「がーん」っていうじゃん。まあ一般論として。 だけど、おれは他の人が、がーんというであろうときに「がびーん」っていってたのね。したら彼女に、オタクくせえ! といわれてしまったのを思い出した。あれは、たしか大学生のとき。 それで友達にかびーんにまつわる、かくかくしかじかを話した。そしたら「確かにそうだし、あと昭和っぽい」と。散々だな、おい。 まあ、擬音を口にする時点で十分にオタクくさいのだけれど、じゃあせめて平成っぽいのはなんだろう? とおれは思った。

          今こそ「HUNTER×HUNTER」を読むべき

            先日再開した「HUNTER×HUNTER」がようやくハンターし始めている。  と、いうと意味が分からないかもしれない。まあ一言でいうとこれからめっちゃ面白くなるんじゃないの? ってことなんだけど。正直「キメラアント編以降のなんだかよくわからない会長選挙・アルカ編ってピーク過ぎちゃった感あるよね」とかぼくは思っていた。でも違ったのだ。これからが本当のはじまりだったし、もしかしたら集大成となるのかもしれない。先に言っておくと、今回、すげえ長いです。あと既刊32巻までのネタバ

          今こそ「HUNTER×HUNTER」を読むべき

          わたしたちこれからいいところ

           おれがこの世で一番好きな飲み物はなあに?と北川景子に聞かれたならばそれは「うーん、コーラも捨てがたいけどやっぱりドクターペッパーかな」という。友人に聞かれてもそういう。親兄弟に聞かれても同じことをいう。ま、誰かに聞かれたぐらいで自分の好みを偽るようじゃこの業界やってられないよ。君は何が好きだい? えっ、お茶? おいおい、炭酸の話しようぜ!  という、上段構えのテキストを今日おれは書きたいのではなくて、そもそも、無職のおれが、どの業界に属しているのか。そして未だ職歴真っ白な

          わたしたちこれからいいところ

          ごんぶと

           この間から痩せようと思っていた。ほいで、おれの中で一番ポピュラーな運動がマラソンなので、走ろう、走ってこまそう。と決めた。まあ、ジムやプールに通う金もないしね。靴は学生んときのがあるし、服は適当にジャージとかを着ればいいし、決めた。で、先週からちょくちょく走っている。  でも飽きっぽさならどんなアイドルの中でもセンター、との誉れも高いおれだ。且つ、食欲以外は大した欲望もないのでバイトなんかも買いたいもの買っちゃったらもういいやーってなって、ぺーって辞めてしまうのがおれだ。

          へんじがない ただのしかばね

          「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響キアリー」  迂闊にもそう発してしまった時点で、ぼくがドラクエ派であることがクラス中に知れ渡ってしまった。父親の影響で始めたドラクエでRPGというものを知り、そのせいでFFは好きではなかった。それを必死に隠して来たのに、しくじった。  国語の授業が終わったあと、クラスのリーダー格がぼくを呼び出した。 「お前がそっち側だったとはな。残念だがこのクラスにドラクエ派はいらないんだ」  覚悟はしていたがこれは死刑宣告に近いものだった。ぼくたちの

          へんじがない ただのしかばね

          瀬戸ぎわのトット

           トットは震える手で最後の人形を置いた。真っ赤な帽子をかぶった人形の笑顔が自分を嘲笑っているように感じた。  世界的企業がスポンサーにつき、屈強な男が仕切るクイズゲームにこういった裏の顔があることは不思議ではなかった。ほんの些細なきっかけから生まれた借金。その返済のため、トットは裏のクイズゲーム、つまりギャンブルに手を出した。が、当初は数百万だった額は今や億単位にまで膨れ上がっていた。  トットは自分を着飾ったり、贅沢な暮らしがしたかったわけではなかった。ただ人が救いたか