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讒文芝居

■モルテン・ティルドゥム監督
「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」

・偏屈天才を演る天才カンバーバッチがバッチ来い!と八面六臂の大奮闘。
最終的に「解った謎が大団円では無く悲劇の引鉄」だのが月並で無い重み。
ヨカッタネ!の青春爽やかで無い戦争の裏側が垣間見える。
其の意味では「英国王のスピーチ」の真逆乎も知ん無い。

・「誰も予想しなかった人物が
誰も想像しなかった偉業を成し遂げる事だってある」
と謂う浪漫的発言は、裏は取って無いが甚だ嘘臭い。
だがチューリング博士に皆が云って欲しい台詞。

・彼の頃には珍らか為る、フェミニスト様行動に綺麗事以上の理由……
LGBTに絡む人権や尊厳への蹂躙に繋がる。
真逆の「カッコーの巣の上で」的救いの無いオチに愕然とする。
只今以て、誰もが彼氏の恩恵に預かる文明の立役者が
下らぬ文化の愚行に選って仕打ち以上の何でも無い詰まらぬ(彼の頃の)
常識に事実上抹殺然れた事実に切歯扼腕する程に悔しい。
然し、非情無常が何時も現実で在る。

■ブラッド・ペイトン監督「キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争」

・「親指スター・ウォーズ」や「スモール・ソルジャーズ」、
引いては彼の「トイ・ストーリー」「モンスターズ・インク」
「ボス・ベイビー」等等に連なる
「実は世界の裡側では
想い掛け無い彼奴等が覇権や冒険を繰り広げて居るモノ」
のB級風味をブイヨンにしたみてえ喃正統派B級映画。

・強ち下らぬ丈では無い。
各種様様なスパイ映画を取り混ぜて料理して魅せる手際は本物!
凡そ、口パクで表情だとて読み取り辛い犬猫主体だのに、
まあ、何処ぞで観た聴いた展開の釣瓶打ちでは在るが、
「ネコのミヌース」程では無いが演出に似う動きを犬猫に
或る程度実現させる等
屹度、極低予算だのに異常に頑張り、其れがきちんと結実して居る。
まあ、時折垣間見える不自然さ、学芸会っぽさは御愛嬌。

・別段、飼主の皆皆様には一切苦言を呈す訳でも
声を大に糾弾弾劾もする積りは毛頭無いが「愛玩飼育の時点で虐待」と
捉えて居る向きだので、鳥渡考えちゃうと辛い映画。

■新海誠監督「君の名は。」

・皆様に遅れ馳せ乍らも漸く観ました。
うーん。能くも悪くもデジタル全盛時代の卒が無さ過ぎる作品。
脚本もイイ。画もイイ。でもアニメで遣る意味無く無いです乎?
後、緻密稠密の裡側、捲った被膜の「空虚」が
キレイな画面丈に却ってに横溢して仕舞って居る。
細田監督も然うなんだが、新海監督は強烈に其れを感じる。

・日常の所作やナンヤカンヤをアニメで遣る事で
エモーションやアニマを発生するのがアニメ。は解る。解るし、
リアル+光線の浪漫チックさが新海監督の持ち味もイイ解る。が、
CMに引用然れ捲くる様に「CM程度」でしっくり来ちゃう。
スゲエ鮮烈稠密に表現できるのに印象は何時もこぢんまり。
見遁すまい!と切実に想わせては呉れ無い気が為る。
あたしが、オッサンだから乎も知らんが。

・現実離れ荒唐無稽も能く鑑みて
倫理上軸が気持ち悪く為って無いなら大いに結構
(ルーのうたは酷いよ、本当に。
オマージュ先であるポニョや雨ふりサーカスの
悪いとこばっか拾ってた印象)
然し、優等生過ぎる品行方正過ぎるもんに着地が失敗とは云わぬが、
成功とも手放しでは到底云えない。
「何乎」を決定的に殺ぎ落として仕舞って居る気がしまする。
後、此の精度で楳図歪曲話運びも併せ持つ
「わたしは真悟」が無性に観たく為っ度。
時空や人格、何も乎もを超えたラヴ・ストーリーとして
人類絶滅前にアニメ化切望熱望!(大蛇足で済みませぬ)