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安い物にまで期待値が高すぎませんか

物価高が嘆かれる現代ですが、
一昔前であれば考えられないような安価で販売されている商品もまだまだたくさんございます。

有名なところでは100円均一で販売されている商品や回転寿司などがございます。
他にも、家具や住宅においても、ローコスト が溢れています。


■値段をもう一度確認しよう

●お値段通りは当たり前

商品の価格と品質は概ね比例していると私は考えています。

最近では100円均一の商品の品質も向上していますし、回転する格安お寿司の品質も向上しており、それら低価格帯の商品を販売する企業は業績を上げています。

100円とは思えないですよね!

そうした企業の業績が上がっているということは、世間一般の方々が購入している物の多くが低価格帯の商品であるということだと思います。

ちなみに、私も随分お世話になっています。

●ローコスト商品が一般化

と言うことは、日本では
一般的な物 = 低価格な物
になりつつあると言うことなのだと思います。

増税、物価高、所得が増えない、など様々な理由はあると思います。

しかし、安い物を購入するにしても、少し前であれば、

  • 安い物はすぐに壊れてしまうだろうが、安いのでまた買い替えればいい

  • 育ち盛りの子供たちはとにかく質より量だから安くてたくさん食べられればいい

  • 土地を購入しなければならないから、建物は安い建売住宅を購入して、しばらくしたら建替えればいい

などとお考えの方も多かったと思いますが、
安い商品が一般化されてくると、
何故か、期待値だけが上がり、

  • 安くてもすぐに壊れるのはおかしい!

  • 安い料理でも産地にこだわった美味しいものでないと嫌だ!

  • 建売住宅でも注文住宅並みの性能が欲しい!

などと考える方も増えてきているようにお見受けします。

いい加減なネットの書き込みだけであれば良いのですが、そのような考えが広まることに少々不安を感じます。

●あまりに高い期待

各社が企業努力はして品質向上を目指してはいるでしょうが、
品質と価格は関係性が深いのはどうしようもない現実であるはずですよね。

ちなみに、
建築業界では商品の売買ではないので単純比較がしづらいです。

住宅においては、企業の規模などによっても異なりますが、
見積金額を比較しても、その家に掛かっている費用がいくらかが分からないと比較しづらいです。

広告費や商品開発費など莫大な経費が掛かっている企業であれば、見積りの中にその分も含まれます。
それでもお安ければ、建築に掛かる人件費と材料費を落としているということです。

その上で比較をしてみれば、自ずと質が見えてくると思います。

●こんな事例がありました

以前、東日本大震災の後に、
「自宅のブロック塀が傾いたので相談したい」
と言うお話しがございました。

ご訪問すると、確かに、ブロック塀は傾いていました。
しかし、周辺を見渡すと、塀が傾いているのはその1軒だけでした。
しかも、そちらのお宅よりも明らかに古そうな塀も無事な中でその1軒だけが倒れていました。

倒れてしまっている塀については、壊してから、造り変えるしか方法がございませんが、まずは造った会社に相談したのかとお尋ねしたところ、

「大きな地震だったので倒れるのはしかたが無いので、私たちの責任ではない」
と言われたそうです。
責任の有無についても重要ですが、その後の塀の補修についてもあまり良い対応が無かったそうです。

確かに、周辺に被害が無くてもピンポイントで地震の揺れの影響を大きく受けてしまう可能性はゼロではありませんが、良く現地を見ると、その塀は土留めも兼ねていましたので、塀が倒れたことで敷地の土が流れ、建物も若干傾いているように見えました。

塀は造り替えられますが、建物の傾きを直すことは容易なことではありませんので、おそらくはそのことまで波及することを懸念したものと思われます。
私の見立てでは、土留めであるその塀は住宅が建つ前に造られたものであり、正式に直すには建物を壊さねばならないと判断し、塀だけの工事では対処できないとお伝えしたところ、キャンセルとなりました。

最後に、その家を建てた建設会社のお名前をお聞きしたところ、お値段の安さで有名な会社でした。
住宅の相場よりもかなりの格安価格で、一応、震災でも倒壊したのは塀に留まったのですから、生命は守られたとも考えられます。

素人だから分からなかったというのは当然だと思いますが、
求める質によって、ある程度はご予算に比例することは想像はつかなったのかな、と感じました。

■最後までお読みいただきありがとうございます