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無料(タダ)の恐怖

「タダより高い物は無い」
という言葉を最近になって改めて痛感します。

建築に関する無料について考えてみたいと思います。


■どこまでが無料なのか

1、「見積り無料」ってどういうこと

リフォーム業者などの広告を見ていると、良く見かけるワードですよね。

意味としては、リフォームのお見積りを依頼するのは無料と言うことです。
これは、リフォーム工事のご相談していただくハードルを下げるためのサービスです。

「お金が掛からないなら相談してみよう」
と考えていただきたい、ということです。

実際には、少なくても人件費が掛かっていますので、経費が生じています。それを無料で行うのですから、工事が受注出来なければマイナスです。

最近では、ここまでは無料、ここからは有料、と分けている業者も増えてきました。
仕事の質を確保するために、これからは少しずつそうなっていくと思います。

2、弊社の無料範囲

他社のことは詳しくは分かりませんが、現在の弊社における無料の範囲でご説明しますと、

  • 新築やリフォームのご相談 ・・・ 無料

  • (簡易的な)現地の調査 ・・・ 無料

  • 新築やリフォームの(簡易的な)図面の作成 ・・・ 無料

  • 新築やリフォームの(弊社のみで作成できる)見積りの作成 ・・・ 無料

です。
「簡易的な」と言う言葉を記載させていただいたのは、
例えば、現地調査で言えば、
屋根上などの高所の確認、床下点検など時間と労力を必要とする確認、既存の図面の作成などを伴う現地確認、などは有料とさせていただいています。

また、過去に弊社で施工していない箇所に関する不具合等の修理点検なども有料になることがあります。

見積りにおいては、私どもだけの現地確認で作成できる見積りであれば無料、メーカーや業者などの現地確認が必要となる詳細見積りですと有料になることがあります。

図面においては、間取りなどが分かるような基本的な図面は無料、法令や構造などの検討までするような図面は有料となります。

私たちだけが動き、何ら部材を消費せずに、短時間で実施できるような事で過去に自社の施工した現場など、であれば無料の範囲内で実施させていただいているのが現状です。

2024年1月現在の状況でございますので、今後、変更する可能性はありますが、工事を契約するまでは無料、ではありません!

弊社の場合には、ご相談いただいた際に、有料になるかをご説明しておりますので、その時点でご判断いただくことが出来ます。

3、他社の無料範囲

「他社のことは分からない」と書いたばかりでございますが、
一般的には経費の掛かり方は弊社も他社も一緒のはずですので、こうした考えの元、どこまで無料にするかを各社で決めています。

しかし、アフターサービス以外で無料にしているのは、あくまでも、その先の工事や購入などの売り上げにつながるために行っているのは、共通ではないかと考えらます。

ですから、より時間も労力の掛かるだろうということまで無料にしている場合には、それに伴う見返りを期待しているのではないかと推測します。

4、見積り無料によって増加してしまった相見積パニック

「見積りが無料なら、なるべくたくさん見積りしてもらって一番安い業者を選ぼう」
と言うのが今のトレンドです。

かかりつけの工務店などが無いご家庭では、セカンドオピニオン的に他社の状況などを知る上で相見積は有効だと私も思います。

また、金額のみを重視する方にも大変有効だと思います。

ただし、そもそも、見積書が読み解けない方は、たくさんの見積書を集めて、金額以外の事を比較するのは困難ですので、集めたことで逆に良く分からなくなってしまった、というお話しをよく伺います。

私も他社のお見積りを何度も拝見したことがありますが(積極的に見たわけではなく、相談者から見るように促された)、自社と似たような作りの見積りもあれば、「一式」を連発して何のことかよくわからない見積りもたくさんありました。

これは、比較が難しいというのが私の感想です。
ネットやSNSなどの情報を駆使して、うまく、比較をしていくことが出来ればいいですね。

5、良い仕事をしてもらえると思っているのか?

余談ですが、
あるSNSの書き込みで、工事費用を抑える方法として、

「何度も打ち合わせを重ね、何度もプランや見積りを変更させれば、業者はそれまでの労力を惜しんで、減額要求に応えやすい」

と言う目を疑うことが書かれていました!

確かに、時間をかけた分、工事を注文してほしいという想いが強まるのは営業として当然ですが、それを逆手に取って、減額ありきで行動する方がいるなんてとても驚きました。

しかも、この行動で自分は「得」をした、と考えていることに驚きます。

本当に得をしているのでしょうか?

減額した分は、どこから捻出されているか、何が減らされたか、などを考えたことがあるのでしょうか?

少なくとも、何らかの質に関する低下にはつながっていると考えれますので、長い目で見なくとも、得したことは無いか、または、思っている以上に少ないか、ではないかと思います。

信頼関係をぶち壊した相手に対しての対応が変わるのは容易に想像がつかないでしょうか?

6、無料に飛びつかないで

令和6年がスタートしてから弊社の元に、訪問販売のような急にやってきてご自宅の不具合を指摘するという事例がすでに数件報告されています。

どれも無料で屋根の不具合を点検してくれるそうですが、その内の一軒は実際に屋根に上がらせてしまい、その後あたりから、雨漏りがし始めたそうです。

くれぐれも「無料」を高いものにしないようにご注意ください。

■最後までお読みいただきありがとうございます