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Dreamcatcher『Deja Vu』考察〜海外ファンの解説を添えて〜


Ver.1はこちら



Ver.2

【考察のその前に】

今回はDreamcatcher(ドゥケ)『Deja Vu』MV、の、中で繰り広げられる物語について考察してまいりたいと思います。普段映画以外では考察とか全然しない人間なんですが、なぜするに至ったかは最後に述べたいと思います。

とはいえ、この『Deja Vu』は2019年の作品ですから、KPOP界でいえば「結構前」になるのでしょう。(流れ早いからね…)ですので、「考察なんかやり尽くされてるだろうなぁ」と検索をかけてみたんですが…


おいおい…

少なっ!

記事、

少なッッッッ!!!

まぁVer.1でもお話ししたように、Dreamcatcherは悲しいかな日本では人気がない方でしょうから仕方がないんですが、にしても少ねえ。

【今回の参考動画】

がしかーし!海外勢の考察については出てくる出てくる。というわけで、今回はそんなさまざまな海外勢の考察の中でも、人気の高そうな?Twitterなんかでも「この人の考察良いよ!」と呟いている人が見受けられた動画を参考にさせていただくことにしました。他に良いのがあったら教えてください。

記事タイトルには『〜海外ファンの解説を添えて〜』なんて付けちゃったんですが、このチャンネルをざっと拝見したところ、色んなKPOPの考察をするチャンネルのようなので、動画作成者がInSomnia(Dreamcatcherファン)なんかどうかは正直、

わかりません(わからんのかい)。

【すべてのピースは合わない】

参考動画内では『Deja Vu』という楽曲の歌詞とも絡めて考察をされているのですが、私はそれはややこしくなる気がしたので、あくまでも物語のみにフォーカスしています。あとこの楽曲がコラボ?タイアップ?した『キングスレイド』の知識も0です。そして別に英語が堪能なわけでもないので、そもそもこの動画の中で作成者が言っていることを間違って解釈してしまっている可能性もなきにしもあらず…(そんなんで大丈夫か?)。そこは堪能なソムニャさんに是非ご指摘いただきたい(他力)。

それから私自身、考察はしていくものの、すべてのパズルのピースが合うなんて思っていません。MVなんてわずかな時間で印象的な画にすることが最重要のはずです。物語に重きを置きすぎて画力(えぢから)が弱まっては本末転倒でしょう。つまり、画力のために犠牲にしている辻褄もある、あっていい。少なくとも私はそう考えている人間であることを先に述べておきます。

けれどもこれらを踏まえても、このMVは非常に良くできている。そう感じました。何も知らなくても猛烈に惹かれるし、知って、"より"惹かれる。そんな仕上がりになっていると思います。

御託はもうええか!ほな始めるデ!

【ストーリー解釈】

まずは私がこの物語をどのように解釈したか、ざっくりお話しさせていただきやす。その根拠はのちほど詳述してまいりますので。

____それは今はすでに過去。
7人は平穏に過ごしていた。がしかし、ユヒョンだけはジユの座をずっと狙っていた。

(みんなで和やかに過ごしていても)
(ユヒョンの心の中はこうだったのだろう)

ユヒョンはジユが疎ましかった。彼女は悪であると捉えるほどに。

(ユヒョン「ジユが悪で私が善なのだ」)

そしてある時ついにユヒョンは行動を起こす。しかしそれは失敗に終わり、逆に窮地に立たされてしまう。

(ジユに剣を奪われ、突きつけられるユヒョン)

けれどもジユはユヒョンを赦した。そして剣を捨て、彼女のもとを離れようとしたのだが…

(もらった…!)
(ジユはユヒョンによって亡き者に)

ジユの死を皆が悲しむ。そして裏切り者となったユヒョンは皆から冷たい視線を浴びせられることに。

_____それでも、奪い取った玉座の上でユヒョンは満足気な表情を浮かべるのだった。

(私の、城。私が、女王。)

ちなみにMV冒頭、ユヒョンが白いドレスを着て椅子へとたどり着き腰を下ろした直後、黒い煙に包まれるシーンは、彼女の玉座への渇望、そしてジユへの裏切りの気持ちの芽生えを表したシーンではないかと私は思っています。

(私は玉座を手にしたい)
(椅子に腰を下ろす=その気持ちは確かなものとなり、裏切りの気持ち(黒い煙)が芽生え、染まってゆく)

それから、こちらのシーンでセンターにいるのがユヒョンであることや、ジユが黒いドレスでユヒョンに剣を突きつけたあのシーンから、もともとトップに君臨していたのはユヒョンで、最初にジユが裏切ったのでは?と思う方もあるかもしれませんが、この楽曲のタイトルは『Deja Vu』です。

dejavu

〈フランス語〉《心理学》デジャヴュ、既視感、既視体験◆実際には見て[経験して]いないのに、かつて見た[経験した]ことがあると感じること。
英辞郎on the WEBより

