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フランス南西部の街(16)Eus(エウス)

Eusは、前回のビルフランシュ・ド・コンフランの近くにあります。
こちらも、中世の姿を今に残している街で、やはり「フランスのもっとも美しい村」に登録されています。
ちょうど、ペルピニャンからビルフランシュ・ド・コンフランに向かう途中にありますね。例の、アンドラ方面に向かう道からすぐです。前にご紹介したエスピラ・ド・コンフランも近くです。

この村は、「鷲の巣村」と呼ばれているのと同じなのかわかりませんが、国道からもよく見える小高い丘の上に広がっています。
遠くからですと、村のシンボルであるカテドラルがよく見えます。

こちらは、その山の上から下界を見下ろすように国道方面を撮った写真です。

ぼくがここを訪れたのは、ビルフランシュ・ド・コンフランに寄った帰りでした(なので、両方写真が曇り空なんです・・)。
実際訪れたときは「中世の村」としか聞かされていず、ここがなんという名前のどんなところなのかはよくわかっていませんでした。なので、実は「Eus」もどう発音するのか正確にはよくわかりません。当時書いた日記を見返すと、どうも「エウス」と呼んでいたらしいので、そうなのだと信じることにします。

ここはやはり古くから存在している中世の趣を残す村ですが、ビルフランシュ・ド・コンフランよりももっと生活感にあふれています。
というより、どちらかという人々が普通に生活しているといったほうが近く、ホテルやカフェはあるものの、そんなにおみやげ屋が林立しているというわけではありません。むしろ、普通の家の方が多いです。

なので、ぼくが前回ビルフランシュ・ド・コンフランの時に書いた、「中世の街がそのまま現代の生活に息づいているフランスの奥深さ」は、ビルフランシュ・ド・コンフラン→Eusという経路を通ったことでより強く認識されました。
ビルフランシュ・ド・コンフランで、こんなに美しい街がちゃんと残っていて、それが今でも大事に使われていることに非常に心をうたれましたが、そのすぐ近くにあるこの山の上の素朴な中世の小村では、今も使われているどころか、なんのためらいもなく普通に人々が21世紀の生活を送っているわけです。

この「21世紀の生活」っていうところがポイントですよね・・。別に、世捨て人で昔ながらの生活をしているわけではないですからね。それだけ、中世の時代の建築や文化が堅牢で完成されているんですね。それを今でもみんなが誇りに思って大事にしていて、しかもただ見せ物にするのではなく、ちゃんと暮らしに活用しているのが素晴らしいですね。


村のランドマークになっているカテドラルとその周辺の村の様子です。
石で組まれた壁面、石畳が見事ですね。

こちらは村の民家です。

よく見ていただければわかりますが、家もみんなちゃんと石組みで作られています。歴史があることがわかります。
美しいですね。やっぱり石組みは風合いが全く違います。
じゃあ最近の新築のこの地方の家はどうやってできてるかというと、まあ石っちゃあ石なんですが、ブロックですね。ブロックを積み重ねて、外壁に色を塗っています。なので壁がどうしてものっぺりとしてしまうんです。
なので、外壁が石組み、というのは、たいていの場合、町でも中心部の古くからある家だとか、結構限られた存在となります。やっぱり目立ちます。

こういった家はこちらの不動産売買上どういう風になるかというと、やっぱり大変に価値があると見なされるようで、値段も高くなるみたいですね。
このあたりはやや日本とは違うメンタリティかもしれませんが、こちらの人は、ぼくらが思うのと同じように、「石組みの家、古くてカッコいいな・・・」という感覚をすごく持っているみたいですね。
多少不便もあるでしょうけれど、やっぱりそういう家に住んでいる、というのはある種の主張というか、ステイタスであるようです(ぼくが接している人々が限られているので、ほんとは違うかもしれませんが)。

日本ではどうでしょう。うーん、あんまり考えられませんね。たしかに木の家と石の家という違いはあると思いますが、それを差し引いても、200年前の旧家とだったら、どっちかというとみんな今風の住みやすい家の方に住みたがると思うんですよね。
まぁ、確かに、フランスの家は、現代の家でも、日本の家のようなパーフェクトな快適さをそこまで重視していない気がしますね。単純にクツであがるからそうおもっちゃうのかもしれませんが・・・。
でも、サッシの窓なんかほんとないですからね。今でも、大概は木の雨戸に木の窓枠の開き窓です。たまーに、雨戸がシャッターになってるハイテクの家を見ることもありますが、日本のアルミサッシみたいなのを見たことはほんとにないですね。
多少、行きすぎるくらいのサービスが込められている日本のマイホームとはだいぶ考え方が違うような気がします。まあ、これは家のことに限らないかもしれませんが。コンビニとかもないですしね。

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さて、このEusですが、「もっとも美しい村」に指定されているだけあって有名は有名なようですが、アクセスはあんまりよくありません。
いちおうバスはあるようです。Pradesという街から出ているようですね。ここはペルピニャンからの黄色いトロッコ列車、プチ・トラン・ジョーヌの駅がありますので、なんとかここまで来ることができれば、とりあえずたどりつくことはできそうです。地図で見たら山登り混みで4-5kmですから、時間と体力さえあれば最悪歩けないこともないです。
なお、ペルピニャンからPradesまでは電車で40分くらいのようです。

ですが、なかなかこの手の村って、ふらっといけるところにはないと思うんですよね。
アクセスが大変良いと言うことは、つまり観光客が多くて、観光客に見せるためのミュージアムになっているところが多いと思うので・・・。

「もうひとつのフランス」を肌で感じるには大変おすすめなところです!
ここには確かに、それがあります。



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あと、これは完全にどこだかわからないのですが、このあとたまたま訪れて買い物したこの近くの街の写真です。

すごく、このあたりの街って感じします。


お肉屋さんですね。パテ売ってますね。おいしいんですよね・・・。


こちらはワゴンの八百屋さん。カワイイですね。

もうひとつ八百屋さんです。ぼく、こういうお店や市場の写真ほとんど撮ったことないので、貴重です。


カテドラルです。1606って書いてあります。

※この文章は2009年に書かれたものをリライトしたもので、現在では状況が違っている場合があります。ご了承ください。でも多分たいして変わっていないと思います。

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