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某私大の専任教員。大学専任公募(JREC-IN)の攻略方法など「大学の先生になるにはどうするか?」を記事にしています。

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【緊急投稿】若手研究者へ

将来を嘱望された若手研究者が自ら命を絶った。ご冥福をお祈り申し上げる。 学振最難関のSPDを勝ち取ったばかりでなく、日本学術振興会賞や日本学士院学術奨励賞を受賞するなど、超一流の研究者であったに違いない。そのような方が自ら命を絶たなくてはいけないほどに、日本の学術界は救いようがない破滅の道を進んでいるのだろうか。答えはわからない。 私は自らの経験のもと、専任ポストを手に入れる方法を記事にしてきた。私のように苦労する若手を1人でも減らしたいとの思いからだったが、私の至らなさ

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    • 大学教員の採用人事を知るー補完版1

      今年ももうすぐ春がやってくる。大学入試改革が目前に迫ってきているが、これに合わせるように大学改革もいよいよ本格化してくることが容易に予想される。 大学改革にはいろいろな側面があるが、専任を目指す若手にとって一番影響が大きいのは今後ポストの数と公募の数が減っていくことである。近年、大学同士の合併や統廃合、学部の統廃合が話題になっている。具体的には教育学部のゼロ免課程廃止や薬学部4年制の廃止などである。文学部も、学科や専攻によっては風前の灯火のところもあるだろう。また、少子化の

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      • 大学教員の採用人事を知る6―応募の仕方編

        今年度も公募戦線がひと段落してきた。団塊の世代大量退職の影響だろうか、今年は(今年も?)非常に多くの公募があったように思う。若手研究者の諸君は、何としてもこの時期にアカポスを手に入れてほしい。 私は今年も採用人事を担当した。他のシリーズを読んでいる読者はすでにおなじみのことであるが、やはり一番はじめの審査は様々なフィルターによる「足切り」だった。今回のフィルターは、他のシリーズ内で言及しているもの全てが当てはまり、書類審査の前に一気に6割以上が落とされてしまった。 そのあ

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        • 大学の将来と若手研究者の未来

          日本の大学は潰れる運命にある? 大学ジャーナルONLINEに以下の記事が出た。 国立との統合含め私立大学の再編提言、経済財政諮問会議 政府の経済財政諮問会議で、東京23区での大学増設抑制問題が取り上げられ、民間議員から国立大学との統合や大学運営からの撤退を促す制度作りを求める提言が出た。(記事より。強調筆者) 早い話が「たぶんダメだと思う大学は自分から早めにギブアップすべし」ということである。東京23区内の話かと思ったら、旧帝大以外の国立大はすべて県立大にすべしという

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        【緊急投稿】若手研究者へ

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        • 論考集
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          人文学の現状と今後の可能性について

          日本の科学はどうなるのか? 若手研究者にとっては当たり前のことであり、いまさら取り上げるまでもないことであるが、業界以外の人は以下の事情について全く知らないし、ほとんど無関心と言ってよいだろう。 インタビューを受けている40代若手研究者の言葉を引用する。曰く、 「周りを見ていると、40歳代くらいまでは先が見えない不安定なポストで研究を続けるのも普通だ。勤務先の仕事以外にも多方面の仕事をしなければならず、突然死する人もいる。過酷な業界だが、日本の科学のため頑張りたい」

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          人文学の現状と今後の可能性について

          非常勤講師が研究費を手にする方法

          非常勤は科研に応募できない 研究費は、その名の通り研究のためのお金である。文系理系を問わず、これがないと研究活動は大幅な制限を受けてしまうばかりか、場合によっては全く研究できないということにもなってしまう。研究費の確保は研究者にとって死活問題なのだ。 しかし、研究費を取り巻く状況は厳しくなる一方である。ノーベル賞を受賞した大隅栄誉教授が指摘するように、国が研究者に配分する研究費(科研費)も大学から支給される研究費も減少の一途をたどり、たとえ専任教員であっても研究に十分な資

