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カスによるカスのためのトンデモポップ論

トンデモポップ、嗚呼トンデモポップ。どうしてお前は死んでしまったのか。運営側のアカウントがその名前を出したとき思わずサブイボがたちました、中の人は死んでください、とんでもない変死がいいと思います。(ここでのトンデモポップは死んだ、とは一ユーザーより大きな何かが、ユーザーの間で生み出された単語を使い始めたときのことを言います。一般的な死ではなく、前駆的な死のことですので、一般的なユーザーの皆様はこの嘆きを気にしないでいただけると幸いです。情けないオタクの何年も前から僕が先に好きだったのにと言う悔しがりであります。むしろ一般的にはトンデモポップは、始まりかけであります。

我々でトンデモポップの葬式をしましょう。
トンデモポップの葬式をしないといけないです。

喪主を勤めますはボカロを聞いて約14年、
28歳独身、元カゲプロアンチのちょーくと申します。

拝啓、カゲプロ厨の皆さん、
あの頃は沢山の動画にサビは?等のカスみたいな
コメントを残してくださいまして
ありがとうございます。
あなた方のコメントは今やネットの示準化石です。
今も元気にメカクシ完了、していますでしょうか?
あなたの人生にはあると良いですね、サビが。
無いか。あはは。

さてナマの老害ボカロジョークを披露したところで

我々が愛してやまないトンデモポップ、
我々が長年楽しく大切に聞いてきたトンデモポップ。
そして運営という夷狄によって単語として
ドヤ顔で消費され殺害つつあるトンデモポップ。

その葬式を執り行えることは一ユーザーとして感無量の極みであります。勝手に殺すなという声が何処かから聞こえてくるような気がいたしますが、
そうです。その通り。
この†記死(きじ)†を以て、あくまで私という運営アンチのカスの視点から見たトンデモポップを振り返りつつ、皆様とともに、ゆるく、ライトに、ざっくりとトンデモポップの現状や構造を整理し、トンデモポップを生き返す!そういった趣向の記事となっております。個人的見解になりますので、多くの拡大解釈を含み、話の非常に内容も飛躍し、論理としてはとんでもないものとなっています。これは私の考えですからどうか記事を鵜呑みにせず、自分で色んな楽曲を聞いて探索し、自らトンデモポップのことについて考えてください。

どうか有識者は温かい目でお見守りしていただくか、自らのトンデモポップ論を書いていただきますと私としても他の方がどう捉えているかが分かるので助かります。

1. そもそもトンデモポップとは?


トンデモポップとは、そもそも起源としては昔々、lumoというボカロPの楽曲につけられたタグのことを指し、そのタグが独り歩きし、特異な表現や奇抜な曲の進行、メロディなどの要素を持ちつつもポップスとして成立している音楽につけられるタグとなっており、昨今のトンデモポップからタグを周知したユーザーにおいては、トンデモポップをジャンル的に扱うムーブメントも少しずつではありますが発生しつつあるのが現状ですが、トンデモポップというものはタグであり、楽曲ジャンルでは無いのであります。

まずlumoの楽曲を聞かないことにはトンデモポップという概念を理解できないのではないかと考えていますので、例として3つの曲を添付いたしましょう。

vocandroid

QFT


ネコンダクター

トンデモポップというタグ自体はlumoが楽曲を発表し始め、暫くたった後に登録されたものになりますが、氏の殆どの楽曲において現在ではトンデモポップタグの登録がなされています。
あくまで氏の楽曲に初めてトンデモポップというタグが付与され、vocandroid以降、氏のスタイルが確立され、ニコニコ内においてトンデモポップ的楽曲というものが連続して投稿されるようになったことを概念の成立とみなし、様式起源としては合成音声シーン内ではvocandroidにあるという説を自分は提唱しようかと思います。

寄り道にはなりますが、それ以前のトンデモポップ的楽曲に関しては、ミクノポップVOCALOID電波ソング電子ドラッグ等のタグで散見できるものとなります。例としてはチータンのFranciumなどが挙げられることかと思います。拡大解釈すればdaniwellのNyanyanyanyanyanyanya!等も入口としてはアリなんじゃないかと思います。

Francium/チータン


Nyanyanyanyanyanyanya!/daniwell




ボカロ内外の電子音楽を多少聞いてきた皆様におかれましては、これらの楽曲の分類はエレクトロポップ、テクノポップ、フューチャーポップとして解釈できることかと存じます。
また、Cymbalsやコナミの音楽ゲーム(おそらくはBEMANIやpop'n music等)に影響を受けたとも、以下のインタビューにも掲載されており、

※すいません!お力をお借りします!

