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麻吉旅館

 つい先日、家族で伊勢に旅行に行きました。
 その時、「麻吉旅館」という旅館に泊まりましたが、これが素晴らしい宿だったので、紹介したいと思います。

 「麻吉旅館」を簡単に説明すると、200年前の江戸時代から現在まで営業を続けている、とても歴史のある旅館です。建物の雰囲気も当時を偲ばせるもので、この建物自体が登録有形文化財に指定されています。まぁ、写真を見てもらった方が早いですね。

住宅街に忽然と現れる江戸時代
玄関です
向こうに旅館の渡り廊下が見えます

 どうですか。すごい雰囲気でしょう。
 斜面に建てられていまして、一番上は5階に当たります(上の写真で見えている左側の玄関は4階部分で、奥の玄関が3階部分です)。
 斜面に沿ってどんどん建物が下に繋がっていって、長く伸びているというかんじです。外見だけでなく、建物の中も素晴らしいです。雰囲気ももちろん抜群ですが、階段や通路が迷路のように入り組んでいて、いわば無限城的な不思議空間で先ほど説明した5階構造を形成しています。

これは3階から4階・5階に通じる階段をみたところ。リアル無限城
渡り廊下から見た麻吉旅館の建物。これ全部旅館です。
屋根の方から眺めるとこんな感じ、どんどん建て増ししていった感じがわかると思います。
このかまどは現在では使われていません(昭和初期までは実際に使っていたそうです)
部屋の書
襖の紙に何やら昔の文書的なものが
最初の玄関のこちら側



 歴史的な話をすると、この旅館のあるあたりの地域は「古市」といいまして、昔のとても賑わった遊廓街でした。かつて江戸時代などに、伊勢参りをした後、ここで遊ぶというのがワンセットだったんですね。
 この麻吉旅館はその一角にある料理店だったようですね。あの有名な「東海道中膝栗毛」にもその名前が出てきます。
 今は鉄道の駅からもやや遠く、古市界隈や古市街道ぞいも全く歓楽街の面影はない住宅地になってしまいましたので、麻吉旅館はなんだか街中にいきなり忽然と昔の屋敷が現れた、みたいな一種SF的な様相になっています。

 ちなみに、宿の予約をした後に気づいたのですが、「麻吉旅館」と検索窓に入力しますと、次の検索候補ワードとして真っ先に「幽霊」と出てきます。

 幽霊。。。

 有名なんだろうか・・・。
 た確かに、歴史もありますしいろいろなことがあったことでしょう。。出ても不思議はないですよね。。ハハハハ。いやそういうの縁起いいかもしれないし、大丈夫大丈夫。

 と、家族一同一抹の不安を抱えながら旅館に向かいました。手順的には、一応伊勢神宮参拝を済ませてから行くという、往時の流れに従いました。

 結果から言うと、単純に大変居心地の良い旅館で、心配したような幽霊云々とか、不思議な光や物音に悩まされるというようなことは一切ありませんでした。
 そう、建物自体が素敵なのはもちろんですが、なんというのでしょう、とても落ち着ける部屋や建物でしたね。伊勢神宮で1日25000歩くらい歩き回った後だということもあるのですが、全員何も考えず、途中で起こされたりすることもなくぐっすり眠りました。

 女将さん始めスタッフの皆さんもとても優しく親切で、さすが200年も続くというのは違うものだなあと思いましたね。

 なお、この麻吉旅館の蔵の部分は、今資料館になっています。ただ一般公開はしていなくて、宿泊したお客さんでないと見ることができません。
 そして、これは正直驚きました。予想を大きく上回る展示品の量と展示室の面積。当時からの調度品や文書類など、見ていて本当に飽きなかったです。

 客室の周りは障子になっていて、その向こうは廊下がぐるりと囲んでいる構造になっています。つまり、お料理屋さんだったら、お座敷に廊下から「お食事でございます」なんて言ってお膳で出してくれる、みたいなよく見る感じですよね。
 江戸時代にこの部屋でそんなやりとりがあったのかなぁ、なんて考えたら楽しかったです。


 麻吉旅館は、特段変わった手続きを経なくても、至極普通に予約して泊まることができます。値段も普通にリーズナブルです。
麻吉旅館のウェブサイト
 もちろん、じゃらんなど普通に旅行サービスからも予約することができます。一部カード不可とご案内している媒体もあるようですが、ちゃんとカードでお支払いできました。
 みなさまよろしければ、この異世界生活的宿泊をぜひ一度体験してみてください!


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