能登の災害ボランティア参加記録2

2024/04/05
晴れ。
8時、バスに乗り込む。

バスは45人乗りの大型。全ての座席にビニールが被せられている。作業後に汚れた服でも座れるような配慮だろう。

ボランティアは大学生風の若者からシニアまで世代は様々。親子連れもいる。男性の方が多い。人数はバスの半分くらい。

出発前にボランティアセンターの職員から、被災地の写真撮影とSNSへの投稿は禁止、と言い渡される。通りでボランティアの活動をみかけないわけだ。

バスは能登里山海道にはいる。海岸までの道路脇をハマダイコンの花道が飾る。

志賀町にはいると道のところどころに補修後が見える。走行中、バスが段差を超える回数が増えてきた。

西山インターでトイレ休憩。車は多数。自衛隊の車もあった。売店は閉鎖中。

七尾で降りて下道を走る。
金沢より寒いのか、道端の花は少ない。
道々、民家の屋根にブルーシートがかかっているのが目に入る。
中島駅付近を通過する。ブルーシートの数が増す。被災地に入った、と実感する。
バスがまた段差を乗り越える。

七尾市内。海沿いの道を走る。
道沿いの多くの家が壊れ、瓦が崩れている。中には倒壊した建物もある。
自衛隊の車両隊とすれ違う。

ふと、海に目をやるとイルカの群れが。
つい「イルカだ」と声に出してしまう。
隣の人に指差して教える。
海側は春の穏やかな内海の風景が広がる。
そこだけは私の好きな能登の風景のままである。

穴水に入る。
通りの焼肉屋さんも屋根の修理中。
ガソリンスタンドは営業中。ハイオク194円。

大型車が増え、道が渋滞してきた。
谷間を抜ける法面が崩れ、道が割れている。
斜面崩壊した人工林のスギを処分している重機が見える。

穴水のボランティアベースに到着。
ここで一泊する。
便臭に気づき、目をやると玄関横に並ぶトイレで汲み取り作業がされていた。
高校の校舎を活用した物で、体育館や教室にテントのようなパーティションが並び、ボランティア一人ひとりに休む場所が与えられる。

静かで、良い天気である。
春の穏やかな日差しが気持ちいい。
再びバスに乗り込む。珠洲へ向かう道端に蕗のとうが並んでいる。
バスの中は静かで、神妙な空気が流れている。みんな黙って昼飯を食べる。
俺もおむすびを二つ食べた。

能登町を走る。
農家がトラクターで田んぼを起こしている。
道端にキクザキイチゲが咲いている。
おばあさんが畑に鍬を入れている。
トンビもクチバシで畑を耕している。

「守る。にしだ」というポスターが、風景にインターバルとして挟まれる。
よろしく頼むよ自民党。

また海沿いを走る。
桜の並木は色づくがまだつぼみだ。
カラスがトンビを追いかけている。堤防にはウミネコが群れている。湾内にはカモ、種類はわからん。飛んでいるツバメはイワツバメか。

鍛冶屋の横を通る。
社長、元気かな。

台座だけになった墓。
めくれたアスファルトが道端に集められている。
バスはゴットンと大きな補修跡を乗り越えて進む。

もうすぐ珠洲に着く。
ちょっと緊張してきた。

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