プロが教えるメーカーに嫌われないゲーム動画の作り方

2019/12/09 意味が分かりにくい箇所の修正

2019/12/08 加筆と修正

最初に断りを入れておきますが、この記事は「本来なら削除されてしかるべき動画を、メーカー側に見つけられにくくするコツ」を教えるものではなく、文字通り「嫌われない=削除する必要はないと判断させる」ようにするためのコツを教える記事です。また当たり前ですが、この記事よりも上位にあるのがメーカー側が設定した規約であり、さらに上位なのが法律です。記事に書いてあることを守っても削除されることはもちろんあり得ますのでお間違いなく。あ、コツだけ見たい人は次の項目はスルーしてね。

〇お前は誰だ?

最近のゲームでよく見かけるようになりましたが、メーカーやゲームソフトのページのQ&Aや規約などで「このゲームの動画を投稿したい場合はこの規約を守ってね。守らないと動画を削除するよ」などの文章を見たことがありませんか? あの規約を作ったり、はたまた動画を削除する側の人間だったこともある人です。

株式会社カプコン サポート>よくあるご質問「著作物に関するQ&A」より引用

こういうの、見たことありません? これのことです。はい、もうプロですね。私プロです。間違いない。こういうのを複数のメーカー、タイトルでやってました。なお上述のカプコンさんのはあくまで例であって私が関わったわけではないのであしからず。

〇メーカーに嫌われる手法

前置きが長くなりまたが、それでは具体的に「嫌われる手法」を書いていきますが、ここでは特に嫌われる手法を列挙してみます。

1.音楽を差し替える、別の動画を同じ動画内に入れる

ゲームは様々な人や会社が関わって出来上がるものなので、ゲームを作る人と売る人、宣伝する人が別々なのはよくあることで、プログラムや音楽も同様です。人どころかメーカーもそうですね。タイトルの規模が大きくなるほど、その傾向は顕著です。そんなメーカーは原則、誤解されることを嫌がります。例えばAというゲームに全然関係のない音楽Bを編集して乗せた場合、そのゲームを知らない人が加工された動画を見たら「え、あのBの曲が新作のゲームAに使われてる? 買わなきゃ!」→「使われてないじゃん! おい! Bの曲を作った〇〇! どういうことだ!」→「(Bの作曲家)そう言われても…」といった展開を避けたがります。そんな馬鹿なと思った方。お客さんとメーカー側の距離が極端に短くなった昨今、上述のようなことが起きても不思議ではありません。さらに音楽は、例えばシリーズが同じの別作品(シリーズ最新作のプレイ動画に前作の音楽を乗せるとか)も同様に嫌がります。作品としては同系列でも、商品としては別ですから。そういや昔、人気格ゲーのコンボ集みたいな動画で、全く関係のない流行りの音楽を乗せた動画が大量に出回りましたが、ああいうのが悪い意味で好例です。担当の人、胃炎にでもなったんじゃなかろうか。

2.ゲームを改造した動画

一時期、改造した格ゲーキャラを集めた動画が流行りました。また現在でも続いていますが、何らかの方法でゲームキャラの顔を歪めたり、ゲーム本編には登場しないセリフを言わせたりするのもこれに該当します。イケメンのキャラに変顔させて喜ぶ製作者はまずいないと思ってください(別のゲームの作品で、システム内で許容する範囲で別作品のキャラを再現するとかは結構喜ばれます。見ている人多いですよ)。また、ネットワーク対応のゲームにおけるチート行為を含んだ動画も同様に嫌われます。なぜ嫌われるのか、その理由は(1)と概ね同様なので割愛。公式なもの、認められている行為と思われたくないのです。

3.他人を攻撃する、特定の物を推奨・宣伝する動画

他人のゲーム内での行動や発言を動画にして投稿する行為、所謂「晒し」は形を変えつつも昔から後を絶ちません。また自分の意見を主張するために、その手段としてゲーム動画を使う行為も嫌われます。晒し行為はTwitterではよく見かけますしゲーム以外の「煽り運転」「迷惑コンビニ店員」などの動画で見たことがある人も少なくないでしょうからこれがどういったものかイメージが付きやすいと思いますが、「特定の物を推奨・宣伝する動画」は分かりにくいかもしれません。ピンとこない方のために例を挙げると、「新作の〇〇はクソゲー。その点この××は神ゲー」「キャラを使って特定政党(人種)を支持する、非難する言動をさせる」みたいな動画です。まあここまで分かりやすい動画は最近見なくなりましたが、メーカーからすると人を批難したいなら自分の口で言え、何かを宣伝したいなら自分で書けと思う次第です。

