読書記録:パンドラの匣

???「太宰治ってなんか病んでるし、走れメロスとか授業でやったけどよくわかんない」
そんなイメージを払拭するのが太宰治「パンドラの匣」です。そしてわたしがビブリオバトルで紹介した本でもあります。でもビブリオバトル超恥ずかしかったからもう二度とやりたくない

あらすじ

「健康道場」と称する療養所で、結核と闘っている二十歳の男子から、その親友に宛てた手紙の形式になっている。
一風変わった治療法と、看護師たちと、他の患者たち。
淡い恋の物語

端的に言うと、プラトニックな病院ラブストーリーです。
舞台は終戦間近~直後の日本。
主人公は中学校卒業と同時に肺炎を起こし、高校受験する契機も逃し、実家で両親と共に過ごしながら趣味の畑をいぢる病弱な「ひばり」
彼は物語の初め、こう語っています。

いったい僕はこれから、どんな身の上になるのだろう。なんの事はない、てもなく廃人じゃないか。そう思うと、 呆然とする。どうてよいか、まるで見当も何もつかなくなるのだ。
そうして、こんなだらし無い自分の生きているという事がただ人に迷惑をかけるばかりで、全然無意味だと思うとなんとも、つらくてかなわなかったのだ。
君のような秀才にはわかるまいが、「自分の生きている事が、人に迷惑をかける。僕は余計者だ。」という意識ほどつらい思いは世の中に無い。

病んでますね。その後彼は自分のからだを畑仕事で痛めつけたあげく、喀血をします。「ああ、はやく死にたい」などと思いながら、畑仕事を続けてゆきました。

2度の喀血のあと、玉音放送を聞いて涙し「昔の僕じゃなくなった」という感情が生まれます。そして両親に喀血をしたことを打ち明けました。「ただ、昨日までの無理な気取りが消えたのだ」

数学者の父親が彼に薦めたのは「健康道場」という名の療養所。
なんでもそこは身体を鍛える運動に、患者の背中を看護婦がブラシで擦ったり、患者や助手や看護師をお互いにあだ名で呼び合ったり…などという一風変わりすぎている様子。
実際これで治るのかどうかと言われれば疑問ですが、病は気からともいうしネ

そんな健康道場で、ひばりはふたりの看護師に出会います。
ひとりは「竹さん」新しく健康道場にやってきた女性で、みんなが美人だ美人だと言っている。が、ひばりはひとり硬派。年増女などと手紙に書いているが… 嫌い嫌いも好きのうち?もうひとりは「マア坊」ひばりと同室のつくし氏に好意を寄せる、能天気な、気まぐれな女性。ひばりは手紙に、マア坊の美点をたくさん書き連ねているが…

全体を通して

この作品は、太宰治の読者であった木村庄助の病日記が元になっています。22歳で自殺した木村氏の遺言に従い、日記全12冊が太宰宛てに送付されました。

リアリティーが有りながら、どこか作り物のような物語。結核という病にかかった患者たちの死への感情、生死論。ふたりの女性。そして、冒頭の闇ぐあいはどこへやら、ひばりの精神が晴れやかになるさまも見ものです。

青空文庫や、Googleブックスで無料で読めます。ぜひ、読んでみてくださいね

Googleブックス「パンドラの匣」

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大輔

読書記録

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