見出し画像

みわさんのこと

変な時間に起きてしまった。
寝ようとしても寝られないので、みわさんの話をしよう。

みわさんは、今年の2月、まだ世界中がコロナなんか知らなかったときに出会った。
私は会社帰りに接骨院に通っていて、予約時間までの時間潰しにカフェを探していた。

ぶらぶらしていると、細い路地に小さなお店を見つけた。その時は寒かったし、暖かいオレンジの光に吸い寄せられるみたいに中を覗いた。
おそらく4人入れば狭くなってしまうくらいの、小さなお店。

へ〜。こんな所にお店あったんだ。
全然知らなかった。

チリンチリンとドアベルが鳴って、中へ入ると、バタバタしているみわさんが居た。

「いらっしゃい〜。ごめんなさい。まだ何も用意できてないの〜。」

何も用意できてないのか〜(笑)ってちょっと笑ってしまった。初対面の相手から正直に告げられると、なんか気が抜けて、警戒心みたいな壁がスッとなくなった気がした。

「全然大丈夫ですよ。ゆっくりで。」

「ごめんね〜」

と忙しそうにキッチンでゴソゴソしている。
後でわかったのだけれど、みわさんは昼間の仕事が終わった後、こちらの店を間借りして軽食とお酒を提供しているのだ。
私が入ったタイミングも早かったのかもしれないが、これから何度か、みわさんの

「ごめんね。まだ何もできてない。」

を聞くことになる。

「すぐ出る飲み物って何ですか?」
「コーヒーか、ジンジャーエールか、ビールかな。」
「じゃあジンジャーエールお願いします。」

ジンジャーエールを飲みながら、お店とみわさんの事を聞いた。

午後3時まではオーナー夫妻がカフェをやっていること。コーヒーがすごく美味しくて、いつもおまけにお菓子を付けてくれること。夜はお店をやりたい人に貸していて、木曜日はみわさんが借りていること。みわさんの、無農薬にこだわった、美味しいごはんのこと。

わちゃわちゃしてるけど、可愛くて素敵な人だなって思った。

それからと言うもの、みわさんのお店に通っている。みわさんも昼の仕事の関係か、毎週お店をやっているわけではない。私も4月から勤務先が変わってしまったのと、コロナのせいで全然会えなくなってしまった。

でも時々顔を出すと、会えてほっとする。みわさんのお店に来るお客さんも、とても優しい人達ばかりで、いつも楽しい時間を過ごせている。
そしてみんな、みわさんのことが大好きなんだなって感じる。

みわさんの飾らない性格と、美味しい料理が人を惹き付けるんだな。

今度、みわさんとお客さんと私、女5人でシーカヤックをすることになった。シーカヤックでお世話になるガイドさんも、みわさんのお店で出会った人だ。

みわさんのお陰で素敵な人に会えたり、色々体験できたり、知らなかった世界を見ることができた。

いつもありがとう、みわさん。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?