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気持ちが晴れやかになる駐車場

先日、ランチに行った時のこと。店の前の駐車スペースは3台ほどで、すでに車で埋まっていた。
ランチで駐車料金を払いたくはないが、他のお店を探している時間もないため、コインパーキングに駐車するという選択肢しかなかった。


お店から数十メートル行くと、コインパーキングが両サイドにあった。
左側にはよく見かける大手のパーキング。30分100円と書いてある。
右側には「60分100円」の文字が。もちろん即断して右側のパーキングに入った。これで左側の大手のパーキングに入る客がいるのだろうか・・・という疑問があるが、「防犯カメラがある」など、安心感から選ぶのかもしれない。

倍の料金を払ってでもそっちのパーキングに入りたいお金持ちに、そっちのパーキングはお任せして、僕のような庶民は考える余地もない。


入ると、入り口にゲートもなければ、ロック板も見当たらない。しかもなんか民家感がある…。
よくみると、奥にはちょっと大きな民家があり、その前にアスファルトの駐車場が10台分ほどあり、看板が設置されている。


「駐車希望の方は、インターホンを押してください」

インターホンを押し、出られた女性の方に「ここは駐車させていただけるのでしょうか・・・?」と、コインパーキングと書いてあるのに、当たり前の質問をするしかなかった。
すぐにドアが開き、インターホン越しの女性ではなく、70代ほどの年配の男性が現れた。
「帰るときにこの封筒にお金を入れて、うちのポストに入れておいてください」と。
なんと自己申告制のコインパーキングだった。

なぜ自己申告制なのだろうか?
考えられるのは、コストの問題。ゲートやロック板を導入する初期費用の費用対効果がどうであるか。大手が目の前で倍の料金で営業していることを考えれば、それなりにこの場所に需要はあるのだろう。
他県にも自己申告制の駐車場はある。その多くは、ゲートやロック板の導入費用の問題だ。

そこで僕は話しかけてみた。
「自己申告制ってすごいですね!」

その年配の男性は
すべては信頼関係ですよ。たまにごまかす人もいますが」

本当のところはどうなのか分からないが、その表情とセリフから、とにかくみなさんに安く利用していただきたい、そのために余計なコストをかけていないのだと感じた。
思いがけず、駐車するのにお金がかかることになったが、気持ちよくランチすることができた。

ランチを終えた僕は、友人との楽しい会話もそこそこに、
駐車してから50分だということを確認し、100円を入れた封筒を胸のポケットに忍ばせて店を後にした。