雨漏りの犯人は誰だ?
先日、ご自宅の雨漏りについてご相談いただきました。
お話しを伺っていくと、経年劣化や自然災害などではない「犯人」が浮かび上がってきましたので、注意喚起を兼ねて、ご紹介いたします。
■天災による被害より人災が多い
1、雨漏りの状況
木造2階建ての築30年以上の戸建て住宅にて、
2階の天井から壁に掛けてシミが見られるようになった。
その時点で雨漏りかな?
と思い、天袋から小屋裏に上がって見てみると、
広範囲にカビが発生しているのが確認出来た。
屋根材はコロニアル(化粧スレート葺き)で葺き替えたことはないものの、
10年くらい前に塗装工事を実施済みなので、お手入れを全くしていない訳ではない状況でした。
2、雨漏りの時期
雨漏りに気が付いたのは2023年の夏ごろだったそうです。
その時期ですと、台風による被害なども想像できますが、その頃にあった出来事が雨漏りの原因の最有力候補として浮上しました。
3、2023年の夏に何があったのか?
ある日、突然、
近所で工事をしているという作業服の男性が訪ねてきました。
「現場で作業をしていたら、お宅の屋根が割れているのが見えたのできました。今なら、格安で直してあげますよ!」
と言われたそうです。
急な訪問、急なお話し、不安が増大し、
相手の素姓などを詳しく調べることなく、屋根に上がらせてしまいました。
修理はすぐに完了したそうですが、
経緯を私に話しているうちに、思い返せば、そのころから雨漏りするようになったと気が付いたようです。
4、名探偵でなくても犯人はすぐにわかりました
知らない人を状況も確認せずに屋根に上がらせてしまった
と聞いた時点で私は犯人がほぼ特定出来ました。
もちろん、修理の様子を見ていた訳ではないので現行犯ではありませんが、私はほぼ確信していました。
なぜならば、
30年以上経過したコロニアルの屋根に上がった
と聞いたからです。
30年以上経過したコロニアルは、乗っただけで割れてしまう危険性があります。
これは経年劣化によるものですので、プロであれば、屋根の葺き替えやカバー工法など屋根の工事を実施する前提であれば屋根に上がるかもしれませんが、調査やちょっとした補修のためだけに上がることは無いと私は考えています。
修理しようとして屋根に上がったことで、破損個所を増やしてしまい、延々と修理し続ける羽目になる可能性すらありますので、ある程度、経験があるプロであれば、年数を聞いた時点で屋根上に上がるのを躊躇するのではないかと思います。
それなのに、屋根に上がって修理を格安(無料?)でしたというのですから、ほぼ100%、建築のプロではなく、アマチュアか、または、詐欺のプロではないかと判断しました。
5、屋根に上がらせてはダメ!
当ブログでも何度も書いていますが、自分で頼んでもいない知らない人間を目の届かない場所で作業させてはいけません。
今回のケースが訪販が故意に割ったのか、何も知らずに上ったことで割ってしまったのかまでは分かりませんが、時期と状況を聞く限りは、そのことが雨漏りの原因だと考えられます。
話しを聞いている途中で「あ~」とため息が漏れてしまい、とても言いづらかったのですが、相談者さんには上記の私の考えてをお伝えしました。
6、雨漏りの対処方法
今回のケースでは、原因を作ったであろう方に責任をもって修理していただくのが筋ではあると思いますが、例え、その人が見つかって連絡が取れたとしても、ほぼ無理でしょう。
または、修理などをしてくれたとしても、高額な修理費用を請求されることになるかもしれません。
現実的には、他の工務店などに
屋根を葺き替える
屋根をカバー工法で施工する
どちらかを依頼することになると考えられます。
依頼を受けたのがプロの業者である場合、
すでに耐用年数が過ぎていると思われるコロニアル屋根での雨漏りは、ちょっとした修理、応急処置では一時しのぎにしかならず、安心して引き渡せないと考えると思います。
私もそのようにお答えしました。
安くはない費用が掛かるということで、弊社へのご相談は保留となり、
その後、他社で施工されたかどうかは分かりませんが、
最初の格安(無料)が高くつくことになりました。
皆さまもぜひお気を付けください。