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          非常勤講師が研究費を手にする方法

          正しい学歴ロンダリングの仕方―大学院進学という選択肢

          学歴ロンダリングとは? 「学歴ロンダリング」という言葉は、ある人が、かつて18歳とか20歳の時点で学んだ「最初の母校の大学」よりも偏差値評価で高い大学に最終学歴を書き換える操作という意味(「若者の芽を摘む学歴ロンダリングの発想」より) 学歴ロンダリングとは、学部は下位ランク大学卒業であるが、大学院試験を経て上位ランク大学大学院に進学し、最終学歴を上位ランク大学大学院卒にすることだ。この手法を使えば、いわゆるFランク大学出身者でも、Sランク大学大学院卒の資格を手に入れること

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          正しい学歴ロンダリングの仕方―大学院進学という選択肢

          研究環境を効率化する―アプリの使い方実践例―

          指導教授の教え 私が院生のころなので、もう約20年前のことである。いつものように指導教授の研究室で指導を受けていたとき、ふと尋ねられたことがある。 「君は、どのように研究をしているのか?」

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          大学教員の採用人事を知る5―学会参加の仕方編

          学会とは? 学会(がっかい)とは、学問や研究の従事者らが、自己の研究成果を公開発表し、その科学的妥当性をオープンな場で検討論議する場である。また同時に、査読、研究発表会、講演会、学会誌、学術論文誌などの研究成果の発表の場を提供する業務や、研究者同士の交流などの役目も果たす機関でもある。(Wikipediaより) 研究者にとって、学会は不可欠な存在である。ここに所属しなければ、その学問領域の研究を行っていることを、ほかの同業者に知ってもらえないからだ。それゆえ、大学院に進学

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          大学教員の採用人事を知る4―論文の書き方編

          この反響は予想できなかった 大学教員の採用人事シリーズが【3-面接・模擬授業編】で一応の区切りをつけた。需要が限られているだけに当初は備忘録程度の気持ちで書きはじめたが、ニッチな市場ゆえ情報が無かったためであろう、予想をはるかに上回る反響があった。 中には、私にアドバイスを求め、相談にのり、その結果アカポスを手に入れた読者もいた。大変喜ばしいことである。この方は周りに相談できる人がいなかったとのことだが、少しでも役に立てたのなら幸いである。 とにかく、こちらが予想しなか

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          大学教員の採用人事を知る4―論文の書き方編

          大学教員の採用人事を知る3―面接・模擬授業編

          2017/2/11若干改訂 面接で落ちるのはつらい いよいよ大学教員の採用人事シリーズ最終回である。大学の教員採用人事において、面接・模擬授業は選ばれた人だけが到達できるステージだ。面接に呼ばれたら、それまでの自分の努力に少しだけ自惚れてもいいかもしれない。 それだからこそ、面接で落とされるとそのダメージは計り知れない。ごく親しい仲間に、面接に呼ばれたことを告げて称賛され激励されていたかもしれない。今まで支えてくれた家族に面接に呼ばれたことを告げて、あとひと踏ん張りだと

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          大学教員の採用人事を知る2―書類審査編

          大学教員は本当に「運」か? 前回の記事【大学教員の採用人事を知る1-応募書類編】は、こちらの想像を大幅に超える反響があった。公開からたった数日で反応があるという事実は、自分がこの記事を書き始めたことは正解だったことを教えてくれる。 本当はもう少し時間をかけて全編完成させるつもりであったが、確かにこの時期は公募が多く出る時期でもあるので、急いで第2回、第3回にとりかかることにした。 大学の専任教員になるのはほとんど「運」で決まる。自分は比較的若く採用されたが、自分が他人よ

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          大学教員の採用人事を知る1―応募書類編

          若手研究者の現実は厳しい 若手の研究者にとって、大学の専任ポストは喉から手が出るほどほしいものだ。「このまま非常勤で終わってしまうんじゃないか・・・」とか、「ポスドクで終わってしまうんじゃないか・・・」と悩んで夜も寝られない人も多いだろう。 自分もかつてそうだった。非常勤講師を何校も掛け持ちしながら、せっせと論文を書いて、学会発表をこなして、そして少しでも自分に関係のある分野から公募が出ると手あたり次第に履歴書を送っていた。 非常勤講師だから、一応は「大学の先生」と呼ば

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