このように、デジャヴとは"経験していない"のにしたことがあると感じるわけですから、ジユがユヒョンに剣を突きつけたのは事実ではないと考えるのが妥当ではないでしょうか。根拠はこれだけではありません。詳しくは白と黒・赤と青の項で述べたいと思います。

ジユでなくユヒョンがセンターにいた理由は、彼女がこの物語の主人公であるという意味合いでの配置ではないか、と私は考えます。

【白と黒・赤と青】

それでは私のストーリー解釈の根拠となった要素について、詳しく述べてまいりましょう。まずは皆さんも気になったのではないでしょうか。作中非常に印象的な色の対比がありますよね。白と黒・赤と青です。

白と黒は一般的に

白=善良・無垢など 
黒=邪悪など

の象徴とされますが、作中でもその通りの使い方をされていたように思います。

(ユヒョンのドレスが白、包む煙が黒)

まずは先ほどもご紹介したこのシーン。私はこのシーンを、「本来ジユのものである玉座を欲したことにより、ユヒョンに裏切りの気持ちが芽生えたことを表していると解釈した」と述べました。つまりここでの白=裏切りの気持ちが芽生える前を表しているということになります。

(ユヒョンのドレスが白、ジユのドレスが黒)

このシーンは赤と青も含めて考えた方が良いと思うので、後述します。

(ジユの背中を狙うユヒョンは明らかに黒)

ダンスシーンの衣装は除外した方がいいでしょうw

(ジユを裏切り、玉座に座ったユヒョンももちろん黒)

このジユの白い衣装についても赤と青を含めて考えた方が良いと思いますので、後述。

それでは続いて赤と青です。「あれ、そこ触れないの?」な部分は後ほど別の項で出てきますので、あせらないあせらない、ひとやすみひと

(冒頭ユヒョンが玉座に座る窓の外は青)
(みんなで和やかに過ごす際のテーブルは赤)
(そのテーブルが、2人きりになるときは青)
(ジユが白、倒れている台は赤)
(ユヒョンが白、ジユが黒で窓の外は青)

ここで一旦、話をデジャヴの意味に戻します。参考動画の中ではその意味について、もう一歩踏み込んで話をされていました。

「dejavuとは過去の出来事や夢、感情を引き金としたdistortion of perceptionによるもの」
参考動画より

このdistortion〜をなんと和訳するのが良いのか難しいんですが、歪んだ認識でいいんじゃないでしょうか。そして、動画作成者は「青色こそ、歪んだ認識=事実ではないことの象徴として用いられている」と述べています。「よって、反対の赤色=事実を表しているのだろう」とも。もっとわかりやすく言いかえてもいました。青=主観的事実、赤=客観的事実です。

もう一度先ほどのシーンの羅列を、こちらの解釈を踏まえた上でご覧になってみてください。どうでしょう?しっくりきませんか?少なくとも私はしっくりきました。

【青い薔薇が意味するもの】

お待たせしました(?)、先ほどの項では触れなかった青の登場です。やはり作中最も印象的な青といえば、青い薔薇でしょう。

この青については前述の「青=主観的事実」とは異なる意味を持つと私は考えています。まず、青い薔薇が登場するシーンをまとめてみます。

(ガヒョンとシヨンの間に置かれた花瓶に青い薔薇)
(スアがその花束を持ってきてメンバーらに渡す)
(バラの花束を手に眠るジユに剣を突きつけるユヒョン)
(立場が逆転)
(大事そうに花束を持つスア)
(それを投げ捨てる)

私はこれらの使われ方から、青い薔薇=メンバーらのジユに対して、およびそれぞれに対する信頼・愛のようなものを表しているのではないかと考えました。皆が集う時それはまとまって花瓶に入っており、ジユが亡くなると皆がそれを彼女の手に持たせてやる。けれどユヒョンは自分こそがその花束(信頼や愛)をもらうべき人間だと思っていて、ジユが悪であると信じたい。そしてスアは最後にその花束を投げ捨てる=ユヒョンの裏切りにより、それぞれへの信頼や愛という、脅かされてはならないものが崩壊してしまった。

【青とシヨン】

一方で、また別の崩壊を表す存在がいるように思います。シヨンです。MV冒頭、彼女はロイヤルブルーの幕の前で歌うわけですが、終盤その幕は燃えてゆきます。

ロイヤル(royal)ブルーという色は、その名の通りの意味を持ちますよね。

ロイヤルブルー
色名の一つ。古代ローマ帝政の時代から高貴な地位の象徴といわれた紫みの濃い青。紫みが加わり、青に深みが出ることで高貴なイメージになっている。ロイヤルパープルとともにイギリス王室が用いる色。イギリスではキングズブルーとも呼ばれる。
コトバンクより