4.どのゲームなのか分かる情報を明記しない

ゲームについて詳しい方なら動画を見るだけで何のゲームなのか分かりますが、知らない人からすると「ゲーム超面白神シーン」とタイトルだけ書かれた動画を見て何のゲームなのか判別するのはかなりの難易度です。せっかくの宣伝になりそうなのにこれでは意味がありません。Twitterでよく見かける引用元を書かずに他人の動画や文章を投稿する(パクり行為)アカウントをイメージしてください。そりゃまあ嫌われますよね。また明記がなくさらに誤解まで生まれてしまった場合、下手すると視聴者側は「このゲームはこの動画を投稿した人が作った」と勘違いするかもしれません。メーカーはそういうのを避けたいのです。

5.ネタバレ要素が強い

ストーリー性の強いゲームでは顕著ですね。特にエンドロールまで全部乗せてるパターンで、正直ここで書くまでもない理由だったりします。あなたが小説家だとして、書店に出向いたら自身の推理小説のポップに「犯人はヤス」みたいなことが書いてあったらどう思います?

以上、概ねこの5つが特に嫌われやすい=削除されやすい動画です。もちろんここに書いてある以外にも各メーカーやソフトごとに規約が存在しますので重ねて書いておきますが、これらを守ったからと言って削除されないわけではないですからね。

〇かつて嫌われたもの

実はゲーム動画や実況、配信などの文化は10数年くらいの新参者なのですが、そのたった10数年の間にこの文化を取り巻く環境や視線は大きく変化しました。そのため過去はNGとされていた行為でも、今では逆に推奨されるケースも出始めています。ここではそういう時代もあったんだな的な過去を軽く振り返ってます。

1.動画を投稿する

前述の通りゲームは様々な人が関与する権利の塊のようなものなので、それを勝手に撮影してインターネット上に投稿する行為そのものが、以前では否定されていました。個人でも動画を作成する技術が出回っている時代になった以降ですらも。ただそれらが紆余曲折を得てメーカー側にもある程度認知され、“利用する価値がある”と思われたこともあり、今ではゲームソフトや本体側に動画を撮影・投稿する機能が備わっているのも珍しくなくなりました。

2.声を乗せる

要は実況や配信で遊んでいる人の声がゲームに乗るを嫌がっていた時期もあったのです。ある意味加工なので。また人工音声、所謂ゆっくりボイスやボイスロイドなどの声も、どちらかと言えば嫌がられました。

3.加工する

ここで言うところの加工は動画の切り取り程度のもので、別の音楽を入れたり、画像を差し込むまでに至らないものです。動画作成者から見たら不要なシーンを削っただけで「何やってるんだ」と思われていたのです。

そもそもとして、動画自体が変な目で見られていた時期があったんですよ。確かに。今では何とも思わないのも含めて、時代の変化ってヤツでしょうかね。面白い時期に生まれてよかったです。

〇まとめ

1.音楽を差し替えない
2.ゲームを改造しない
3.他人を攻撃する道具として使わない
4.どのゲームなのか分かる情報を書く
5.ネタバレ要素に配慮する
どれも分かりやすいですね。なお、動画も配信も同様です。動画ならOKで配信だとNG、みたいなのはまずないと思ってください。

〇最後に

ここまで見て「え、あれもNGなんじゃないの?」と思う方もいらっしゃるでしょうが、この記事を悪用されてはたまったものじゃないので、あえて載せていないのもあります。ご了承ください。

もしこの記事へそれなりに反響があったら、新しい時代を見据えた規約の作り方でも書いてみますかね。

ゲーム配信もするフリーのゲーム開発者。Twitter:https://twitter.com/daga_shiya Twitch:https://www.twitch.tv/daga_shiya