童貞クロニクル

原始、おれはパリピであった。お前らと心中なんかするかよバーカ

葬列に雨が降る降る なにもかもゆるされていたはずの真夏に

「あのころのきみ」になりゆく一瞬を吐き出す、23度の部屋で

放課後の自慰が終わって朝が来る 街にもバールのようなきみにも

主役ではないと気づいたあの夜に閉じ込められて薄荷のにおい

メンヘラの永遠の叫びが二時半の防災無線に中断される

数の子のひとつひとつにLOVEがある もうクーデター起きないのかな

群れのなかの絶叫、すこしの質量も持てずに空へとけてゆく音

No gravity, No gravity おれがいられる場所などどこにもなくて

うつくしいドラムロールにおびえつつ今日も長ねぎたちと踊るよ

セックスを知れないケンタウロスたちの血で書いた詩が流行ってしまう

主語ばかりおおきくなるね 死にたくない抱きしめられたい笑っていたい

おれ以外全員ハリネズミの街でひとり線香花火をおとす

怪獣がおれをさらいにやってきた ちょっと迷って、なみだがでるわ

こんにちは、ららららぶらぶふぉーえばー かすかにおれを呼ぶ声がした

Do you know 17th? つかれてる、おとなのたのしさなんてしらない

青春と形容され続けるだけの日々にめちゃくちゃ光る十字架

おしまいのただなかでさえひとすじの自己啓発セミナーのきらめき

善悪を超えてパリピが空を飛ぶ へんな天然記念物の死

ダンシング・パンチドランカー負けないでやさしいままでうごめいていて

青春が存在しない星とかはなくて氷点下に生きている

じゃあ全部信仰ですね 炯々とコンパスの赤は照らされていて

処女膜の飛び交う純情戦争をおもって夜に食うウニパスタ

終劇ののちにさみしい生殖を まだまだ続くよ、と声はして

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