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たぶん数年後は『休日』が売れる

2019年7月5日 『自分が経験したわけでもない元風景(あるある)

おはようございます。
正しくは、「置いてきぼり」なのか、それとも「置いてけぼり」なのか、いつも迷っているキングコング西野です。

さて。
昨夜は少し時間が空いたので、後輩芸人の「ラフ次元」の梅村君と、僕の地元である川西のスナック『Candy』に行ってきました。

滝山駅」前に着くやいなや、タコ焼き屋『満天』に人が集まっていたので、そこでタコ焼きを購入。
タコ焼きが焼けるまでの間、店の前のベンチで座っていたら、オジサンが「蚊がいるから、コッチ(香取り線香があるところ)においで」と声をかけてくださいます。

10分に一本ほどのペースで、電車がガタンゴトンと目の前を通りすぎて、それを見ながら「満天」のタコ焼きをほおばる僕たち。
地元の皆さんは当たり前すぎてスルーしちゃっていますが、実は僕はこの景色にこそ価値があると思っています。

言語化すると『経験したわけでもない元風景』に価値があると思っています。

となりのトトロ』の世界観もそうだし、たとえば『WOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーブメント~』の歌詞「♪流れる景色を必ず毎晩見ている。家に帰ったらひたすら眠るだけだから」なんて、まさに。

多くの社会人は、電車の中で流れる景色など見ずにスマホの画面を見ていますし、家に帰ったら、ひたすら眠ることなく、野球中継やバラエティー番組を見ています。

それでも、「♪流れる景色を必ず毎晩見ている。家に帰ったらひたすら眠るだけだから」の歌詞に共感するわけですね。

Swallowtail Butterfly〜あいのうた〜』では、「♪夏草揺れる線路を遠くまで歩いた」という歌詞があって、当時、多くの若者の胸をうったのですが、夏草揺れる線路を遠くまで歩いた経験など、ほとんどの人がしていません。

映画『クレヨンしんちゃん ~嵐を呼ぶ モーレツ!大人帝国の逆襲~』では、1970年の日本が展開され、「あの時代は良かった」と多くの観客の心を捉えたわけですが、1970年(あの頃)を「成人以上」で経験した人は少なかったハズです。

自分が経験したわけでもない元風景(あるある)』というものが確実にあって、川西の最大の価値はそこにあると思いました。
川西に来るのは初めてなのに「懐かしい」という。
日本人のDNAに組み込まれている景色です。
『新大阪』や『大阪(梅田)』や『伊丹空港』から、30分でタイムスリップできるわけですね。

恐ろしいことに、放置しておくと、ここには無味無臭の大型ショッピングモールができて、『行く理由が無くなる町』になり、町が高齢化し、税収が落ち、廃れていきます。

生々しい話をすると、僕らのお金は、この『自分が経験したわけでもない元風景』を守ることに使うべきで、川西の「山」を「川」を「踏み切りのカンカン」を、「満天のタコ焼き」や「満天のかき氷」を子供が食べている景色を守ることに使うべきだと思いました。

一度、お時間ある時に川西市に遊びにいらしてください。
実際に見ていただけると、今回の話が、より伝わると思います。

スナック『Candy』や、タコ焼き屋『満天』は、川西を走る能勢電鉄の「滝山駅」の目の前です。

ファッションで町起こしをするつもりなど毛頭なく、やるからには本気です。
いっそのこと住民票を川西に移して、川西市に超高額納税してやろうと思っています。

都市化することで盛り上がる町と、誰も経験していない元風景を残す(作る)ことで盛り上がる町の2通りあって、川西市(少なくとも滝山駅周辺)はあきらかに、そっちだと思いました。

山や川や踏み切りは個人では作れないので。
というわけで、川西で僕が住む家を探します。
現場からは以上でーす。



2019年7月6日 可処分精神

おはようございます。
昨日、インスタLIVE中に枕を抱っこしながら寝落ちしてしまって、死にたくなってるキングコング西野です。

さて。
今日は、とってもとっても興味深い話をします。

少し難しい言葉になりますが、もともと全てのサービス業は「可処分所得」の奪い合いを続けてきました。

「可処分所得」とは、給与やボーナスなどの個人所得から、税金や社会保険料などを差し引いた残りの手取り収入…つまり“自分の意思で使えるお金”のことですね。

LAWSONも、ファミリーマートも、和民も、サイゼリヤも……とにかく「お客さんの可処分所得はウチが一番奪うぞー!」という競争を続けてきたわけです。

その次に、Webサービスを提供する皆様が「可処分時間」の奪い合いを始めました。
「可処分時間」とは「自分の判断で自由に使うことのできる時間」のことっす。

僕らはメチャクチャGoogleを利用していますが、Googleには1円もお金は払っていません。が、Google側からすると、「時間さえ奪っちゃえば、そこにアレやコレやを仕掛けたら、お金を生みだせるよね」となっているわけです。

そこから、時代は更に進んで、今は「可処分精神」の奪い合いが始まっています。

これに関しては、SHOWROOM前田さんの見解が面白すぎるので、是非、コチラをご覧ください。


物が溢れ、あらゆるサービスのクオリティーが上がり、あらゆるサービスのクオリティーが均一化されてしまうと、「どこの蕎麦屋さんも美味しいから、どうせなら、いつも親切にしてくれている長谷川が経営している蕎麦屋さんに行こう」といった感じで、「一番想われている人が一番勝つよね」となります。

僕がビジネス書で頻繁に言っている「これからは『機能検索』から『人検索』になる」という話っす。
世間の皆様がこれを理解するのは、平気で7~8年後だと思います。

話はここからなのですが……
最近、「お金を払って休んでもらう」ということにハマっています。


先日、「品川庄司・品川さんの半日を自由に使える権」10万円で買ったのですが、その半日は『お休み』にあてていただくことにしました。

休日の使い方は、家族サービスでも、家で読書でも、映画のスタッフさんとの飲み会でも、何でもいいのですが、とにかく休んでいただくことに。

これが、すごーくいいのが、品川さんが休日を利用して何をするにしても、都度都度、僕のことを想ってくれるわけじゃないですか。
「これは西野のおかげで」と。

品川さんの半日分の「想い」を10万円で買えるなんて、どう考えたって、お買い得です。

実にヘンテコな話ですが、これまで『お金』は「働いた分の対価」として発生していたわけですが、「想い」の価値がギュイイ~~ンと上がって、ついには「休んだ分(想った分)の対価」として『お金』が発生するようになりました。

んでもって、これがメチャクチャいいのが、休みを買ってもらった側(品川さん側)からすると、「買ってもらったからには、有意義な休日にしよう」と務めるハズなんですね。

それが2年後も、3年後も思い出せるような有意義な休日になれば、その都度、「あれは、そもそも西野が」と“想ってもらえる”わけで、そうすると僕が買ったのは「品川さんの半日」どころの騒ぎじゃありません。

こんなのメチャクチャ安いです。

今回の記事を分かりやすくまとめると、「たぶん数年後は『休日』が売れるようになるよ」という話です。
現場からは以上でーす。



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普通に生活費のかかる個人ですから。お金をいただけるのは嬉しいことです。 ありがとうございます。先にお礼を言ってしまいました。返礼の法則って知ってますか?さあ