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介護や医療や福祉のこと

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医療や介護についての記事をまとめています。
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記事一覧

リハビリテーション

砂原茂一著、岩波新書1980 日本におけるリハビリテーションの流れや世界での障害者に対する社会の変遷から、人権や社会のあり方について考えさせられる良書です。 本書の発行は、1980年と現代におけるリハビリテーションの実際や法体系とは異なる部分も存在します。 しかし、リハビリテーション自体の理念やリハビリテーションの分野においては、その始まりがより理解出来るでしょう。 また、40年以上前にもかかわらず、治療の限界を問い、リハビリテーションは今後の医学に普遍的な目標とされな

CCRCは介護難民問題のソリューションの一つになるか。

超高齢社会+少子化+円安+物価高+地方自治を考えると、今更ながら、CCRCの考え方がとても大事なフェーズになってきたと感じます。 というより、これからが本番ではないかと。 すでに日本で主要な産業(この5年で産業別で労働人口が最も増えたのが医療福祉人材)である医療福祉産業及び、その担い手を維持することが、地方の人口や少子化対策の一つとなります。ちなみに、産業別労働人人口では医療介護は第3位となります(2022年就業構造基本調査) しかし、2025問題の大きな要素の一つは、都

【個人情報の壁を考える】支援が必要な人を見つけた私たちはどのような対応の選択肢があるのだろうか?

私は普段は介護保険事業をしています。その中で、個人情報の取り扱いに関する署名をもらうので、その範囲内での第三者への情報提供について悩むことはほとんどありません。 しかし、保険事業外で出会う方で悩むことがあります。出会った方の生活がちょっと心配だな〜とか、2週間後どうなってしまうだろうというように、生活の不安や困窮が予見されるような方と出会うことがあります。その場合、どのように対応するのかを悩みます。 例えば 行政や、包括に情報提供した方が良いのか? 個人情報保護につい

臨床と宗教〜死に臨む患者へのスピリチュアルケア〜

死に向き合う医療者の苦悩や恐れに対する医療では解決できないヒトの根源に触れる1冊。 誰もが死を迎えることを考えると、全ての医療、福祉関係者にも大切な内容。 本書は主に、著者の孫大輔氏と5名の医師や宗教家との対談をベースに、各識者の専門性や実践、またその領域における歴史的な変遷と共に、孫氏の臨床上の経験や苦悩、教育や普及について幅広く纏められています。 特に、日本における宗教の立ち位置や人々の認識はとても重要で、歴史や現在地を知る上で非常に参考になります。 グリーフケア、

患者はこう考える〜入院や入院継続は医学的リスクだけで判断しない〜

改めて、病気ではなく、「医療における入院」の基準や定義について調べてみたのですが、残念ながら見つけられません。では、何を根拠に「入院」を判断するのか。 一般的に医学的なリスクが高い場合に検討されるのではないでしょうか。例えば、命の危険があることや、後遺障害の可能性があること、治療に伴う重篤な副作用が伴うことなど。 そして、それを科学的根拠をもとに判断するのが、診療ガイドラインです。 このサイトをご覧頂くと、さまざまなガイドラインが検索できるので、皆さんや周りの方でご病気

腸と脳〜体内の会話はいかにあなたの気分や選択や健康を左右するか〜

本書を読んでの7つの気づきを。 ①人間の腸内には100超個を超える微生物がある。  人間の細胞は60超あり、私たちは微生物と共生している。 ②「脳ー腸ーマイクロバイオーター」相関  腸内微生物の多様性と脳、神経疾患の関連性がある ③新生児の腸内マイクロバイオーター  母親の膣内微生物と出産の関係  妊娠中及び授乳期間の母親の食事 ④内臓感覚 ストレスは、脳だけでなく、腸でも感じている。 腹が立つ、腹が痛い、腹が座るなど。 脳で言語化されるより早く反応するので、体の声を

天疱瘡という難病の体験記_第0話入院まで

これは、2023年7月18日に天疱瘡という国指定の難病との診断を受け、7/21に入院した私の体験を記録したものです。 私自身は、理学療法士という医療資格を有し、パートナーと3人の子供と長野県で暮らしています。 体験記を書こうと思った背景この数日で、さまざまな情報を調べました。医学的情報例えば天疱瘡の病状や治療ガイドラインはすぐ見つかります。 それに比べ、福祉制度は難解で様々な種類があるものの、情報はその所管官庁がバラバラに出しており、いつ、誰に、何を、どのように準備すれ