おわかりですね。シヨンが着ている服の色はロイヤルパープルです。彼女はこのMVの物語=王室の崩壊をそのまま表しているのでしょう。

【女王となったユヒョン】

ここで参考動画作成者の印象深い言葉を引用します。

now she's queen,yes,
but the queen of the ashes.
参考動画より

sheとはもちろんユヒョンのことであり、ashは灰。彼女は最終的に見事女王となったわけですが、もはや誰からの信頼も愛もなく、その地位や権力はないのと同じでしょう。まさにthe queen of the ashesです。

ところで参考動画のコメ欄にこの作成者の言葉と、"面白すぎて観る者を廃人にする"と私の周りで有名な海外ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』を絡めている方がいらっしゃったのですが、何か関係あるのかな?私はこのドラマ観てないんですよ、多分、いや、絶対廃人になるからw


こうして物語があまりに虚しい結末を迎えた時、聴こえてくるのはストリングスの悲しげな響き。これら、非常にマッチしていますよね。けれども画面に映し出されるのは、決意に満ちた表情で力強く前を向くユヒョン。この対比がより一層、結末の虚しさを引き立てているように思います。

ちなみに彼女の椅子に巻き付く蔦の花(葉?)言葉には「決意」や「執着」があるようです。

【参考動画内その他の情報】

と、ここまで参考動画と私の見解を共にご紹介してまいりましたが、他にも動画内では

・スアが着ているドレスにプリントされている赤と白のカーネーションの花言葉に注目
・ダミが鏡に囲まれて歌うシーンについて、鏡は双対性とアイデンティティーの象徴であり、その際彼女が歌っている歌詞との関連
・ユヒョンが着ている服は興味深い。なぜなら赤・青・黒が含まれているから。(ただこれはビハインド見てると完全に赤と黒の服なのでどうかな…?)

というような観点からの考察もありました。私は記事序盤でも述べたように、歌詞との絡みをあえて考えないようにしたので今回採用しませんでしたが、気になった方はこれらの情報から更に考察なさってはいかがでしょうか。

【考察好きでもないのに考察に至ったワケ】

最後に、記事冒頭で述べた「なぜ考察好き人間でもないのにMV考察するに至ったか」に触れて終わりにしたいと思います。まずぶっちゃけこの『Deja Vu』という曲、全然私のタイプじゃありませんでした。ステージ衣装も正直ようわからんかったし…

(私がグッときた衣装代表(『MAISON』活動時)

そう、私はこの『Deja Vu』、曲から入りました。Dreamcatcherの場合(というかKPOP)ほとんどがそうでしょうが、この曲ほどMVから入るべき曲もないように思います。それほどにMVが良すぎました。するとどうでしょう、何度も何度も観返し、気づけば曲もステージ衣装も好きになり、MVの中で繰り広げられる物語にまで思いを馳せるようになってしまったのであります。

記事序盤で「何も知らなくても猛烈に惹かれるし、知って、"より"惹かれる。そんな仕上がりになっていると思う」と畏れ多くも述べさせていただきましたが、知らなくても猛烈に惹かれたのはその圧倒的な画力およびこの物語における主人公・ユヒョン(&ジユ)の表情が本当に素晴らしかったからだと思います。

(ジユがユヒョンに剣を突きつける際の構図の美しさ)
(剣を投げ捨てる際のジユの手には"赦し"の表情が。そして前のカットよりユヒョンは少し上を向いている。ジユのこの決断に驚いたのだろう。一瞬なのに、それぞれの気持ちの動きが伝わってくる)
(ユヒョンがジユの背中めがけて走り出すシーンの動線はスローモーションであるべき美しさ。ビハインドではユヒョンが苦労している模様が映っていましたw)

ジユ・ユヒョン両者とも本人たちの表情が見事なのは言うまでもないですが、ジユであれば「より純粋で無垢に」、ユヒョンは「より裏切り者らしく」、撮り方か効果かメイクか(あるいはそのどれも)で映るよう工夫されていた気がします。

特にやはりユヒョンの、ジユの背中を狙う際の憎しみこもる鋭い眼光、そして玉座と引き換えにあまりに多くを失った(自分自身までも)ことが窺える、冷たい表情のラストカットは額に入れて家に飾りたいほどです。

それから映像の話ではないですが、この楽曲でのスアの歌声が印象的でした。彼女の落ち着いた歌声が物悲しく響いて、この物語とよく合っていたんですよね。ハンドンの「holding this pain」の美しさも透明度200%で最高でした。


皆さんはこの『Deja Vu』、どう解釈されましたか?是非コメントやTwitterにお寄せください。それでは!

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