【FCGDGADのコードとスケール】#0 序論

ギター初心者が最初期に習うものの一つに、コードというものがある。
たとえばC,G,D,Eなどの英大文字で表されるメジャーコードや、Am,Em,Dmなどのマイナーコード、G7,E7などのセブンスコード。他の楽器で音楽理論の知識があればともかく、そうでない9割以上の初心者はとりあえず形から入るものだ(私もそうだった)。つまり、コードの名前と、どの指がどの弦のどのフレットを押さえるかの対応関係を一つずつ覚えていく。4つくらい覚えれば(Em,C,D,Gとか)、それだけでそれなりの曲数の弾き語り伴奏ができて、この時の素朴な感動は忘れるべきでない重要な音楽的な体験だと思う。

普通の6弦のギターで普通のEADGBEチューニングなら、書籍でもインターネットでもコードネームに対応した押さえる指の形(それを図示したものをダイアグラムと呼ぶことが多い)が無数に蓄積されていて、そういった先人の蓄積を使って色々な曲の伴奏を演奏できる。これはギターという楽器の素晴らしいところだ。

しかし、あなたはF#maj9コードを検索して出てきたダイアグラムの通りに押さえて、各弦が音名/階名で何の音を出しているか把握しているだろうか。私は別に、全てのギター演奏者がそれを即座に答えられる必要がある、とまでは思っていない。
ただ、自分の楽器で表現できるサウンドの幅を広げるためには、特に即興演奏などでの応用可能性を広げるには、指板上の指の形と、それぞれが担っている音との対応関係がわかることはとても重要だと思う。
さらに、知っているコードのどれか一つの指を1フレットずらして押さえたらそれがどんな意味を持つかとか、コードの押さえ方(以下ではシェイプと呼ぶ)の周辺にあるスケール内の音や鳴らしてもいい感じになる音を知ることは、音楽的なボキャブラリーを構築する上で絶対に役に立つ。

私は今、7弦ギターをメインに使っていて、低音から順にFCGDGADという特殊チューニングにしている。同じようなチューニングを使っている先輩はあんまりいない。こういう謎の挑戦をすると、上述したようなコードの構成音のことやコードとスケールの対応関係のことなどを自分で研究せざるを得ず、そのような研究のプロセスは楽器の技術向上だけでなく、音楽そのものの理解といった抽象的なレベルでも学ぶことが多いというのがこれまで実感だ。

しかし、6弦レギュラーチューニングの多くのギタリストにも配慮しながら書くような手間をかける気力も能力も私にはないので、この後は自分のために、自分の変則チューニングについて探究しながら気づいたことなどを備忘録としてしばらく記述して行こうと思っている。

試したきっかけは偶然のようなものだが、このチューニングはかなり理にかなっているというか、自分には少なくともあっていると思うので、これを探求することで音楽へのつながりを保っていきたい。
読者にどんな人を想定したものか全く自分でもわからないが、私が楽器と向き合いながら音楽への考えを多少なり深める過程を通じて、ちょっとくらい誰かのヒントになれれば嬉しい。

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