現代医療の限界は安心を担保できない診療システムでは無いだろうか~ステロイドをやめて気づいたこと〜

昨年9月から続く、皮膚症状が改善しない。 そんな中、思い立って、ステロイド(製品名サレックス軟膏0.05%)をやめました。 皮膚症状の経過いつからか、皮膚科で初めてのステロイドを試そうと思い、処方され塗布することが始まりました。 その時の症状は、一時的に緩和したものの長期的に見てみると、一進一退であり、大きな改善も、大きな悪化も無くなりました。 とは言っても、症状が継続してあることには変わらず、湿疹が出来ては治っての繰り返しです。 そのような状況において、5月末にジビル

僕たちはどの程度リハビリテーションのことを知っているのだろう?

リハビリテーションとは、"してもらう事"や"訓練をすること"を指すのではなく、reとhabilisに分かれ、〇〇に適する、〇〇に適した状態になることである。それはつまり、"自分らしく生きる権利の回復"であり、"全人間的復権である"。このようにリハビリテーションについて学んできた。 つまり、権利や尊厳の回復でもあり、ジャンヌダルクやガリレオ・ガリレイの復権裁判にまで遡ると。 去年までは、これを全く疑うこともなく、とても大事な考え方であり、いかにこの概念を伝えていくかが大事だ

好きに楽しめば良い、みよたの広場の7つの遊び方(非公式_2022年11月)

使い方や、遊び方の自由度が極めて高い「みよたの広場」。それゆえに、もしかしたら少し戸惑うかもしれない。 そんな方のために、”こうやって楽しんできた”と、僕の振り返りをまとめてみた。 初めての方や、一回行って戸惑った方は、もしかしたら参考になるかもしれない。 基本的には、誰もが遊べる広場だ。子供連れでも、大人だけでも。まさに、多様な方が訪れていう。 そして、僕自身は、子供がいる立場である。 1_苗木を楽しむ この広場は、まだまだ小さな苗木が至る所に植えられている。 好

関係性が生まれ育まれる「みよたの広場」というちょっと変わった公園

長野県御代田町に、ちょっと変わった公園がある。 それが、8月29日に始まった、「みよたの広場」。 一体、何がどう違うのか、一般的な公園と5つの点を比べてみた。 利用する人について 一般的な公園は不特定多数であり、みよたの広場は広さや開設して数ヶ月ということもあり特定少数である。今後、利用する人が増えていくことで特定多数になっていく可能性もある。この、「特定」がとても重要だと感じる。 利用する人との関係性について 一般的な公園では、偶然その場に居合わせた知り合い以外

普通の理学療法士が病気や障害の予防に取り組む理由

理学療法士になったのが、27歳。 そこから、制度の狭間の事業や新規事業の立ち上げなどを模索している。 現在では、介護状態の予防や介護うつ、介護離職の予防、そして、病気や障害になりにくい社会・環境づくりをおこなっている。 また、最近は産後うつや家族の不破の予防などにも取り組み始めている。 一般的な理学療法士が歩むキャリアとは、大きく異なるキャリアを歩んでいると思う。 なぜ、このようなキャリアを歩むようになったのか。 22歳の時に理学療法士になってやろうと思ったこと22歳当

地球環境とリハビリテーション

地球環境と人々の健康は決して切り離して考えることはできない。 大気汚染による呼吸器系疾患、水質汚染による神経疾患、気候変動による食糧危機など、地球環境の影響によってリハビリテーションに関わる当事者は今も昔も存在する。 これから最も深刻化するのは、地球温暖化による影響ではないだろうか。 また、日本においては首都直下型地震や南海トラフ地震も予想される。全ての事象に対して考える知識は持ち合わせていないが、この2点については考えていきたい。 ①地球温暖化による現在の影響梅雨から夏

健康格差の社会学社会的決定因と帰結

保健医療従事者及び、学生にとっても必須の書籍です。この知識があるか否かで、あなたのアプローチは180度変わる可能性があります。 ライフコース疫学はもちろん、職場の影響や、雇用状況における影響など、健康に影響するが個人では限界のある社会的な要因について学べます。 これを読めば、健康は自己責任ではなく、社会側の責任でもあることが理解出来ます! 医療従事者だけでなく、ビジネスマンや経営者、そして政治家にこそ読んで欲しい1冊!! さわりを知るには、こちらがオススメ。 なんと