2000年代にゲームミュージックや音楽シーンで見られるポスト渋谷系(ネオ渋谷系)のFuture Popや渋谷系テクノポップの曲調をVOCALOIDの楽曲として拡張しつつもゆるく受け継ぐものであるのでもあると考察できます(そうなんだ。)

さらに話が脱線しますが、VOCALOIDのなかの渋谷系といえば、主にOSTER projectに代表されるラウンジ、ジャズ影響下の渋谷系や、黎明期に見られるKz(livetune)等のエレクトロポップ作品、これらが初音ミク黎明期にメインストリームとなり、累代的に継承、創作されてきたものであると考えています。

ミラクルペイント/OSTER project

packaged/kz

(※packeagedに関しては初音ミク(アイドル)が歌唱している影響からかアキシブ系と定義される場合もありますが、ここでは曲調からむしろCAPSULEや元気ロケッツなどの文脈で扱うものとします。)

しかし、トンデモポップが付与される楽曲はこれらとは殆ど似つかないものとなります。

電子音楽たるトンデモポップが継承したものは、ROUND TABLEのようにJAZZやラウンジミュージック的な音使いをアニメソング、アイドルソングとして落とし込んでいるアキシブ系、CAPSULEに代表されるようなエレクトロポップではなく、ゲームミュージックとの接地からPlus-Tech Squeeze BoxやSonic Coaster Pop等のネオ渋谷系に見られる音数が多く、より速いテンポのFuture popとも関わりがあるものと考えられます(そうなのか?)

わーずわーすの魔法(easter egg remix)

starship.6

SOCOPOGOGO

↑ネオ渋谷系サウンドたち

さて、トンデモポップとネオ渋谷系にゆるめの関わりがあるのではないかという独りよがりな持論を展開したところで

簡単にまとめると、トンデモポップと定義されるもの中には一部は広義の渋谷系の影響下にあるものであり、初音ミクの黎明期は渋谷系音楽とつながりがあり、10年代のトンデモポップは、初音ミク黎明期にメインストリームとなった作風とは別の部分を継承してるかもね!という風に考えてください。かもね、です。かもね。ですから23年の12月現在ではトンデモポップというものはかつてボカロシーンでメインストリームにならなかった表現を多く内包し、タグとして強いオルタナティブ性を秘めているのだと感じています。


 ピュグマリオン/アズマビユウコ

 SF/FABRICOPOPS

↑おすすめトンデモポップ


2.じゃあ、現在、未来のトンデモポップって?


1ではトンデモポップの起源とボカロ黎明期とその少し前の渋谷系音楽を照らし合わせた個人的な拡大解釈を展開しましたが、それでは現在のトンデモポップとはどうなのでしょうか?

な〜〜〜〜〜〜〜〜んだ?

おわかりですよね。
おまちかね!皆さんご存知の人マニア&ホントノです

人マニア/原口沙輔

🫵おまえ

ホントノ/原口沙輔

🥖ブゥ~ン


現在のトンデモポップ定義の中心であると考えられるこの2曲は、トンデモポップというタグが独り歩きして以降の「特異な表現や奇抜な曲の進行、メロディなどの要素を持ちつつもポップスとして成立している音楽」であり、

人マニアは滅裂な歌詞が特徴的なhyperpop、EDM。ホントノはどこかマンボ的なリズムを持ったドラムンベースであり、どちらも曲に挿入された叫び声や爆発音が否応にも楽曲へ意識を向けさせ、実験的でありながらも非常に踊れる曲となっていますよね!(そうなんだ。)

lumo活動期のトンデモポップは2000年代の広義の渋谷系の影響下にあると言いましたが、こちらはむしろ2020年以降のhyperpopやドラムンベース流行後の音楽であり(ボカロシーンの2020年前後のメインストリームはエレクトロスウィングや病み曲の流行があった時期であり、hyperpopやドラムンベース流行は22年付近からの話になりますが)、今現在ボカロシーンにおいてメインストリームになりつつあるエレクトロサウンドを内包するものでもあるわけです。

現在のトンデモポップは年に何度もある大きな投稿祭にてコンテンツの消費速度が数倍に加速したニコニコ内に於いて、タグ以上の意味を持ち始めており、今後ジャンル化されることがあると予想されます。

