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【Hob】ダンジョンに雰囲気を求めるのは間違っているだろうか

諸君、私は雰囲気ゲーが大好きだ。

どうでもいいことだが、この記事を書いている真っ最中に『ディアボロの大冒険』で一乙した。敵に四方を囲まれ袋叩きにされたのだ。敗因は、モンスターハウスのど真ん中にマンミラのディスクを投げ込むというありえない操作ミスのせいである。どれくらいありえないか説明すると、仮にこのざまを配信で人前にさらすなどしてしまったが最後、モンスターと化した視聴者に袋叩きにされても文句は言えない。そういうレベルの失態だということだけは伝わってほしい。

ゲームのど下手くそな人間が日頃、ワンミス=即死のサツバツとしたゲームをしていると、自分の不器用さのためにかえってゲームに苦痛をおぼえる時期がやってくる。そういう疲れたダメゲーマーをやさしく包み込むために、穏やかで雰囲気のあるゲームは存在するのだ。さて、


諸君、雰囲気ゲーは好きか?

よろしい、ならばこの『Hob』だ。

『Hob』は簡単に言うと、剣とグラブを持つ赤フードの生命体「ほぶくん」(仮称、なぜなら雰囲気ゲーらしくゲーム内テキストがないため)になり、広大なフィールドを探検し、敵を倒し、紫色の毒々しいゲルに浸食された世界を美しい姿に戻していくことが目的のアクションゲームだ。フィールドに点在する地下ダンジョンの中にある巨大な歯車の機構を動かすと、地上世界が大きく隆起・陥没し地形が変わって行動できる範囲が広がっていく。わたしはそのダイナミックなPVに一目ぼれしてこのゲームを買った。

これがダンジョンのSS。『天空の城ラピュタ』のような、古代遺跡×スチームパンクな雰囲気のただようフィールドに対して、ダンジョン内部はレトロサイバーパンクチックでもある。

SSの取りたくなるゲームは良ゲーだ。SSの説得力は偉大だ。
ここまでの画像にピンときた人は、まず購入してよろしい。かうといいとおもう。かいなさい。2000円で、動くアートワークと10時間ぶんの冒険が手に入ると思えば安いものではないか。


ゲル毒草を倒すbefore→after。妖精さんとその親玉に感謝されている。


『Hob』にたいして、「ゲーム性がない」だの、「ストーリーがわからなすぎる」だのいう人がいる。確かに戦闘は単調だ。ほぶくんのローリングの無敵時間が非常に長いため、武器をぶん回す敵の周りをゴロゴロ転がる→動きが止まった瞬間をついてコンボ連打でほぼ全てのカタがついてしまう、というかそれ以外の戦略を取りようがない。「スパナ以外のガラメカのないラチェット&クランク」「サルをゲッチュしないサルゲッチュ」といえば、なんとなくわかってくれるだろうか。

しかしこのゲームの醍醐味は戦闘ではなくうつくしいフィールドの探索なのだ。奥に見える場所へゆくために、足場を探して大ジャンプしたり、仕掛けを作動させたりする。そのつみかさねが『Hob』の「ゲーム性」だ……だから敵に倒されるよりも何倍も落下死するが、そこはご愛嬌である。
どうしても納得がいかなければおとなしく『デビルメイクライ5』をかってプレイし、Crankしか取れない自分に絶望したタイミングでまた購入を検討すればよい……。個人的にはネロが鬼いちゃん似に育ってうれしい限りである。ところで『Dmc』の名倉ンテ、あいつはどこに行っちまったんだ?

つぎに「ストーリー性」がない、といった奴、きみは美術館にいって印象派の絵をみながら「ストーリーがないからつまらないよぅ」というのか?
先ほども述べたように、このゲームのキモは美しいアートワークにある。だからストーリーは世界観を匂わせる程度でよいのであって、それほど重要な要素ではない。
それでもストーリーガー没入感ガーうんぬん言うのなら公式の漫画があるので読むとよろしい。何事も予習が肝心だ。

……読んでもわからなかった?大丈夫、わたしもだった。予習も大事だがほんとうに大事なのは復習のほうだとセンセイたちはいう。だから四の五の言わずにかってプレイしよう、そのあとでもういちど読もう。

「スチームパンク」「古代文明」「廃墟」「ラピュタ」「ICO」「ゼルダの伝説」このあたりのワードがヒットするあなたなら、まちがいなくこの『Hob』はあなたによいゲーム体験をもたらすでしょう。かってやるのだ。






※以下、妄想とネタバレあり

一族はかつてこの星の調停者だった。メイン・コントロール・システムの塔を宙に浮かせ、巨大ロボを地におろした。自然と文明の調和をもたらした一族は、やがて自動人形たちにすべてを任せると、大いなる眠りについた。
しかし、一族が眠りについているあいだ、この星は侵略をうける。ゲルを思わせるからだで腐敗臭をまき散らす侵略者は、森を破壊し、水を枯らし、やがて塔と巨大ロボとの接続をたち切ってしまう。
地上を任された自動人形たちは、世界を取り戻そうと侵略者と戦うが、力及ばず、大量の犠牲者たちは腐海の海に沈んだ。
スプライトの力によってからくも生き残った一体の自動人形は、星の命をつなぐべく、調停者一族を目覚めさせてゆく。

おはよう、そしてようこそ滅びゆくうつくしい世界へ。
あなたはこの星の、何人目かの希望。

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