しかし、殆どの場合、起源であるlumoサウンドや広義の渋谷系の影響を継承しないものとなっており私が繰り返しこの記事内で言っているように、「特異な表現や奇抜な曲の進行、メロディなどの要素を持ちつつもポップスとして成立している音楽」という定義で現在は扱われているものと考えています。

これが共通認識、ではないのは明らかですが、現在のトンデモポップに登録される楽曲は上記の要件をある程度満たしているものだと思われ、これから俎上に上がるであろうドラムンベースやhyper popなどのエレクトロサウンドでないにしろ、ボカロシーン内においてはまだ研究が進んでいないジャンルのポップスも特異なものとされて、トンデモポップへと含まれるわけです。

cicada/キツネリ

 ↑ボサノバですが、トンデモポップです。

つまり過去流行した何らかのテンプレートをなぞるボカロ曲に対して、トンデモポップには明らかにそれ以外であるものが集められつつある。

シーン内外で人マニアがバイラルヒットを記録する中、今後これを模倣、希釈した過去流行した何らかのテンプレートをなぞるボカロ曲がエレクトロニカやポエトリーを含むドラムンベースやhyperpopなどで増えていく一方で、上記のcicadaのようなポップスは依然として空白地帯であり、もし人マニアの流行によってシーンの大衆的な興味がhyperpopやドラムンベースといったエレクトロサウンドの時代へと大きく転換していくのであれば、過去の病み曲やエレクトロスイング流行の水面下にhyperpopやドラムンベースが存在していたように、来年以降、エレクトロサウンド時代の影のテーマとして研究の進んでいないジャンルのポップスが存在しうるんじゃないかなぁ、なんて思ってたりします。

3.結論

トンデモポップというタグは、幅広い音楽性を持った音楽を内包するタグでありジャンルではないのです。
何かの流行の影にはつねに流行から外れた
特異な音楽というものが存在していますが、
トンデモポップというものは流行にかかわらず、
素晴らしい特異な表現や奇抜な発想を
ポップへと融合させた「とんでもない曲」へと
名もない誰かから贈られるべき
「称号」としての存在であればいいと思います

だからです、だからですよ?
トンデモポップを絶対ジャンル化するべきではないのです、
死んだなんて大げさにいいますけど、
ジャンル化なんてしたらほんとに死にますから。

この曲は「とんでもない」という称号は、
その時々、リスナーへ素晴らしい表現を叩きつけた
とんでもない曲にリスナーから与えられる称賛であって、作者がこれはトンデモポップというジャンルですと名乗るものじゃないと思います。


トンデモポップというタグは
タグのままでいいのです。
称号であることが防御装置として機能し、
リスナーの驚嘆によって
合成音声シーンの未来の姿を
克明に映し出すことができるのです。


繰り返しになりますが、これは私の考えですからどうか記事を鵜呑みにせず、自分で色んな楽曲を聞いて探索し、自らトンデモポップのことについて考えてください。

驚くこと、とんでもないという感情が
未来へと世界を運んでいくのです

我々でトンデモポップを始めましょう。
元カゲプロアンチ、ちょーくでした。

4.補足

上記の記事に対してこの記事で引用したlumo氏のインタビューを執筆したFlat氏よりこの記事の問題点の批評と更なる音楽的な補足、指摘を行う記事が執筆されました。トンデモポップについてこの記事を批評しつつ、要点を提示、提起する非常に価値のある内容となっております。この記事と照らし合わせて査読することで、この記事内でフォーカスした内容を飛び越え、より広く詳しい見地からトンデモポップについての考察を深めることができます、是非ご一読ください。

【前編】ボカロ文化と批評のあり方(についてのいくつかの所感)|Flat

Flat氏の執筆した記事の内容との食い違いが発生しないよう、私の書いた記事はとくに修正はせずそのまま残します。
この記事に関しては前置き、そしてあとがきの通り、私の考えと拡大解釈を孕むものであり論理としてはとんでもないものだ、鵜呑みにせず自ら探索してほしい。としています。

この記事を書いた私自身としてもflat氏の記事はより多くの知見を得られる興味深い内容であり、この記事の拙い内容をご指摘いただき、お手を煩わせたことを反省するとともに、より多くの知識を提示していただいたことを感謝申し上げます。ありがとうございます。

ちょーく


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